一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
2歳新馬戦が始まります
2022/6/2(木)
先週はルピコラ(5人気3着)が最高着順。堅実に走れるようになって頑張っていますが、内から何頭も出して来られて、一旦下げざるを得ないような競馬に…。スタートは良かったのですが、勝ち馬について行くことができず外枠が痛かった。ただ、あとひと押しという段階まできています。マイネルシデン(13人気4着)は血統的にダートなのですが、返し馬から意外や芝向きの走り。その感触がレースにも繋がって、今後への兆しが見えてきました。初めて乗せていただいたピンクコーラル(11人気5着)は凄く真面目で一生懸命に走っています。今回が3走目でまだまだ上積みがありそう。距離を延ばしたのも良かったのだと思います。
この土曜は東京で3鞍に騎乗します。4Rのコスモエクスプレスは本当に内容が一戦毎に良くなっています。東京1400mもベストの舞台だと思うので、勝ち切ることだけを考えて乗りたい。6Rのミニョンルミエールも強い相手と戦ってきました。前走後は間隔を空けていただいてこのレースに備えてきました。今の未勝利でフレッシュな状態なら力の違いを見せてくれるはず。10Rのコスモヨハネは年齢的なもので硬さがあるので、暑い時期のほうが力を出せそう。能力的に落ちたところは感じないので、次に繋がるレースができればと思っています。
日曜も東京で騎乗します。6R(2歳新馬)のベルウッドアラシは今週初めて追い切りに乗せていただきましたが、水準の動きをしています。ただ、周りに気を使うという話を聞いているので、場所が変わったり、G1デーの新馬戦で調教どおりの力を出せるかどうか。平常心で臨めればいい競馬になりそうな感触です。
今週の東京でマイネルさんの新馬デビューはありませんが、来週以降に続々とデビューする予定。自分が乗せていただいていた馬の子供だったり兄弟だったりという血統が世代に多く、思い入れを感じながら調教に跨っています。日本ダービーは武豊さんのスターぶりをジョッキー目線でもまざまざと感じました。大舞台でのロスのなさと勝負強さを心から尊敬しますし、大先輩にあんな最高のお手本を見せていただけたなら、僕もまだまだベテランなどと言ってられません。来年こそはあの舞台に戻りたいです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。