一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
中山牝馬Sはスマイルカナに騎乗
2022/3/10(木)
先週はサパテアール(1人気)の3着が最高着順。ブリンカーを着けてからは安定していたものの、間隔を空けた今回は道中からフラフラと集中できなかった感じ。調教でそんな節もあったのですが、気が悪いところを見せてしまいました。詰めて使える次走は本来の走りができると思います。オーシャンSのマイネルジェロディ(7人気14着)はゲートの中でのテンションがいつもの感じではなく、二の脚がつかず道中もこの馬らしからぬ手応えでした。小倉の悪い馬場で走ってきての4走目だったので、目に見えない疲れがあったのかもしれません。今回の走りは参考外なので、まだまだこれから巻き返していけるはずです。
この土曜は中山で5鞍に騎乗します。中山牝馬Sのスマイルカナは高橋祥泰厩舎の解散により水野厩舎への転厩緒戦。今回はメンコをして長めからの調教を取り入れており、体と気持ちのバランスが整ってしっかり折り合えています。今の感じなら距離延長にも対応して急かさない競馬ができるはず。このまま終わってしまう馬ではないので、次へのキッカケになるような内容にしてあげたい。
2Rのフランドルブリエは状態的に大きく変わった感じはありません。1200mに戻る今回で改めて適性を見極められればと思っています。3Rのブレイクは前走内容に収穫がありました。東京なら中山というタイプなので前進を見込んでいます。7Rのマイネルニコラスは2週続けて追い切りに乗せていただいて順調に仕上がりました。前走の2400mは気持ち長い印象を受けたので、新馬勝ちのコースに戻る今回は力が入ります。9Rのアドアステラは、いつも調整は厩舎にお任せというパターン。自分で競馬を作れるタイプではないので、展開が向いてくれることを信じて後方から末脚勝負に徹します。
日曜も中山で4鞍に騎乗します。5Rのヒメゴゼンは初めての2000m。折り合い面が鍵になりますが、上手くタメを利かせられれば新味が出るかもしれません。7Rのネレイドは調教の動きがとてもいいです。凄く行きっぷりがいいので、昇級のペースにも戸惑うことはないはず。スピードがあり中山コースも合っているので楽しみにしています。9Rのアオイゴールドの前走は上手く運べたものの悔しい2着。条件ピッタリのコースでもう一度いただけたチャンスを勝利でお返ししたいと思っています。12Rのワールドクルーズの前走は初めての1800mで案外も、力を秘めてそうな馬。距離を詰めることがいいほうに向きそうで、変わってくれそうなイメージを持っています。
今週は休日の月曜に六本木の国立新美術館に足を運びました。好きな絵画がたくさんあるメトロポリタン美術館展が開催されており、いい息抜きができました。音声ガイダンスを聞きながらゆっくりと回りたいタイプなので、コロナ禍で人数制限がされているのは自分にとって有難い限り。5月30日まで会期があるので、是非ともお薦めしたいスポットです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。