一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
京成杯AHはコムストックロードに騎乗
2022/9/8(木)
必死に勝利を目指したものの、新潟最終週は3頭の3着が最高着順でした。チューウィー(4人気)は仕掛けてからの反応良く、直線も進路が開いて現状における精一杯の走りをしてくれました。今後は地方に出て、勝ち上がった後に中央に戻るプランになりそう。力がある馬なのでそれは叶うはずですし、また1勝クラスでコンビ組める日を心待ちにしています。
コスモチプリア(6人気)は調教の感触よりも、競馬に行ってしっかり走ってくれました。当週に動きが上がったと聞いて臨みましたが、そういったタイプであれば2戦目はより楽しみです。ローズピリオド(6人気)は久々に乗せていただきましたが、改めていい馬ですね。跳びが大きくてペースの緩急の対応に戸惑いはあったものの、クラスでも上位の能力を感じました。まだ上積みありそうな次走が楽しみです。
開幕週の土曜は中山で5鞍に騎乗します。2Rのクライノートは使った後も順調で中間の動きが良くなっています。コース替わりかつ距離延長はプラスに出そうなので、変わり身を見せてくれるはず。
3Rのマイネルアラウダは調教で動き切れないところがあってのデビュー戦だったので、それを思えば悪くない内容でした。使った上積みとコース替わりで前進に期待しています。7Rのマイネルパリオートの前走は着順こそ案外も、馬の雰囲気は良くなっており復調の兆しがありました。状態さえ伴えば中山コースも悪くないので、もう一歩前進に期待しています。
9Rのシルヴァーゴーストは前走後も追い切りに乗せていただいていますが、引き続き好感触。頭数も手頃な自己条件で改めて期待しています。10Rのルミナスラインの前走は休み明けに加えて、この馬とすれば1F長かった。それでも感触は良かったので、一度使って中山1200mなら変わってくれるはず。
日曜も中山で5鞍に騎乗します。京成杯オータムHのコムストックロードの前走は、荒れている馬場かつ多頭数の内枠が全てでした。4着とはいえ力をつけた感触がありましたし、ハンデ51キロなら重賞でも頑張ってくれるはず。コントロールしやすい馬なので、中山1600mは問題ないと思っています。馬場がいい開幕週でスピードを存分に活かしてあげたい。
3R(2歳新馬)のマイネルサンテは今週の追い切りで初めて跨りましたが、背中がいい馬で反応も良かった。緩さや前向きさに欠ける面がありつつも、現時点でどこまでやれるか楽しみ。使えばさらに良くなりそうで、将来性を感じています。7Rのガトーフレーズの前走は1400mで追走面に苦労しました。一度使っての距離延長でまずはキッカケを掴んであげたい。
8Rのマイネルサハラの前走はブリンカー効果が覿面で内容も良くなりました。右回りが得意な馬でもあるので、勝っているコースで前進してくれると思います。10Rのフォースオブウィルの前走敗因は鼻出血です。一度リセットして、この開幕週までじっくり乗り込んできました。ゲートに課題などもありますが、むしろ久々のほうが力を出せるタイプ。スムーズに運べば巻き返してくれるはず。
新潟開催を勝てないまま終えてしまったのは残念ですが、最終週も乗せていただいた馬の持ち味は引き出せたと感じています。次走への権利を獲れている中山巧者も少なくないので、掴んだ感触と溜めてきたものを秋競馬に繋げたい。京成杯AHはスマイルカナとの苦楽を思い出すレース。結果を出してメンタル面も勢いに乗りたいところです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。