競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【ジャパンカップ】競馬ファンが望む最高の戦い、世紀の一戦
2020/11/24(火)
秋の天皇賞でアーモンドアイがG1通算8勝を成し遂げたが、その時の2着フィエールマンに3着クロノジェネシスらが出て来たら日本国内の強い馬が勢ぞろいだが、現実的には考えにくい。そもそも、アーモンドアイがここへ出てきたことが驚きであろう。短い間隔での出走。最後の戦いにここを選んでくれた関係者に感謝だ。
今年のクラシックを賑わした3歳牡牝の無敗の3冠馬2頭、コントレイルにデアリングタクトが揃って出走である。競馬ファンが望む最高の戦いとなろう。こんな世紀の一戦を目の前で観られる東京競馬場に集うファンが羨ましい。
外国馬も来日した。凱旋門賞出走のウェイトゥパリス。どうやらMデムーロ騎手とは縁も深い血筋らしい。グローリーヴェイズがアーモンドアイとは最初で最後の顔合わせ。
脇役も多く、楽しみがてんこ盛りなジャパンカップだ。
20年11/22(日)5回阪神6日目11R 第37回 マイルチャンピオンシップ(G1、芝1600m)
- グランアレグリア
- (牝4、美浦・藤沢和厩舎)
- 父:ディープインパクト
- 母:タピッツフライ
- 母父:Tapit
マイルチャンピオンシップ(G1)の結果・払戻金はコチラ⇒
何よりもなのは、グランアレグリアが現在まだ4歳であると言うこと。来年も現役をしてくれるだけで、競馬ファンとしては嬉しい。これほどにマイルまでで強い馬が来年も健在で走ってくれる。それだけで、馬券を買う上でも実に有難い。そして競馬も観る楽しみが続くと言うものである。
月曜の日刊紙では「距離を伸ばすかも知れない」なんて書いてあったが、「今のままでいいのではないですか?」とお願いしたい。今のスタンスでやってくれたら、それだけ安心していられるのかを。。
1200でも十分差し切る素晴らしい末脚。それがマイルであの5番手で競馬をしてしまう。直線で追い出しを待てるから、スペースがないからと無理をしないでもいける。あと1ハロンもあれば十分な時間を確保できる。こんな自在性が利く馬はそうはいない。
ディープインパクト産駒だからの切れなのか、母系に入っているTapitがさらなる能力を与えているのか。とにかく素晴らしい完成度をみせたグランアレグリア。4角から直線へ入る時にルメールがちらっと自分の左側を観た。そこにはインディチャンプの福永が後ろからすり寄り、外へ出さない様にスペースを潰したかと見えた。だからグランアレグリアはそのアクションが終わるまで内目で何もしないで待って外へ出し、そこからステッキをゆっくりと3度入れた。ゴーサインを受けたグランアレグリアは、そこから指示どおりに末脚を繰りだして行ったのである。ゴール前は抑え気味なほど。
サリオスが数字的には最速の脚を使った。だがあの位置では届く訳もない。そもそものイメージはサリオスが外枠からすっと前へ出て行き、グランアレグリアはそれよりも後ろで背中を観ながらの道中になるだろうと読む。それが片やゲートが開いたらすっと絶好な位置にいて、もう一方は馬群の後ろで見つけてしまう。この差は何なんだろうか。
ソツがないルメールの騎乗。強い馬がほぼ力を出し切って勝つ。それが如何に大事かをあたらめて実感させられた今年のマイルチャンピオンシップだった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。