毎週、馬体FOCUSにて馬体診断を披露している某大手牧場の元スタッフが、YouTubeで更に詳しい解説を公開中!今すぐ見る⇒

アクアミラビリス

(牝3、栗東・吉村厩舎)

ヴィクトワールピサ
アクアリング
母父Anabaa
通算成績4戦2勝
連対時
平均馬体重
423kg (最高:428kg)
(最低:418kg)
前走時馬体重408kg
POINT
背中側が短く、腹側が長く見える胴の造り。伸縮性に優れた構造で、世代屈指の切れる脚を発揮できるのも納得。桜花賞当日の馬体重が408キロと小柄な馬ではあるが、トモの筋肉は輪郭がハッキリとしており、下腿部にも血管が浮いている。骨格は大きくないものの、付くべきところに筋肉が付いておりコンパクトに良くまとまった馬体だ。素軽いタイプのため、スローペースからの瞬発力勝負を望むところか。半姉クイーンズリングよりも胴が短めで、前後に詰まった体型をしている。シルエットを見てもやはり距離はマイルが合う印象で、2400mへの距離延長もプラスとは言えない。ただ背腰には銭型が薄っすら浮いており、毛艶が良い。立ち姿から前走大敗のダメージは感じさせない。東京への輸送を控えているが、腹周りを見ても馬体はキープできている。

ウィクトーリア

(牝3、美浦・小島茂厩舎)

ヴィクトワールピサ
ブラックエンブレム
母父ウォーエンブレム
通算成績5戦3勝
重賞勝利 19年サンスポ賞フローラS(G2)
連対時
平均馬体重
466kg (最高:470kg)
(最低:462kg)
前走時馬体重466kg
POINT
四肢が長く全体にスラッとした印象を与える立ち姿。胴の造りもゆとりがあり、クビも細くて長め。前回のコラムでも触れたように、他馬との比較では距離延長は有利に働くだろう。このレースへの適性は高そうな印象だ。父に似て飛節の折りが深めなので小脚も使えると評したが、フローラSで直線一気を決めたのは想像以上だった。G1を前にして、自在性が出てきたのは大きい。前走の立ち写真では2歳夏と比較して着実に成長していることを示していて、今回も馬体の張りは上々。トモにも大きなスジが浮いており、下腿部にも血管が浮いている。10日競馬での参戦になるが前走と変わらない馬体をキープしており、この短期間で大幅な上積みは無いが、引き続き良い状態でレースを迎えられそう。
今週のイチオシ

エールヴォア

(牝3、栗東・橋口慎厩舎)

ヴィクトワールピサ
フィーリングトーン
母父ワイルドラッシュ
通算成績6戦2勝
連対時
平均馬体重
503kg (最高:510kg)
(最低:496kg)
前走時馬体重508kg
POINT
四肢は長くスラッと見せており、身長も高い。加えて背中の長さも目立つ構造をしており、胸の角度もあって大きな心臓や肺を持っていそう。いかにも距離が延びて良さそうなタイプだ。父譲りの折りの深い飛節で瞬間的に速い脚を使える構造ではあるが、牝馬の中でも500キロを超す大柄な馬格を誇るだけに、長く脚を使わせるレース運びが合っていそう。広い東京コースへ替わるのもプラスと言えるだろう。馬体重に見合った筋肉量があるものの、骨格自体が大きいため重苦しい印象は無い。晩成傾向の強い母系出身だが、筋肉の輪郭が明瞭でトモの張りもパンとしている。好仕上がり。

カレンブーケドール

(牝3、美浦・国枝厩舎)

ディープインパクト
ソラリア
母父Scat Daddy
通算成績5戦2勝
重賞勝利 19年スイートピーS(L)
連対時
平均馬体重
466kg (最高:470kg)
(最低:464kg)
前走時馬体重464kg
POINT
やや前重心だが、全体にバランスが整っていて美しいシルエットを披露している。母父がストームキャット系のスキャットダディで血統的には短距離色が強いものの、胴周りの造りはゆったりとしており、骨格に対して見ると長めに映るほど。クビも細身で、距離に対する適性は高そうだ。馬格は平均サイズにまとまっていて、筋肉の輪郭がハッキリとしている辺り、母父の米国血統が発現していると見て良い。繋ぎは短めで、とにかく蹄が薄い。高速決着が続く東京芝も合っているのでは無いだろうか。今回が初の立ち写真で過去比較は出来ないものの、毛艶はピカピカで、肋骨も薄っすら浮いた理想的な状態に仕上げられている。前腕や下腿部にも血管が確認できるように、馬体の張りも上々だ。
今週のイチオシ

クロノジェネシス

(牝3、栗東・斉藤崇厩舎)

