アーモンドアイ

18年10/14(日)4回京都5日目11R 第23回秋華賞(G1)(芝2000m)

  • アーモンドアイ
  • (牝3、美浦・国枝厩舎)
  • 父:ロードカナロア
  • 母:フサイチパンドラ
  • 母父:サンデーサイレンス
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勢いはレースを造ったミッキーチャームにまだあった。直線半ばでサラキアが追ってきたが、前を上廻る脚色にならず。そのままミッキーチャームの押し切りかと思えたラスト200m。だがアーモンドアイは許してくれなかった。
外めをグイグイとストライドを大きく伸ばしてゴールを目指す。まるで内の馬など視界に入っていないが如くに我が道を行く、そんな伸び具合だった。ラスト100mもないあたりで鞍上のルメールが叱咤激励、今後の為なのか右ステッキを3発入れた。
この世代では抜けた力。アーモンドアイの強さは相当なるものかも知れない、と思わせるものであった……。

好天に恵まれた淀競馬場。もちろん場内はなかなか思うように動けないぐらいに混んでいる。いつも見るパドックの位置も大勢の人垣で前へ進めない。それでも何とか最前列まで行って馬を見れた。カンタービレ、《細いな~》や、サラキア、《これも腹目がないな》とか勝手に心の中でつぶやく。アーモンドアイ。プラス14キロ増だが太くは見えない。ラッキーライラック、18キロ増。これは全体に高くなった印象だ。ミッキーチャームが外々を廻ってリズミカルな歩きを見せている。ダンサールにも注目していたが、《まずまずの雰囲気か》とパドックを後にして、反対側のテラスへ廻って返し馬を見たいと急ぐ。

むしろこちらの方が人が多すぎるし、今時は背の高い人が多いから人と人の間からしかキャンターで走って行く姿が見られない。
それでもカンタービレにアーモンドアイは観られた。馬には観てて《イイ馬》と《走ってイイ馬》がいる。アーモンドアイは走ってイイ馬だと判る。走るフォームにブレがない。ラッキーライラックの若さとはまったく違って、《大人の走り》を感じた。

そしていつもの場所に戻ってスタートを待つ。双眼鏡で見ないと人、人、人の頭越しでないとゲートが見れない。やはりオーロラビジョンでなく自分の眼で見たいと、背伸びしながら見る。
カンタービレがゲート内で少しうるさくなってタイミングを逸した。好発から前々でレースをする馬のイメージだったが、違う作戦となる様だ。

目の前を通る馬群を見る。アーモンドアイは後方の位置。その内めにカンタービレがいた。ミッキーチャームがスンナリと先手を取っていく。脱兎の如く先手だけ取ればいいという馬の出現もなく、スンナリと先手を取りマイペースにすぐ落として風を切っていく。2番手がオスカールビー。ランドネもいる。淡々と流れて行く。向こう正面に馬群が入る。そんな大きな動きもなく流れていく。

3コーナーへ向かって少しの坂となるあたりで、むしろ2番手のオスカールビーとの差が広がったかと思えたほど。
緩やかな坂を下るミッキチャーム。アーモンドアイはまだ動かない。その後ろにいるカンタービレも動かない。プリモシーンはドンジリだ。ダンサールもそこらにいる。 先頭は4コーナーへと近づいていく。2番手のオスカールビーにステッキが入っているのに、涼しい顔で先頭のミッキーチャームだ。

アーモンドアイがやっと動きだした。先を行くゴージャスランチを大きく避ける形で外を廻る。後ろの内にいたカンタービレが一瞬で離されてしまう動きの速さだった。それでもカーブを廻って直線へと入ってきた時には、内ラチの方を走るミッキーチャームと大外をブン廻ったアーモンドアイとはかなりの差があった。

ラスト300のオレンジ棒を機に、ミッキーチャームの川田騎手が追い出す。うまく抜けてきたサラキアが追いつきそうに思えたが追いつかず。その外をアーモンドアイが確実なる脚色で前との差を詰めていく。
ラスト200、まだミッキーチャームが先頭だ。アーモンドアイを追う様にカンタービレも伸び始める。しかしアーモンドアイの脚が違う。
ラスト150mのところで右前脚の手前を替えた。馬が勝手に替えた瞬間が確認できたほど。そこからさらにギアを上げたアーモンドアイ。ステッキを入れた後は、手綱をシャクるだけのルメール騎手。

PVを観に行くと、松永幹師が見ていた。傍に寄って話をしながら見る。《どうでした?》の問いに『カーブで逆手前ばかりでした』に思わずジックリと見ると、まるで若い馬の様にカーブで反対の動きばかりのラッキーライラック。あれでは脚も貯まらないし、動けない。いろんな馬の動きを見て納得をする。

後刻、武豊騎手に聞く。『返し馬で脚を貯めるのも出来るかもと思えた。ゲートがあまり良くなかったからあの位置で。ちょうど前にいたしね。4角で先にと思ったら、アーモンドアイが先にピューツと行ってしまったよ。でもいい伸びだったし、走るよ』であった。

3冠馬となったアーモンドアイ。これらは古馬との戦いが待っているが、強い心を持っている彼女だけに相手が強くなればなるほどにはねのけて行くのではなかろうか。そんな気持ちにさせる強い女を見た気がした。アーモンドアイは、淀が大好きな場所と言いそう…だ。