2016年の阪神JSでJRA史上初の同一重賞7年連連対記録などJUMPレースの顔として活躍する高田潤騎手。 そして、ファンサービスの積極性は競馬界一とも噂される熱き男の生の声をお届けします!
ありがとう、オースミムーン
2017/8/4(金)
先週ようやく実戦復帰の高田潤です。
復帰戦となった先週土曜日の小倉サマージャンプ(J・G3)は5着と残念な結果に終わってしまいましたが、騎乗したオースミムーンは本当にいい走りをしてくれたと思います(>人<;)
そのオースミムーンですが、レースが明けた今週の水曜日、引退が発表されました。
レース後すぐに引退の旨は聞かされていましたが、改めてメディアを通じてJ重賞6勝馬の引退の文字を目にすると、やはり感慨深いものがあります。
最後のレースとなりました今回の小倉サマージャンプでは、体調も良く万全の状態で臨みました。
レース自体の展開や流れもムーンにとっては絶好の形になりましたが、本来のチカラは発揮できませんでした。。
レース後も、いつもより疲れている様子で、これまでに何度も強力なメンバーの重賞の舞台で戦ってきた歴戦のダメージが少なからずあったのかもしれません…
この状態をみて、オーナーは「これ以上ムーンにダメージを負わせるわけにはいかない」と、すぐに引退を決められたそうです。
全盛期のパワーは発揮できないにしろ、正直まだまだ重賞の舞台で戦えるチカラはありますが、即座に引退を決められたオーナーの決断には、オースミムーンに対する愛しかありません…(T_T)
どんなに強い馬でも、いずれは必ず引退の時が来ます。
騎乗する騎手側にとっても、とにかく引退まで無事に走ってくれ!という想いでいつも乗っています。
ずっとレースでコンビを組んでいる馬ほど、その想いは強くなるものです。
僕はオースミムーンの障害全25戦のうちの13戦でコンビを組ませて頂きました。
障害レースで一度も競走を中止することなく25戦全てで完走することは、並大抵の馬では出来ません。それに加え、ムーンはJ重賞を6回も勝利しています。
今までにJRAの障害障害を6勝以上した馬はムーンを含めてたしか5頭ほどしかいないはずですので、いかにムーンが凄い馬だったかということがわかって頂けるかと思います。
ムーンのような素晴らしい馬に騎乗できたことは騎手として誇りに思いますし、本当にありがたいことです。僕自身も勉強になることもたくさんあり、騎手として自分を成長させてくれた1頭だと思っています。
少し寂しい気持ちはありますが、これだけお世話になった馬が無事に引退を迎えることができて、ホッとしている部分もあります。
引退後のムーンは馬事公苑で誘導馬としてのリトレーニングをされ、東京かどこかの競馬場で誘導馬として登場する予定だそうです。
ムーンは普段の調教でも本当に優等生で飛越も抜群で、僕はいつも調教で跨っているときは「ムーン先生」と呼んでいました(^^;; まさにジャンプホースのお手本のような馬ですので、乗馬の世界にいっても絶対に活躍してくれると思います。
これからは全速力で走ることもないと思いますので、ムーンには今まで頑張ってきた分、ゆっくり休みながら、たくさんの人に可愛がって貰い、これからの馬生を存分に楽しんで欲しいと思います!!
そしていつの日か、誘導馬として僕が出ているレースで誘導して欲しいですね(^^)
ありがとう、オースミムーン!!
プロフィール
高田 潤 - Jun Takada
1980年11月3日生まれ、大阪府出身。
1999年に松田博資厩舎所属から騎手デビュー。デビュー当初から、平地・障害の垣根を越えた活躍を続けると、2006年にはドリームパスポートで神戸新聞杯を制覇。これが平地重賞初勝利となった。
一方、2008年にはキングジョイとのコンビで中山大障害を制し、キャリア初のJG1勝ち。2013年には待望の障害リーディングに輝いた。
また、2009年には師匠である松田博資師の元を離れ、フリーに転向。2012年にも生涯の伴侶を得るなど、公私ともに充実期を迎え、障害競走の次代を担う存在として更なる活躍が期待される。