バゴ
クロノロジスト
母父クロフネ
通算成績5戦3勝
重賞勝利 19年デイリー杯クイーンC(G3)
連対時
平均馬体重
437kg (最高:440kg)
(最低:436kg)
前走時馬体重434kg
POINT
前走時の馬体重が434キロ。筋肉の付き方は比較的なだらかで、ズバ抜けて見栄えするタイプの馬ではないが、全体のバランスが整っていてシルエットが美しい。一見すると華奢に見える牝馬らしい体型も、胸の角度も深く、心臓・肺周辺の容量が広い。すなわち心肺機能に優れた構造と言える。クビも細めで長く、そして顔が小さい。頭部が大きいと前重心になりやすく短距離志向が強くなる。この馬はその逆と考えれば、距離延長はむしろプラスに働くのでは無いだろうか。長距離を得意とする馬には、スレンダーに見せる体つきをした馬も多い。芦毛は毛艶や馬体の張りが判別しづらい面があるものの、今回は筋肉の輪郭がよりハッキリとしてきた。毛艶にも光沢があり、前走以上の状態で本番を迎えられそう。デキ、適性は共に文句なし。

コントラチェック

(牝3、美浦・藤沢和厩舎)

ディープインパクト
リッチダンサー
母父Halling
通算成績5戦3勝
重賞勝利 19年フラワーカップ(G3)
連対時
平均馬体重
464kg (最高:468kg)
(最低:458kg)
前走時馬体重466kg
POINT
今回が初の立ち姿。まず馬体を見て感じるのは、そのバランスの良さ。それぞれのパーツが調和しているため、直感的に美しいと感じさせるようなシルエットを披露している。リッチダンサーの仔で初のディープインパクト産駒だが、前走時で馬体重が466キロとは思えないほど兄姉と同様に肉付きが良い体型をしている。スピードがあるタイプのため距離延長がプラスとは考えていないものの、前述の通りバランスが整っているため重苦しさは全く感じない。胸の角度も深く、心肺機能、絶対能力が純粋に高そうだ。腹周りは若干ふっくらとして見えるが、これもこのきょうだいに通じる特徴。レース間隔はやや開いたが決して太め残りではなく、トモの筋肉もパンとして張っている。毛艶も黒光りして代謝の良さを感じさせ、調子は良さそう。能力をフルに発揮できる好仕上がり。

馬体診断における基本ポイントを伝授!奥が深い馬体の世界に足を踏み入れてみよう!

シェーングランツ

(牝3、美浦・藤沢和厩舎)

ディープインパクト
スタセリタ
母父Monsun
通算成績6戦2勝
重賞勝利 18年アルテミスステークス(G3)
連対時
平均馬体重
477kg (最高:480kg)
(最低:474kg)
前走時馬体重462kg
POINT
父ディープインパクト譲りと言えるバランスの良さを受け継ぎつつ、胸前~肩周りの筋肉が盛り上がるように発達している。また、腹周りも丸みがあり、腹袋が大きめ。この辺りを含め、全体にどっしりとした重厚感のある立ち姿は母父のモンズーンが発現したと考えて良い。上がり33秒台の瞬発力を発揮できるスピードも秘めているが、どちらかと言えば底力を要求されるような、長く脚を使うような展開が向いている印象。決して2400m向きの体型ではないが、脚の使い方を考慮すると距離延長はマイナスにはならないか。デビューから馬体重を徐々に減らしてはいるものの、今回は前走よりもふっくらとしたイメージ。輸送を考慮してもプラス体重での出走になりそうだ。前走の立ち写真も悪くないと見ていたが、このくらい膨らみのある状態で変わり身を見せてくれる可能性も。

シゲルピンクダイヤ

(牝3、栗東・渡辺厩舎)

ダイワメジャー
ムーンライトベイ
母父High Chaparral
通算成績4戦1勝
連対時
平均馬体重
457kg (最高:462kg)
(最低:452kg)
前走時馬体重458kg
POINT
父ダイワメジャーは背と腹のラインが平行に近い形をしているが、この馬は背中側が短く見える体型をしている。いわゆる伸縮性に優れた瞬発力型で、曲飛節でサッと速い脚も使うことも可能。桜花賞では狭いところを割って追い込んで来たように、差し・追込脚質ながら器用な競馬ができるのは大きい。なだらかな肩の筋肉のラインを見ても、素軽い瞬発力で勝負するタイプといえる。オークスは比較的小柄な素軽いタイプの好走が多いレースではあるが、この馬は胴が詰まった体型で前脚も短め。マイラー色が強く、距離延長が課題になりそうだ。近2走は馬体重の変動が大きく状態面が気になるところだが、前走から大きく上昇した雰囲気は感じられず、状態キープといった印象。今回は初の関東圏への輸送のため、馬体はこれくらいの造りを維持しておきたい。
今週のイチオシ

シャドウディーヴァ

(牝3、美浦・斎藤誠厩舎)

