2016年の阪神JSでJRA史上初の同一重賞7年連連対記録などJUMPレースの顔として活躍する高田潤騎手。 そして、ファンサービスの積極性は競馬界一とも噂される熱き男の生の声をお届けします!
ダローネガ、安らかに…
2017/5/5(金)
先週の僕のTwitterをご覧頂けた方はご存知だと思いますが、
騎手という仕事をしている上で最も辛い出来事がありました。
(以下、Twitterより)
知ってる方も多いと思いますが、ダローネガの勝利目前での故障…
仕上がりも万全で、完璧な飛越と最高の走りをしてくれていたのになんでこんなことに…
正直、原因は全くわかりませんが手綱を握っていたのは僕なんで、全ての責任は自分にあると思っています。本当に申し訳なく思っています…。
たくさんのファンに愛され、調教でもレースでも大雪の日でもどんな時でも一生懸命だったダローネガ
これからジャンプ界のスターになる!と厩舎の皆さんと大切に育ててきたので本当に辛いです…
痛い脚で転ばずに踏ん張ってくれて最後の最後まで感謝してもしきれません。ダローネガ、どうか安らかに…
Twitterでは文字制限もありますので、あまり詳しくは書けませんでしたが、このように書かせていただきました。
去年の夏ごろ、初めてまたがったダローネガは、平地時代からオープンクラスを走っていた馬だけあって、物凄い闘争心とパワーがありました。
ですので、障害練習を始めた頃は、なかなか言うことを聞いてくれず、思うような調教が出来ませんでした。
それでも、『このパワーをうまく飛越にいかれせば!!』という思いで、佐々木調教師をはじめ厩舎スタッフの皆さんと試行錯誤をしながら、一生懸命教え込んでいきました。
ものすごく時間はかかりましたが、その甲斐あって、ダローネガは一戦ごとにレースを覚えていき、本当に素晴らしいジャンプホースに成長していってくれました。
最終的に最後のレースとなってしまった先週のレースに至っては、完璧といえる飛越と立ち回りで、最高の走りを披露してくれました。
この馬はこれからどこまで強くなるんだ?と思わせてくれる走りだったと思います。
僕は競馬の神様は絶対にいると思っていますが、競馬はそのおかげでたくさんのドラマを生み、人々の感動を呼び、歓喜の瞬間が訪れると思っています。
しかし、競馬の神様は時に、何て残酷なんだ。と思うこともあります、まさに今回がそうでした。
競馬の世界に身を置いている以上、なかなか避けては通れない理不尽で不運な瞬間…
訪れてしまった辛さしかないこの瞬間を乗り越えていかなければならないのも、騎手という職業なのかもしれません。
本当にめちゃくちゃ辛いし、何もやる気が起きないというのが正直な気持ちではありますが、まだまだこれからたくさんの馬たちが待っているわけで、自分がしっかりしなきゃこれから一緒に戦っていく馬たちにも申し訳がありません。
ですので、しっかりと気持ちを切り替えて前に進んで行こうと思います。たくさんのファンと関係者の皆さんの期待を背負っていつも一心不乱にゴールを目指したダローネガのように。。
自分の頑張る姿を見せることが弔いになるように。。
ダローネガ、ありがとう。
プロフィール
高田 潤 - Jun Takada
1980年11月3日生まれ、大阪府出身。
1999年に松田博資厩舎所属から騎手デビュー。デビュー当初から、平地・障害の垣根を越えた活躍を続けると、2006年にはドリームパスポートで神戸新聞杯を制覇。これが平地重賞初勝利となった。
一方、2008年にはキングジョイとのコンビで中山大障害を制し、キャリア初のJG1勝ち。2013年には待望の障害リーディングに輝いた。
また、2009年には師匠である松田博資師の元を離れ、フリーに転向。2012年にも生涯の伴侶を得るなど、公私ともに充実期を迎え、障害競走の次代を担う存在として更なる活躍が期待される。