競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【天皇賞・春】27年ぶりの阪神開催の春の盾
2021/4/28(水)
今週は土日に雨マーク。どこまで降るのかでまた難しい考慮が居る。コントレイルに最も迫った同じ世代のアリストテレスが阪神大賞典で思わぬ敗退。道悪も敗因のひとつだったか。アリストテレスが予想もしなかった負け方をしたことで今年の天皇賞は混沌となった。
勝ったディープボンドが5馬身差の楽勝だから、それは素直に強かったと思う。だが2着以下の馬はどうだろう。日経賞組からで十分に立ち向かえるだろう。初タイトルとなったウインマリリン。カレンブーケドールも渋い。1、2着の牝馬勢に3着のワールドプレミア。ガラリ一変もだろう。そしてもうひとつの話題。横山典弘家の3人が揃ってG1騎乗は凄いの一言だ。
【マイラーズCの回顧】
21年4/25(日)阪神11R マイラーズC(G2、芝1600m)
- ケイデンスコール
- (牡5、栗東・安田隆厩舎)
- 父:ロードカナロア
- 母:インダクティ
- 母父:ハーツクライ
マイラーズC(G2)の結果・払戻金はコチラ⇒
土曜にあった事件でケイデンスコールの鞍上が替わった。それもあってか重賞初挑戦のエアロロノアが1番人気。それもケイデンスコールの倍ぐらいの支持となった。レースは昨年の2着馬、ベステンダンクの逃げから始まった。
最内枠で好発、鞍上は最初からこの手を考えていた様な勢いであった。外からフォックスクリークが追随してきたこともあってベステンダンクはピッチをあげる。小気味のいい逃げでフォックスクリークの後ろを離して行く。さすがに1000m通過の55.8はこの10年でも最も早いペース。と、言うか相当なる飛ばしであるベステンダンクの逃げ。
ケイデンスコールにアルジャンナ、エアスピネルにエアロロノアの位置取りは真ん中のちょい後ろ。4頭が前後していた。さすがのベステンダンクも4コーナーを廻ってすぐに失速。後ろに吞み込まれる。
好位に居たダイワキャグニー、カイザーミノルが直線半ばでひしめき合う。最内に進路を見出したギベオンの伸びも目立つ。だが馬場の真ん中を通ってケイデンスコールがすっと反応して伸びて来る。あっと言う間に前の馬群を置き去りにして前に出る。
エアスピネルは前の列に加われない伸び脚。エアロロノアの方がまだしも伸びはいい。だがジワジワっとアルジャンナが脚を伸ばして2着にあがったのが見えた処がゴールだった。ケイデンスコールがちゃんと能力を出し切っての勝利。今年は金杯の勝利から始まって、中山記念2着からここでの勝利と確実に力を出しはじめた。NHKマイルでかなりの脚を使っての2着。あれを見ているだけに遅きの感さえあるがこれからだろう。
驚きはカイザーミノルに続いてダイワキャグニーの好走。ここらは紙一重なのだろうと思える。それとエアスピネルの衰えを感じもした。この馬だけが伸び切れていない。ロードナカロア産駒の重賞勝ちがまた増えた。ディープインパクトも凄いがロードカナロアの子供達もますます勢いづいている感じだ。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。