競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【エルムS】快挙に拍手
2024/7/29(月)
今週は新潟でレパードSで札幌でもエルムSとダート重賞ウィークだ。エルムSを検証しよう。ドゥラエレーデはホープフルSのGⅠ勝ち馬だがUAEダービーでデルマソトガケの2着。JRAのダートでもチャンピオンズCでレモンポップとウィルソンテソーロに次いでの3着と大健闘。後は重賞制覇しかない。
ミトノオーも同じく4歳馬。前走が古馬としての初重賞勝ちと勢いもある。他にも4歳馬は函館マリーンS勝ちのナチュラルハイも。古豪では帝王賞5着プロミストウォリアも居る。ミトノオーとプロミストウォリアは先週段階で美浦、栗東で調整。そこらがポイントとなるか。
【アイビスサマーダッシュの回顧】
24年7月28日(日)新潟11R アイビスサマーダッシュ(G3)芝1000
- モズメイメイ
- (牝4、栗東・音無厩舎)
- 父:リアルインパクト
- 母:インラグジュアリー
- 母父:Frankel
- 通算成績:14戦5勝
アイビスサマーダッシュの馬体重が発表された。ただ1頭だけチェイスザドリームが20キロ増である。すぐアイパットで調べる。過去の最高体重だ。
480キロが2回、最初は3歳10月、函館で連勝の後の中山遠征。でも10キロ減った後の回復と思える。ドンジリ敗退だったがゲートで暴れて潜り、馬体検査からの外枠発走と敗因もハッキリ。次は4歳秋、京都のOP特別。2番手追走から馬群に呑まれた。その時は前走から微増でこれほど一度に増えた事はない。
別段、中間の攻め馬が軽い訳でもない。夏負け?、いやそれもなかろうと。スタンドでは傘も少しずつ目につきだした。スタートで少し上へとジャンプ気味のチェイスザドリーム。前へと出る。
内からマウンテンムスメが速い。あっという間に外ラチへ到達。内ラチに1頭、真ん中を1頭だが他の16頭は外側を選択。マウンテンムスメが先頭だがテイエムスパーダが内から迫る。チェイスザドリームの内からウイングレイテストも接近してくる。
ゴールが近づくにつれ前の様相が変わる。チェイスザドリームは伸びを欠きだすしマウンテンムスメも止まりだした。ウイングレイテストが松岡Jの猛ステッキで先頭。その内へモズメイメイが入ってきて最後のひと伸びで勝利。外でテイエムスパーダが粘り3着。上位3頭は1000直が初体験の馬ばかり。ウイングレイテストはGⅡ勝ちで59キロ。モズメイメイはやはり前走の差しが復調の兆しだった様だ。
3着のテイエムスパーダも夏馬。ゴール前で伸びかけている馬も多数居てスペースがあればもっと大混戦だった。結果、電光掲示板には二桁の数字ばかり。しかしチェイスザドリームは9着だった。誰も20キロ増に触れず。国分恭介Jのインタビューが実に謙虚で馬を称えていたのが好印象。モズメイメイが変身をとげた一戦だった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。