競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【阪神ジュベナイルF】いずれにしろ混戦模様
2024/12/2(月)
今年は何と言っても外国馬の参戦であろうか。メイデイレディ、タピット産駒の4戦3勝で2着はBCジュベナイルフィリーズの戦歴である。検疫も以前に比べて改善されている筈。鞍上はランフランコ・デットーリである。もしかしたらあのフライングなんちゃらが観られるかも知れない。この馬は遅生まれの5月1日。他にもクリノメイが5月8日生まれだが、遅く生まれても走る馬は関係ない様でもある。
そして迎え撃つのが関東馬ブラウンラチェット。あのフォーエバーヤングの妹だ。デビューが中山だから右廻りも問題なし。あとは直前輸送での京都入り。当日のパドックに注目か。負け知らずの馬はクリノメイにビップデイジー、ここらは底知れぬものがある。
いずれにしろ混戦模様となるのは間違いなさそう。しっかり見届けたい。
【チャンピオンズカップの回顧】
24年12月1日(日)中京11R チャンピオンズカップ(G1)ダート1800m
- レモンポップ
- (牡6、美浦・田中博厩舎)
- 父:Lemon Drop Kid
- 母:Unreachable
- 母父:Giant’s Causeway
- 通算成績:18戦13勝
まったく昨年と同じ決着となった暮のダート王決戦のチャンピオンズカップ。レモンポップにウィルソンテソーロが猛追してハナ差。去年は1馬身少しと歴然たる差があった。
お互い1年を経てこれだけ差が縮まったと言うべきか、いや、あの最後まで抜かせないレモンポップの勝負根性を称えるべきだろう。これが引退レースとなるレモンポップ、堂々たる戦いぶりは王者に相応しいものであった。
迷いなく先手主張をして、一度も先頭を譲らずにゴール。ほんの僅かだけレモンポップが残してのGⅠ級6つめの勝ちで有終の美を飾った。もちろん鞍上の坂井瑠星Jのレモンポップに寄せる信頼とその操縦ぶりがこの集大成を結んだものでもあった。去年のフェブラリーSから手綱を任せられ国内での6戦は負けなし。二度の海外遠征だけは結果を出せなかったが、それは馬に聞くしかないだろう。
昨年は大外枠と初の距離1800を問題視する向きもあったがファンは1番人気の支持。今年もこの馬を良~く知る大勢のファンは圧倒的な支持を表明して、それに応えたレモンポップであった。最初のカーブだけミトノオーが行く気を出して来てはいたが、坂井瑠星Jが引かない騎乗ぶりをみてそれ以上は前を主張せず。後はほぼノープレッシャーでの先行で4コーナーを廻った時点でセーフティリードと思えるリード。良くぞウィルソンテソーロだけがあそこまで追い込んできたものであった。
ゴール過ぎて川田Jが坂井瑠星Jに声をかけて少し笑っているかの様な映像を観た。乗っている者は自分たちの勝敗を良く知っている。いい戦いでもあった。そして最内を突いて伸びてきたライアン・ムーアのドゥラエレーデ。この馬はまだ4歳。また3歳のサンライズジパングも来年はもっと成長するだろう。ダート界、王者は去ったが新たな戦いが待っている筈だ。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。