一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
あっという間に中山最終週です
2021/9/30(木)
先週は勝つ事こそできなかったものの、大方の馬が人気を上回る走りをしてくれました。アドアステラ(10人気5着)は、今は本当に調子がいいようで、昇級前と変わらず相手なりに頑張っています。コースと展開が向けば、2勝クラスも突破できそうな感触がありました。バンブトンハート(14人気5着)は中山向きではないのですが、追走に苦労しながらも終いはいい脚を使ってくれました。得意の東京コースに替わる次走が楽しみです。オールカマーのソッサスブレイ(16人気12着)は上手に競馬してくれましたが、相手関係の分の結果だったと思います。関屋記念の1600mよりも距離が延びて競馬はしやすかったので、オープン特別などでマッチするレースがあればチャンスを掴めそうです。
開催最終週の土曜は中山で7鞍に騎乗します。2Rのトリップダンサーの初戦はついていくのに一杯でした。競馬を経験した上積みに期待したいところ。3Rのグルートンは前3走の短距離から1800mに距離を延ばしてみます。しっかり乗り込めており相変わらず動きもいいので、更なる前進に期待したいタイミングです。4Rのコスモフロイデは、乗せていただいた3戦とも一生懸命にいい内容で頑張っています。中山コースも合うと思うので、ソツなく乗って前進を目指します。
5R(2歳新馬)のシェーネンタークは先週乗せていただきましたが、使いながら体力をつけていくタイプに感じました。直線坂があるマイル戦はまだ何とも言えません。8Rのアイアンゾーンの前走は横一戦の9着で内容は悪くありませんでした。良馬場でやりたいタイプなので、前日の雨がどこまで乾いてくれるかがポイントだと思います。馬は元気一杯で悪くないですよ。9Rのマイネルアルザスは心身共に幼い面があるのですが、使う毎にどこかで成長が見てとれます。前走の勝利がキッカケとなって相手なりに頑張ってくれませんか。昇級でも少頭数は歓迎のタイプです。
日曜も中山で3鞍に騎乗します。2Rのヒメゴゼンの前走は間隔が影響したのか止まり方が急でした。今回は中2週でもしっかり乗り込んで臨みますので、能力的に十分巻き返せるはず。小柄な馬ですが、まだ上積みが見込めます。4Rのマイネルエンカントの前走は以前に乗せていただいた時よりも落ち着いていて、凄く感触が良かった。最後はいい脚を使ってくれるので、展開さえかみ合えばチャンスがあると思います。10Rのステラドーロの前走は追走面で久々の影響を感じました。間隔も斤量面もベストなので、頭数こそ増えますが力が入ります。
コロナ禍でなかなか展覧会も開催されていなかったのですが、9月18日から東京都美術館でゴッホ展が再開され、やっと足を運ぶことができました。人数と時間制限があったお陰で、安心してリフレッシュできました。あとは、東野圭吾さんが好きでマスカレード・ホテルを映画館で観たので、緊急事態宣言が解除されるタイミングと相まってマスカレード・ナイトも気になっていたりします。感染対策としてジョッキーはしばらく認定調整ルームも続きそうですが、大観衆の前で競馬できるG1デーが本当に待ち遠しいですね。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。