一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
オーシャンSはマイネルジェロディに騎乗
2022/3/3(木)
中山開幕週は2着が2回も勝ち切ることができず。ミニョンルミエール(1人気)は休み明けでも仕上がっており上手に競馬してくれました。勝ち馬はもともと自分が乗っていて強敵になるとは思っていたのですが…。やはりコースも合っているので次こそ決めてあげたいという一心です。アオイゴールド(4人気)も着順以外は文句なしという内容。一回待ってから突き抜けられているので、勝ち馬が強かったということだと思います。
オンリーオピニオン(2人気)は現状における力を出し切っての3着ですが、まだまだ良くなる余地を残しています。これを使ってもうひとつ上がってくれそうで、先々が楽しみな馬である評価に変わりありません。中山記念のソッサスブレイ(16人気13着)はペースが速すぎてついて行くのに精一杯。1800mは悪くないのですが、さすがに開幕週でメンバーも強力すぎました。ハンデ戦やオープン特別などかみ合う条件なら、また頑張ってくれると思います。
この土曜は中山で4鞍に騎乗します。オーシャンSのマイネルジェロディは得意コースでまたチャンスをいただくことができました。前走も馬場を思えば頑張っていますし、丹内騎手や厩舎サイドにも聞いて敗因を分析して臨みたいところ。重賞に入っても十分にやっていけることを結果で証明したい一戦です。
1Rのドリーマーイモンは初めて乗せていただいた前走の感触が悪くなかった。引き続きの牝馬限定戦でもう一歩前進がありませんか。5Rのゴールデンベリルはよく調教に乗せていただいています。南半球産で成長が遅れている分がどうかですが、しっかり乗り込めて現状における力は出せるはず。既走馬との経験の差が鍵になりそうです。6Rのグラジオラスの初戦は思ったほど走れなかった印象ですが、もっとやれそうな雰囲気を感じる馬。間隔が空いたことをいいほうに考えて前進に期待しています。
日曜も中山で6鞍に騎乗します。1Rのサパテアールは中間しっかり乗り込みつつ東京開催をパスしてここに備えてきました。万全の態勢なので、何としても決めたいところです。6Rのコウキの前走は距離的に忙しかった分の8着で内容は悪くありませんでした。中山1600mは2回目で、当時とは状態も違うので差を詰められると思います。8Rのコスモヨハネは10歳馬ですが、休み明け3走目でもう少し走ってもらいたいところ。暖かくなったことで動きは良くなってきそうです。10Rのマイネルユキツバキは間隔が空いて斤量59キロ。大型で使って上向いていくタイプではありますが、得意コースかつ力がある馬なので次に繋がる競馬にしてあげたい。
今週は新人ジョッキーや新規開業厩舎のデビュー週。毎年のことながら改めて力が入りますね。蛯名正義師は元より、西田師や嘉藤貴行師は騎手時代から切磋琢磨してきたので調教中もよく話をします。管理馬に乗せていただける機会があれば精一杯頑張りたい。そして、高橋祥泰厩舎の解散により来週の中山牝馬Sに出走するスマイルカナは水野厩舎に転厩しました。調教内容や厩務員さんは替わっているのですが、追い切りの感触は凄くいいです。まだまだ能力が落ちているわけではないので、新たな環境でもう一度走ってくれると思います。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。