ハーツクライ
ダイヤモンドディーバ
母父Dansili
通算成績6戦1勝
連対時
平均馬体重
468kg (最高:472kg)
(最低:464kg)
前走時馬体重464kg
POINT
ハーツクライ産駒に多い胴長体型で、距離延長は望むところ。クビも細めで長く、全体の肉付きもシャープな印象。オークスは目に見えて筋肉量が豊富な馬よりも、スレンダーに映るくらいの馬が活躍しており、このレース向きの構造と言って良いのではないだろうか。末脚を持ち味とする馬なので東京コースも合っていて、飛節の折りが深いので、前走のようにインを突くような競馬もできる。最後の直線で混戦になった際、狭いところを割って出られるような脚を使えるのは強み。前走との比較は出来ないものの、トモには大きなスジが浮いていて張りを感じさせる。毛艶も良い。キ甲の辺りを見るともう少し成長しそうなイメージもあるが、現状ベストの仕上がり。このレースに対する適性を高く評価したい。

ダノンファンタジー

(牝3、栗東・中内田厩舎)

ディープインパクト
ライフフォーセール
母父Not For Sale
通算成績6戦4勝
重賞勝利 19年チューリップ賞(G2)
18年阪神ジュベナイルF(G1)
18年KBSファンタジーS(G3)
連対時
平均馬体重
456kg (最高:460kg)
(最低:442kg)
前走時馬体重462kg
POINT
バランスの整ったシルエットに、輪郭のハッキリした筋肉。前走時で馬体重が462キロ、骨格はさほど大きくはないものの、筋肉の主張した体型と言って良いだろう。優れたスピードを生み出す馬体構造で、胴も短く詰まって見える。阪神JFの馬体診断から「短距離志向の強い馬」と評価してきたように、やはり距離適性は短いところにありそう。マイル戦の前走でも気持ち長いイメージだったが、今回は一気に800mの延長。3歳春の牝馬は絶対能力でリカバリーできるケースも多々あるとはいえ、馬体の造りを見る限りは距離が長い印象だ。一方で、毛艶と馬体の張りは素晴らしく、桜花賞時よりも更にパンプアップ。肋骨が薄っすらと浮き上がる中内田厩舎らしいムダ肉の少ない仕上げで、状態面は文句なしと言えるデキだ。

ビーチサンバ

(牝3、栗東・友道厩舎)

クロフネ
フサイチエアデール
母父サンデーサイレンス
通算成績5戦1勝
連対時
平均馬体重
470kg (最高:476kg)
(最低:466kg)
前走時馬体重470kg
POINT
バランスの良さもさることながら、やはり目に留まるのはその豊富な筋肉量。盛り上がるように発達した胸前の筋肉と、丸みを帯びたトモ。特に後躯の充実が目立ち、筋肉の容量も大きく、下腿部には網目のように血管が浮き上がっている。肉付きの良さとどっしりした腹周りを見ても純粋に2400m向きの体型とは言えないが、胸の角度があって心臓、肺周辺部の容量が大きく、高い心肺機能を秘めていそう。父クロフネの影響か使う度にパワー寄りの馬体に変化してきたが、マイルでの走りを見る限り時計勝負になっても対応はできそう。銭型が浮き上がって代謝の良さを感じさせ、トモもはち切れんばかりの張りを見せている。充実期を迎えている印象があり、絶好調と言って良い仕上がり。

ラヴズオンリーユー

(牝3、栗東・矢作厩舎)

ディープインパクト
ラヴズオンリーミー
母父Storm Cat
通算成績3戦3勝
重賞勝利 19年忘れな草賞(L)
連対時
平均馬体重
458kg (最高:466kg)
(最低:452kg)
前走時馬体重456kg
POINT
全兄にドバイターフを制したリアルスティールがいる良血馬。もちろん牡牝の違いはあるとはいえ、兄と同じ厩舎で管理されていることもあり、馬体全体のバランスや筋肉の付き方は3歳時のリアルスティールに似た雰囲気がある。この馬は兄をコンパクトにしたような体型で、胴の長さはこの馬の方が気持ち短め。矢作厩舎は坂路調教が多いこともあって筋肉質な馬が多く、この馬も例に漏れずフレームに対して筋肉量も豊富で、トモも丸みを帯びて張りがある。それ自体は素晴らしい馬体なのだが、2400mの距離は造りを見る限り、やや長いと感じる。しかし胸の角度が深く心肺機能は高そうで、毛艶も光って体調も良さそう。フレグモーネで3戦目を忘れな草賞にした経緯があるものの、今回の立ち写真を見る限りは全く影響なさそう。デキの良さと絶対能力の高さからは目が離せない。
▼各馬の馬体診断は、動画だとより分かりやすい!
競馬ラボに掲載されている記事・写真・映像などの無断複製、転載を禁じます。