一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
札幌2歳S・新潟記念に乗せていただきます
2021/9/2(木)
先週は日曜に2勝することができました。マイネルパリオート(2人気)はギリギリの状態まできていましたが、そんな中でも力を出せる仕上げをしてくださった陣営に感謝です。全てが上手くいったというハナ差で、最後は叫びながら追っていました。アドアステラ(5人気)は馬のリズムで走らせる競馬がやっと実を結んだ格好。ペース的には速くなかったのですが、乾いた馬場とリズムの良さで脚がタマって弾けてくれました。自分としてもスカッとしましたが、昇級後のキッカケになる差し切りだったと思います。
ミズノコキュウ(12人気3着)は調教でいいなと感じていた走りを実戦でも出してくれました。小柄でも物怖じしませんし、牡馬の好メンバーにあそこまでやれれば今後が楽しみです。新潟2歳Sのコムストックロード(9人気4着)も強敵相手に最後まで食らいついてくれました。驚くほどにスタートが上達して、重賞のペースでもすんなり流れに乗っています。牝馬では最先着しているので、まずは2勝目を目指して頑張っていきたい。
夏最終週の土曜は札幌で5鞍に騎乗します。札幌2歳Sのオンリーオピニオンは1ヶ月前くらいにローテをお聞きし、ここに向けて厩舎サイドと丹内騎手で仕上げてくれました。新馬勝ちからの中間は跨っていませんが、いい状態だと聞いています。センスが良くてスピードもあるので、すんなり流れに乗ってくれるはず。福島の稍重で強い競馬をしてくれたので、洋芝とコースはマッチすると思います。
2Rのコスモガラクシアは2戦目のダートでパフォーマンスを上げました。初戦から好感触だった馬でもあり、同じ条件で前進を見込んでいます。8Rのマイネルエキサイトの前走は札幌コースで好内容。自分のリズムで走れればしぶといので、とにかくスムーズな競馬を心掛けます。9Rのマイネルエンカントは競馬を作れないところがあるので、どうしても展開に注文がつきます。急かさずにラスト一頭でも多く差せるような末脚を引き出してあげたい。10Rのコスモカッティーボは2走前の勝ち方を思えば前走が案外。自分的にはかつてのいいイメージしかないので、最近の競馬も研究しつつクラスに目途を立ててあげたい。
日曜は新潟で5鞍に騎乗します。新潟記念のマイネルサーパスは3歳時のラジオNIKKEI賞(2着)以来、久々に乗せていただきます。前走は12着とはいえ、休養前の自分からヤメてしまうようなところがなく、先行して好内容だったと陣営からのジャッジを聞きました。使って状態も上向いているはずで、復調なれば重賞でも差がないはずの馬。中間は跨っていませんが、いいイメージを持って臨めます。
2Rのコスモフロイデの前走は同じコースでしっかり走れています。今回も流れに乗せる競馬で前進を目指します。4Rのマイネルグロンは何としてもという一戦。状態的にはギリギリですが、それはどの馬も同じ。ここまで色々な競馬をしてきたので、夏の集大成として決めてあげたい。5R(2歳新馬)のセッタレダストは追い切りに続けて乗ってきました。乗り込み十分で、やる毎にしっかり動けるようになっています。夏競馬の2歳戦は好感触で乗れてきましたが、この馬も頑張ってくれると思います。
今週は火曜の夕方に丸山元気騎手が新型コロナに感染したという連絡を受け、そこからズラッと組んでいた翌日の追い切りを厩舎サイドに任せるための連絡でバタバタ。その後は調教に騎乗することなく美浦クリニックでドライブスルー形式のPCR検査を受け、結果が出るまでは何とも言えない不安がありました。感染してしまった江田照男騎手は心配ですが、現在は無症状ということなので、このままの回復を祈るばかり。ただ、57名の検査で1名の陽性だったというのは、調整ルームとホテルとで分けて密にならない、個室で食事するなどの感染対策が実を結んでいると証明。開催が止まらなかったのは何よりで、これからも今まで以上に徹底して競馬を続けられる努力をしていきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。