一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
感慨深いオークスでした
2021/5/27(木)
先週はフォクシーレディ(4人気2着)が最高着順。初めて乗せていただきましたが、聞いていたとおりに広いコース向き。体がまだしっかりしていないので急かす競馬をしませんでしたが、そんな部分で勝ち馬との位置取りの差が悔やまれます。兄弟と似つつも晩生の印象がありますが、東京コースのうちに勝ってあげたい。スウィートブルーム(2人気5着)は決め手勝負を嫌って早めから自分で動いていきましたが、少頭数における展開が仇になってしまいました。注文がつくところはあるものの、かみ合えば現級で勝ち負けできる馬です。
この土曜は東京で4鞍に騎乗します。 5Rのマイネルグロンは間隔が空いていた前走で馬体面の成長がありました。上手く立ち回れたと思える一戦でしたが、成長して乗りやすくなっています。前走のいいイメージのまま臨みたい。7Rのコスモホクシンの前走は、自分のリズムで走らせてしぶとく頑張ってくれました。これから徐々に体が良くなっていきそうなタイプの馬。昇級でどこまでやれるかは未知も、距離延長は合いそうなイメージです。
日曜も東京で6鞍に騎乗します。1Rのホークピラーの前走は着順こそ案外も、休ませたことで馬は良くなっていました。ダート替わりで前進に期待しています。4Rのフェアメーゲンは血統的に期待しているのですが、まだ良化途上という印象。何とか良さを引き出してあげたい。6Rのルミエールソレイユは1勝クラスを勝てるだけの馬で条件はピッタリも長い休み明け。追い切りの動きにも久々感があったので、次に繋げられるレースにしてあげたい。
7Rのマイネルデステリョは続けて追い切りに乗せていただいていますが、仕上がりは良さそうです。デビュー当時を思えば1勝クラスにいるのが不思議なくらいなので、このタイミングで目途を立ててあげたい。8Rのマイネルステレールは毎回自分の力だけは走り切ってくれる馬。時計がかかる馬場の少頭数で、より上手く立ち回ってあげたい。9Rのバンブトンハートは除外続きで延びての出走も、今週の追い切りで状態面のキープを確認できました。展開面が鍵にはなりますが、かみ合った時の末脚は前走が示すところです。
先週はかつてコンビを組ませていただいたことがあるユーバーレーベンがオークスを勝利。ビッグレッドファームゆかりの血統馬の快走を、岡田繁幸さんに見届けてほしかった。アルテミスSの時は不利が重なって結果を出せずに申し訳なかったのですが、素質を知っているだけにあの走りには驚きませんでした。自分の手で成し遂げたかった気持ちがありつつも、感慨深いクラシック制覇でした。そして、今週は毎年目標にしている日本ダービー。こちらも騎乗はなりませんでしたが、来週には次の世代の馬達がデビューします。気持ちを新たに、来年のその日に向けて頑張っていきたい。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。