2016年の阪神JSでJRA史上初の同一重賞7年連連対記録などJUMPレースの顔として活躍する高田潤騎手。 そして、ファンサービスの積極性は競馬界一とも噂される熱き男の生の声をお届けします!
フランス遠征を終えて(その3)
2015/6/5(金)
先週の京都ハイジャンプでは人気に応えられず、若干凹み気味の高田潤です……(T_T)
応援して下さった皆さん、すみませんでした。
また気持ちを切り替えて気合い入れていきます!
それでは前回の続きです↓↓
(続き)
フランスのオートゥイユでのレース当日は、緊張からかめちゃくちゃ朝早くに目が覚めました。
というか、正確にはあまり眠れませんでした;^_^A
海外のほとんどの競馬場では、日本みたいな調整ルームが存在せず、前日から監禁されることはありません。
ですので、自分が騎乗するレースの2時間前までに競馬場に来ればオッケーです。
もちろん携帯電話の使用規制もなく、レース前だからといって特に厳しい規則もありません。
JRAでは考えられない、レース前日に普通に夜ご飯を食べに行ってホテルに泊まっているというだけで何だか変な感じがしました(^^;;
この日のオートゥイユでは、全部で8レースが施行されていて、第4レースと第6レースにG1が組まれており、この時期は日が長いため、第1レースは14:00スタートでした。
僕が乗っていたのは第8レースで発走時刻は18:55だったので、規則的には16:55までに競馬場に来ればよかったのですが、
もちろん僕は、第1レースが始まる1時間前には競馬場に到着していました ;^_^A
まだまだ日本とは違うところがたくさんあって、フランスでは、レースまで時間があるジョッキーは普通にスーツを着て、お客さんに混じり観客席からレースを見ています!
ジョッキーが場内にいるからといってお客さんが騒ぐこともなく、声をかけたとしても「おぅ!◯◯!次のレース頑張れよ!」みたいな軽い程度です。
ですので僕も、普通にお客さんに混じってレース観戦をしていました!
自分が騎乗するレース当日に、観客席からレースを見ることなんてありませんので、日本との文化の違いを
物凄く感じました!!
そして、ひとレース終わるごとに緊張感も増していきました(笑)
第4レースでは、僕が今回フランスに来るキッカケとなったG1レース『パリ大障害』が行なわれたんですが、
このレースは、6000メートルの距離に加え、68キロの斤量を背負い、どデカい障害を含む23個の障害を飛越しなければならないというタフで過酷なレースです。
この、映像でしかみたことのない、想像を絶するような手に汗にぎるレースを目の前でみれるとあって、スタート前からめちゃくちゃワクワクしました!!
パドックからも物凄い熱気が伝わりました(T_T)!!
分かりづらいですが観客席の熱気も凄いです!!
そして、そんな大歓声の中レースがスタートしたんですが、僕も完全にいちファンとしてみていまして、レース中はホントにずっと鳥肌が立ちっぱなしの白熱した戦いでした(T ^ T)!!
人が多すぎてレースの写真はうまく撮れなかったんですが、日本のジャンプレースでは想像出来ないほどの歓声や拍手が沸いていました!!
本当に本当に素晴らしいレースでした(T ^ T)!!
そうこう興奮している間に僕のレースの時間も近づいてきまして、準備に入りました。
まわりには誰も知らないジョッキー達の中、一人寂しく着替えを済ませて、ストレッチをしていると、、、
『やぁ、よく来たね!!』
と、ひときわオーラを放つ一人のジョッキーが、僕の前にきて、スッと手を差し伸べてくれました!!
「えっ!?あっ…!? メルシー…、あ、じゃないや。。 ボッ、ボンジュール!! アッ、アンシャンテ!!!!!!」
アタフタしながら数少ない知っているフランス語をならべ、挨拶をしました( ̄▽ ̄;)!!
失礼ながら誰かもわからず、とっさに通訳の人に助けを求めたところ、
『騎手会長のジャック・リコーです!よく来たね!って言ってるよ!』
ジャッ、ジャッ、ジャック・リコー(◎_◎;)!!
そうなんです!!
いままさにパリ大障害を制したばかりのジャック・リコー騎手が、僕みたいなヤツのためにわざわざ挨拶に来て下さいました(T_T)!!
日本でいう武豊さんみたいな人です!!
なんと、ジャック・リコー騎手はこの日、パリ大障害を含むG1を2勝と他のレースでも勝ち、3勝を挙げていましたσ(^_^;)
自分のレース前にそんなスーパースターに声をかけていただき、めちゃくちゃテンションが上がりました!!
この日はレースを終えて帰る準備をしていたところでしたが、嬉しさのあまり写真までお願いしちゃいました(笑)
めちゃくちゃカッコイイです。。(≧∇≦)ノ
そして尚且つ!!
『僕がG1で勝った鞍を貸してあげるから、リラックスして頑張ってね!!』
と言って、鞍まで貸してくださいました(T_T)!!
ジャックさん、どこまでいい人なんだーーっ(>_<)!!
カッコよすぎる。。
自分もそうなりたい。。
そんなモチベーションがMAXになったところで、検量の時間がきました。
なんと、僕が騎乗する馬の斤量は70キロです( ̄◇ ̄;)
日本ではまずありえない斤量にビックリしましたが、フランスでは当たり前です;^_^A
1週間もフランスにいて、毎日たくさんフランス料理を食べていたので、さぞかし体重が増えているだろうなと思っていたんですが、、、
いざ体重計に乗ってみると、日本にいるときと全く変わっていませんでした(笑)
結局、鞍に大量の鉛を詰めなければいけなくなりました…( ̄▽ ̄;)
検量室で『もっと食べないとダメだぞ(笑)』って言われながらも、なんとか鉛を詰めこんで、検量も無事クリアしました;^_^A
検量の終え、装鞍を済ませた後は、
いよいよパドックです!!
(続く)
プロフィール
高田 潤 - Jun Takada
1980年11月3日生まれ、大阪府出身。
1999年に松田博資厩舎所属から騎手デビュー。デビュー当初から、平地・障害の垣根を越えた活躍を続けると、2006年にはドリームパスポートで神戸新聞杯を制覇。これが平地重賞初勝利となった。
一方、2008年にはキングジョイとのコンビで中山大障害を制し、キャリア初のJG1勝ち。2013年には待望の障害リーディングに輝いた。
また、2009年には師匠である松田博資師の元を離れ、フリーに転向。2012年にも生涯の伴侶を得るなど、公私ともに充実期を迎え、障害競走の次代を担う存在として更なる活躍が期待される。