競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【毎日王冠】盤石の構え、負けてはいけない戦い
2020/10/6(火)
今年の3歳牡・牝は無敗馬が2冠を制した。そしてそれぞれが3冠目に向かう。そのコントレイルに皐月賞、ダービーと2冠で後塵を浴びたサリオス。皐月賞で半馬身、ダービーではさらに差が開き3馬身差の完敗となった対コントレイルとの戦い。そして秋は路線を替えたようである。ここから中2週で天皇賞は間がなさすぎる。そもそも天皇賞では鞍上ルメールにはアーモンドアイの黄金コンビで不可能である。この後はどこへ誰で行くのか興味津々でもある。
ダービー4着のサトノインプレッサも出走してはくるが、サリオスは負けられない、いや負けてはいけない戦いであろう。1週前にはルメールが乗っての追い切りと盤石の構え。
前走重賞勝ちのザダルとダイワキャグニーは、ともに重賞初勝ちと勢いづいている現在。特にダイワキャグニーは、8勝の全てが東京コースと専ら得意としているコース。ここも注目だろう。
とは言え、ここはサリオスを観るレースだ。
【スプリンターズステークスの回顧】
20年10/4(日)4回中山9日目11R 第54回 スプリンターズステークス(G1、芝1200m)
- グランアレグリア
- (牝4、美浦・藤沢和厩舎)
- 父:ディープインパクト
- 母:タピッツフライ
- 母父:Tapit
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終わってみれば、2着ダノンスマッシュに2馬身差。グランアレグリアがつけた、この2馬身と言う数字がどれだけ凄いのか、過去10年の勝ち馬が2着馬につけた着差を調べると凄さがよく判る。
ほとんどがアタマやクビとか1馬身以内のもの。2011年、カレンチャンが1馬身3/4差をつけたのがこの10年で最大の着差。短距離のスペシャリストが集うG1での戦いでこの差をつけるグランアレグリア。前が飛ばしたからとか、そんな次元での話ではないものを感じさせられるグランアレグリアの切れ味。昨年暮れの阪神カップで目の当たりにした衝撃は今でも思いだすが、この馬の持つ能力にはただただ感心するばかりだ。
他の馬が止まっていると思わせるほどの最後の50メートル。坂をあがってからゴールまでの勢いは別次元の馬の印象であった。安田記念でアーモンドアイをも差し切る末脚。1200がベストとは言わないまでも、能力でそれをも補ってしまう、それがグランアレグリア。
モズスーパーフレアが離し逃げをできなかったのはビアンフェがピッタリとついてきたからだろうが、馬場が悪いのが応えているのはある。あと200手前からステッキが入ったモズスーパーフレア。すぐ後ろにミスターメロディが手応えよく来ていた。その時点でグランアレグリアはまだ10馬身ぐらいの差があった。アウィルアウエィはそこから2馬身ぐらいのドンジリ。必死に粘ろうとするモズスーパーフレアをミスターメロディが追う。
ダノンスマッシュもジワジワと差を詰める。それを尻目にグランアレグリアが一気に加速する。先頭になってもルメールはステッキを2発入れる。それほどの感触、手応えなのだろう。
最後の1ハロンが12.1、これは2年前ファインニードルが勝った時の12.5に次ぐワースト。それがこの日の馬場を物語る。ロードカナロアはスプリンターズSを勝った後に安田記念勝ち。グランアレグリアは正反対だが、今後、ますますG1を勝つだろう。。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。