一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
今週も勝利を目指して乗ります
2023/11/9(木)
先週は新馬のコスモエスメラルダ(1人気)で勝つことができました。最初は動けなかった馬なのですが、十分に乗り込んで、ゲートなど調教で教えてきたことがしっかり結びついてくれました。そんな中でも道中フワフワするところがあり、4コーナーで早めにステッキを入れるなど鼓舞しましたし、そのあたりからもまだ上積みが見込めます。ファンの皆さんが推してくれた人気に応えられて何よりです。
この土曜は東京で5鞍に騎乗します。3Rのヤルダバオトの初戦は外を回らされる格好になり、最後はよーいドンの6着。使った上積みが見込めそうなタイプで、少頭数でロスなく運べれば自ずと着順は上がるはず。
5R(2歳新馬)のコスモラミントンはゲート試験や続けて追い切りにも乗せていただいています。いいモノを持っていますが、6月生まれで成長の余地を残してのデビュー戦。そんな中でもやるべきことはやってきたので、現時点でどこまで走れるかが楽しみです。6R(2歳新馬)のキタノヴァリューも調教をしっかりこなしてきましたが、心身共に幼さを感じます。能力はありそうなのですが、使いつつ上向いていくタイプかもしれません。
日曜も東京で8鞍に騎乗します。2Rのパーセルペーパーは2戦目の前走が思っていたよりも落ち着いており、レースも悪くない内容でした。今回も間隔が詰まるので、前走同様にパドックや返し馬から気をつけたい。平常心で臨めれば今回も崩れることはないと思います。
3Rのコスモマチュアーは精神的に幼くて能力を発揮できていない現状。まだまだ覚えさせることが多い馬ですが、素質は感じるので一歩前進させてあげたい。8Rのマイネルニコラスは2回使いましたが、長く休んだ分の影響が尾を引いています。2勝クラスでもやれることは間違いないので、そろそろキッカケを掴めるような走りを期待したい。
10Rのアインゲーブングは格上挑戦の前走でも持ち味を出せています。今回は自己条件の牝馬限定戦。色々と走ってきた中でもマッチしている番組だと思いますので、ソツなく乗って一発を狙いたい。11Rのペイシャフェスタは今週の追い切りに乗せていただきましたが、操縦性が良くて乗りやすく、仕掛けると凄くいい反応。レースでは初めてなので比較できませんが、走り慣れたコースでハンデ52キロなら十分にチャンスがありそうな感触です。
坂路リニューアルから1ヶ月ちょっと経ちました。チップが馴染んできたこともあるのか負荷がかかって2歳馬などは動き切れない印象ですが、ウッドだけの調教だと全身が上手く使えないようになるんです。追い切りのみならず、キャンターでも坂路に入れているとバランスや反応が変わってきます。夏に閉鎖されていたことでその重要さを感じるようになりましたし、来年あたりは改めて美浦の馬がパワーアップしてくると思います。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。