一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
勝って締めくくりたいロングラン東京最終週
2023/6/22(木)
先週はクラークテソーロ(10人気4着)が最高着順。直前の金曜に乗せていただいたゲート練習効果でスタートは出てくれました。まだ気持ちが自分から前に前にという感じではありませんでしたが砂を被っても問題なく、最後は内の狭いところからしっかり伸びています。先に繋がる初戦になったと思うので、上積みと相まって次走が楽しみです。
最終週の土曜は東京で5鞍に騎乗します。2Rのビルドラポールの前走は速い時計に対応してよく頑張ってくれました。中1週なので目に見えない反動だけが心配ですが、同じだけ走ってくれれば自ずと勝機はあるはず。
3Rのトーアカラカウアは続けて追い切りに乗せていただいています。能力を感じる馬ですが、自分からフッとヤメてしまうような面が見受けられます。しっかり集中させながら走らせてあげたい。4Rのコスモシャングリラは番組の関係で距離短縮になりますが、自分から競馬が作れるタイプではないので、展開面がかみ合うかどうかのほうが重要。流れさえ向いてくれれば勝てるだけの脚力を持っている馬です。
6R(2歳新馬)のスノーピーコックは続けて追い切りに乗せていただいて、仕上がりの良さを確認しています。気持ちが前向きで一生懸命に走ってくれる馬。非力なタイプなので馬場状態がカギになりそうですが、現時点の力は出し切れるはず。9Rのコスモルーテウスの前走は距離を詰めたことで集中力が続いてくれました。連闘でも同じコースを使えるのはプラスなので、フロックではないという証明がしたいですね。
日曜も東京で5鞍に騎乗します。3Rのベルウッドアラシは自分から控えてしまう気性面をカバーするべくブリンカーを着用します。調教ではいくらかでも効果を感じており、このタイミングで持っている能力を引き出してあげたい。4Rのマイネルペルセウスの前走はこれまでを思えば進みが良くて内容あるレースでした。良馬場になると時計面の心配はあるのですが、少頭数と距離延長の分で対応してくれませんか。
6Rのインテンスシチーの前走は速い時計に対応して頑張ってくれました。中間も変わらず順調で、もう一歩前進してくれそうな感触です。11Rのコムストックロードは今年に入っての成績が案外も、キッカケさえ掴めばオープンでも全然走れるはずの馬。得意コースのハンデ戦でそういったタイミングにしてあげたい。
ロングランの東京開催もいよいよ最終週。工夫して乗りながらも厳しい戦いを強いられてきましたが、自分で権利を獲ってきた馬達とオーラスに臨めるのは何より。結果を残して待ち焦がれていた福島開幕週に勢いをつけたい所存です。調教も忙しくさせていただいており、開催替わりの来週から5時乗りに早まります。慣れるまでの1時間は毎年大変なのですが、馬も大分汗をかいているので、そんなことも言ってられません。前向きに気持ちをリセットして本格的な夏競馬に向かっていきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。