競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【阪神ジュベナイルフィリーズ・解説】あの馬以外には負けられない!ダノンファンタジー強し!!
2018/12/11(火)
18年12/9(日)5回阪神4日目11R 第70回阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)(芝1600m)
- ダノンファンタジー
- (牝2、栗東・中内田厩舎)
- 父:ディープインパクト
- 母:ライフフォーセール
- 母父:Not For Sale
道中の位置は勝ち馬ダノンファンタジーも2着クロノジェネシスも3着ビーチサンバと4着シェーングランツも、ほぼ同じぐらいの後ろめ。外を上がっていけた馬と馬込みのなかから出てくるとの差で違った。それも機動力と言えるのだろうし、動ける時に動ける馬の差かも知れない。勝ち馬と2着馬の差はゲートの差。それだけの差だろうが、結果としては大違いとなる。 このレースを制したのは、ダノンファンタジー。この馬をデビュー戦で破ったグランアレグリアとの再戦までは負けられないの気迫がこもった走りだった。
パドックで馬体重のボードを見上げる。やはり関東から西下してくる馬の数字が減っている。輸送と一泊、ここらにテーマがあるのは間違いない。ただ周回している馬で著しく入れ込んだりしている馬はいなかった。 パドックで馬の概要を見る。いちばんその馬がよくわかるのは、返し馬でのキャンターの入りだ。その馬の持つしなやかさ、逆に言えば硬さを知ることができる。これは是非に身につけて欲しい馬券術である。 パドックからキャンターを見るには急いで行動せねばならないが、得る情報の大事さはかなりである。ローゼンクリーガーが先に馬場に入る。シェーングランツがビーチサンバが目の前を走っていく。それぞれにチェックの印をつける。ダノンファンタジーに◎がつく。
今日は家族連れが多い。一般席で観戦しているのだが、周りに子供と一緒の人が多い。『ほら、すごい人だぞ』とテラスを埋めた観衆を指す親父。かなりの人が入ったと思えたが3万人を切る。関西と関東の人の出が違い過ぎる。ファンファーレで盛り上がる。
ゲートでクロノジェネシスがいちばん後ろになった、場内がどよめく。メイショウショウブの出が早かったが、内のベルスールが押して前へと出ていく。2Fが10秒台となったが、後は早々に折り合いがつく。そんななかで人気馬は後ろ。ダノンファンタジーが後ろから3頭目。その内にシェーングランツがいる。前にビーチサンバの姿。クロノジェネシスは最後方か、ブービーのあたりだ。前は淡々と流れる。
当然にシェーングランツを中心に見ている。外にダノンファンタジーがいていいポジションだと判る。後はどこで外へ出すのか内をつくのか。 3角を過ぎ、4角手前のあと600mのハロン棒を過ぎるあたりから追い合いがはじまる。内ラチ沿いでメイショウショウブが前へと出た。その後ろでプールヴィルが内から外へと出して交わす態勢だ。外では一番外をクロノジェネシス、その内へダノンファンタジーの2頭が馬体を並べて追い出しに入っている。すぐ後ろをビーチサンバが続く。 この3頭の勢いが良く、内ラチ沿いの2頭の勢いを上廻る。シェーングランツは馬群の真ん中。内は開きそうもなく、外へ進路を選ぶ。すぐ横にサヴォワールエメがいる。その外だったらスムーズに出せただろうが…。
それでも何とかさばいて外へ出して前を追うが、いかんせん先に仕掛けた馬が前を行く。それでも迫ってはいくが、ビーチサンバの後までだった。ダノンファンタジーとクロノジェネシスの追い合いは、結局は一度も前に出られなかったダノンファンタジーがそのままゴールも先頭で切った。逆に半馬身差まで差を広げた感じであった。
PVを見る。クロノジェネシスがゲートが開いた瞬間に、隣のタニノミッションが前に入ってくる。その分で後ろになる。決して出遅れたわけではない。この瞬間に一番後ろへとなる。それぐらいにゲートの瞬間というものは大事である。あと600mから11.0~11.8~12.2。最後の1Fは、坂のある阪神だから仕方ないものであろう。決め手勝負になったのは間違いない。
朝からノーザンファームの生産馬がウイナーズサークルへといく姿を何度もみる。今年の秋のG1シリーズで何勝したのだろうか。それも鞍上は全て外国人ジョッキー。馬もジョッキーも一流ということなのであろう。この勢いを止めるのは誰になるのだろう…か。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。