競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【京都金杯】舞台はうってつけの穴馬で初夢を賭ける
2020/12/28(月)
中京競馬場での《京都金杯》開幕日であるが、馬場はどうなのだろう。年末こそなかったが、3週間使った芝で内目は痛んでいるかも。直線でどこへ出てくるかで結果は違う。内を突く時は先行馬が残り、外へ広がる時は差し馬が独占だろう。
条件戦から即、上へあがって結果を出すのはけっこう難しい。ピースワンパラディでも4戦目で勝利。その点でシュリはすぐ突破した。ともに中京コースで2勝と結果を出している。ハンデもそうは付けられまい。
ハンデで言えば、G1馬のケイアイノーテック。阪神での中京記念で57キロとほぼ定量となった。いつもそれなりに脚を使う。舞台はうってつけではなかろうか。最大の穴はこの馬と、初夢を賭けてみたい。
20年12/27(日)5回中山8日目11R 第65回 有馬記念(G1、芝2500m)
- クロノジェネシス
- (牝4、栗東・斉藤崇厩舎)
- 父:バゴ
- 母:クロノロジスト
- 母父:クロフネ
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日曜朝の朝日新聞に《牝馬に嵐、有馬に吹くか》の見出しで一面を割いてあった。見開き一面であるから、かなりな大々的宣伝である。フーンとその時は読みもしなかった。いま原稿を書くために広げている。
「そうだったのか~」、と今さらながら今年一年を振り返る。そんな括りで観ていない自分、発想の違いを感じている。自分の眼で見たものを信じてやって来ているつもりだ。後はそれをどう咀嚼、消化するかの問題だと。どうやら根本的な問題があるのかも知れない。
天皇賞でアーモンドアイに迫った2頭。共にスタートで不利がありながら半馬身、クビ差まで詰め寄った2頭。特にフィエールマンの方が痛手は大きかったと思えた。だからクロノジェネシスが1番人気になる理由が判らなかった。発走時刻が近づいて、クロノジェネシスが2.5倍、フィエールマンが3.5倍とかなり差が広がったのを見ても、まだ自分の見解が正しいと思っていた。だからレースの道中でもルメール騎手がどんどんと前へ出て行く騎乗でさえも、《そうそう、ペースが遅いのだから好判断》だと決め込んでいた。
そして4コーナーで先頭になって、内ラチ沿いを先頭でゴールを目指すのを見て勝利を信じていた。アナウンサーの『外からクロノジェネシス!』のアナウンスが聞こえても、《大丈夫、差し返す》と思っていた。それがゴール前少しのところでルメール騎手が外を見た瞬間に《ああ、ダメだ~》であり、急追したサラキアの勢いにも《3着か~》と力が抜けた。
北村友騎手の冷静沈着な騎乗が目立った。そして2着のサラキアの松山騎手。今年の大活躍が判る。誰しもが思った馬が上位独占だろう。世の競馬ファンの見方が正しかったのである。大勢がクロノジェネシスが強い、勝つと思ったから1番人気なのだ。
ここで去る馬もいる。だが来年にはコントレイルにデアリングタクト、ノームコアもいる。宝塚と有馬を制したクロノジェネシス。来年は新たなライバルとの熱い戦いが待っているぞ。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。