競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【シルクロードS・解説】ハイペースを耐えて直線で一気にダノンスマッシュだ!
2019/1/29(火)
19年1/27(日)2回京都2日目11R 第24回 シルクロードS(G3)(芝1200m)
- ダノンスマッシュ
- (牡4、栗東・安田隆厩舎)
- 父:ロードカナロア
- 母:スピニングワイルドキャット
- 母父:Hard Spun
シルクロードS(G3)の結果・払戻金はコチラ⇒
追って追って先手を取ったセイウンコウセイ。後続を2馬身ぐらい離しての逃げ。4角入り口で大外からアレスバローズが仕掛けてきた。激流となった前半。後半は35秒もかかる流れとなって、内から外へとうまく出してきたダノンスマッシュが馬群を突き抜けての勝利。前走の京阪杯からの連勝で、いちやくスプリント路線のファインニードルの後継者となった。
終わってみれば1番人気、それも4歳馬でロードカナロア産駒。流れはいっこうに変わっていなかった。
それにしても、ラブカンプーの負けっぷりである。直線入り口ではまだ十分に圏内にいた。先頭のセイウンコウセイから4馬身差の2番手グループの先頭。まるで自分が主導権を握っているかの位置である。加えて流れはかなりの急流。内で脚を貯めている絶好のポジションである。直線入りからカーブを廻って直線へと入って来た時には前のセイウンコウセイとの差も一気になくなってきた。
ところがあと300あたりから鞍上のMデムーロはまったく追う素振りもなくなった。何か違和感を感じたのだろうか。だがレース後のコメントにもそこには何も触れていない。
火曜の朝の坂路監視小屋での森田師からも、何か異常があったとかの話もなかった…。
レースに戻ろう。直線へ入ってきたところからであった。ラブカンプーの真後ろにいたダノンスマッシュ。スタート直後には一番前にいたが、ジワっとさせてインの5、6番手のポジションとする。直線は最初から内を狙う気がなかったのか、直線半ばでは外へとチェンジしてきた。ちょうど馬群の切れ目で、どの馬をも邪魔することなく内から中へと切り替えれた。(北村友騎手には、ここでの動きに戒告があった)外から一気に脚を使って出てきたアレスバローズが先頭に立った。
流石に脚を使い過ぎたか、セイウンコウセイを交わして先頭に躍り出たアレスバローズの脚があと50mぐらいで止まりだす。そこへ外からエスティタート。一気にグイグイと伸びて来た。勝負あったかと思えたところに、今度はダノンスマッシュが飛ぶ様に出てきた。外から脚を伸ばしてきたティーハーフとは次元の違う脚色で、あっと言う間に馬群を離して伸びていく。エスティタートが2着かと思えたところにティーハーフが、またアンヴァルも加わり3頭がゴール前を賑わしたが、エスティタートが2着を確保した。内でアレスバローズが5着に残った。
前半の3Fかが33.3~44.7~56.4と進む。最後の1Fも11.9。これにはダノンスマッシュも絡んでいるのでの数字である。自身も34.2の末脚を使った恰好である。エスティタートで33.9。3着ティーハーフではさらに上で、最速のの33.7の末脚を駆使している。それでも前で受けていて脚を貯めていたダノンスマッシュには0.2秒差。いかに道中で脚を使わないでフィニッシュで使うかである。それが理想の形だろうか。
ハンデ戦らしく最後までもつれる展開となったが、勝ったのは堂々の1番人気の明け4歳馬。そして父がロードカナロアのダノンスマッシュ。このまま短距離王へと昇り詰めるのか。3月24日の高松宮記念が楽しみとなった……。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。