一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
おかげさまで連載500回を迎えました
2022/5/5(木)
先週は初めて乗せていただいたトップスティール(5人気)で勝つことができました。馬が若いというか集中力に欠ける面が見受けられたので、外めの枠からモマれずに運べたことが良かった。最後併せ馬の形になったことで、もう一度グッと根性を見せてくれました。能力の高さを感じつつも気性的に出し切れてない部分があるので、キャリアと共にそのあたりがマッチしてくれば十分に上のクラスでもやれそうです。
ベルウッドツクバ(10人気2着)は前任のジョッキー達に、いい馬だからということを聞いており楽しみにしていました。なるほど、返し馬から好感触で競馬も上手くいってやったかと思ったのですが、惜しむらくは一頭強かった…。あの内容もフロックではないのでチャンスが近いはず。クロミチャン(7人気4着)は2戦目で内容が良くなりました。どうしても前半の行き脚がつかないものの、終いは余りあるいい脚を使っています。調教の良さが競馬に繋がったので次走が楽しみです。
この土曜は東京で8鞍に騎乗します。1Rのサプライズイベントはよく調教に乗せていただいています。まだ非力で幼さがあってこの時期デビューなので、使って慣らしつつになるかもしれません。2Rのルピコラは一戦毎に上向いており、一連の内容からもこの条件が合いそう。着順を上げてこれるイメージを持っています。3Rのラブミードゥも調子が上がっており、追い切りの感触も凄く良かった。中山1200mは気持ち忙しい感じがあったので、このコース替わりはプラスに向くと思います。
4Rのデルタインディもなかなか上向くのに時間がかかってこの時期デビュー。使いながらのタイプと見ています。6Rのフォトスフィアの前走は少し状態が上向いてきたタイミングでレースだったので、休み明けの分だと思います。中1週でも疲れは感じないので、もう一歩前進があるはず。8Rのグルナピークはモマれ弱いところがあるので、交流からの距離延長はプラスに出そう。嫌気を差すと自分からヤメてしまうため、道中上手く運んであげたい。11R(プリンシパルS)のマイネルクリソーラは別の馬に乗っての併せ馬で動きを見ていましたが、調子良さそうに走っていました。この馬は競馬場に着いてからのテンションが課題になるので、パドックから返し馬と落ち着かせてレースに臨んであげたい。
日曜は中京で3鞍に騎乗します。10Rのコムストックロードはレースでは久々の騎乗ですが、追い切りに乗せていただいて状態の良さを感じています。大きく成長した印象こそないものの、前走勝ちのコースで、2歳時には重賞でも好走したポテンシャルがあります。自ずと力が入る一戦です。11Rのサンライズオネストはまたチャンスをいただくことができました。より一層力をつけてキャリアを積んでいるので、前走の高松宮記念と同じ舞台で結果に拘りたい一戦です。12Rのマイネルレンカは9頭立てで競馬がしやすそう。2走前に乗った時の雰囲気が良かったので、あの感じまで戻っていれば着順を上げられると思います。
先程、当コラムが連載500回を迎えたということを聞きました。かれこれ2012年の11月から開始しており、思えばコスモオオゾラの菊花賞を怪我で乗れず、悔しかった休み明けのタイミングからだったのが懐かしいです。続けさせてもらっている競馬ラボにも、愛読していただいているファンの皆様にも感謝しかありません。なかなか書いたとおりの結果にならず落ち込む時もあるのですが、それが糧となりモチベーションにも繋がっています。まだまだ現役を続けていきますし、皆様の参考になるような内容にしたいといつも思っていますので、引き続きのご愛顧をよろしくお願いします。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。