競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【マイルCS】侮れない馬もいる
2024/11/11(月)
迎え撃つ日本馬は昨年の覇者、ナミュール。藤岡康太Jのあのゴール前をすぐ想いだす。ドバイターフではC・デムーロ騎乗でハナ差負けもあった。エリザベス女王杯2着のラヴェルの姉でもある。母系をたどるとキョウエイマーチにたどり着く。2年前の覇者セリフォス。昨年の安田記念2着に今年春のマイラーズC2着。富士Sを叩いてここと臨戦態勢OK。
そのセリフォスと昨年のここから5戦全てで先着なのはソウルラッシュ。G1タイトルを狙う6歳馬だが健在だ。ルメールはブレイディヴェーグ。去年のエリザベス女王杯以来の前走を圧勝でここへ臨む。ジュンブロッサムにオオバンブルマイと侮れない馬も居る。
【エリザベス女王杯の回顧】
24年11月10日(日)京都11R エリザベス女王杯(G1)芝2200m
- スタニングローズ
- (牝5、栗東・高野厩舎)
- 父:キングカメハメハ
- 母:ローザブランカ
- 母父:クロフネ
- 通算成績:17戦6勝
エリザベス女王杯のパドックを観ている時はレガレイラで大丈夫だろうと。そして返し馬、TV解説の安藤勝己 氏が《この馬は不正駆歩なんですよ》と。まるで歩様が硬いかの様な走りになっていた。現場に居たらおそらく絶対に買わない馬だろう。もうすでに遅かった。
肝心のスタートは決めて、ある意味、この馬としてはいい位置についての道中。ただ、左の前に居る川田Jのラヴェルが何かまるで蓋をしているかの様に感じていた。4角手前でスタニングローズが一気に仕掛けて先頭で直線に入ってきた。外へ出す時間がなかったレガレイラ。内へ進路をとるしかなかった。
それも内へ凭れ気味だったハーパーの外でなく内を狙った。苦しくなったコンクシェルが外へヨレて凄くタイトになった。ハーパーは脚をさらわれた。何とかそこを潜り抜けて先へ進むも、今度は前のシンリョクカが外のホールネスの方へと寄って進路をなくす。その内へと切り替えたがもう脚は残っていなかった。一度もステッキを使う暇もなかった。
勝ったスタニングローズは3歳時のエリザベス女王杯では2番人気14着。当時の勝ち馬はジェラルディーナで鞍上はC・デムーロ。来日1週めの10月最終週は二日間で23鞍騎乗。8勝2着4回3着4回の馬券圏内貢献率は凄かった。スタニングローズは過去最高の498キロと復調もある。そして見事なエスコートで約2年ぶりにGⅠ勝利。
何と言ってもラヴェルだ。2歳のアルテミスS以来の馬券圏内。あの時、リバティアイランドを負かした馬。この馬も前走で大幅な馬体増と復調気配にあった様だ。ホールネスも良く粘った。スタニングローズもホールネスも走る予感はあった。だがラヴェルを拾えないと馬券は当たらない。京都競馬の芝も少し内が傷んできている。そこも影響があったのか。競馬は本当に難し過ぎる。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。