競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【日経新春杯の攻略ポイント】平林雅芳がマークする注目の穴馬とは…
2020/1/14(火)
暮れにはグランプリの有馬記念。そして年明けには中山・金杯がある関係で、どうしても小粒になりがちなレースである。ハンデ戦でトップハンデの馬が苦しむ割には、1番人気馬が安定した成績を収めている過去10年である。
今年の顔ぶれは重賞勝ち馬が2頭。暮れの中日新聞杯を勝ったサトノガーネット。そして春に京都新聞杯を勝ってダービー8着と菊花賞6着のレッドジェニアル。前者は牝馬、後者は4歳馬でハンデもそう重くならないのがいい。中間の稽古ではサトノガーネットは暮れに使っているから、そうビシビシやる必要がなくマイペースの調整。レッドジェニアルは先週に武豊騎手が感触を確かめる追い切りを消化。冬場だけにプラス体重で出てくるのだろうが、調整具合は良さそうだ。
他ではアルゼンチン共和国杯で1番人気で3着と惜しかったアフリカンゴールド。注目は3走前に最小馬体重の338キロでレコード勝ちしたメロディーレーン。前走の敗戦を糧にじっと脚を貯めれば面白い。
20年1/12(日)1回京都4日目11R 第54回 シンザン記念(G3)(芝外1600m)
- サンクテュエール
- (牝3、美浦・藤沢和厩舎)
- 父:ディープインパクト
- 母:ヒルダズパッション
- 母父:Canadian Frontier
シンザン記念(G3)の結果・払戻金はコチラ⇒
おそらくパドックで馬体をじかに見たら、ルーツドールで仕方ないと誰しもが思ったに違いない。それほどにルーツドールの馬体は500キロを優に超える馬ながら、均整がとれたスッキリした馬体。サンクテュエールも悪くはないが、物凄くよく見えるルーツドールとは比べものにならなかった。返し馬を終えゲートの前でも待つ間も、ほどよく汗で黒光りする馬体は他の馬とまったく違った好印象であった。
ゲートも五分に出て道中も中団を悪くない手応えで追走しての行きっぷりも問題なく、坂の下りもスムーズ。4角手前までは問題なく来ていた。ところがである。直線へ入るあたりでの反応がさほど良くない、カーブを廻って直線へ向いた時には、もう前を行くグループとは一瞬の間に差が開いてしまっていた。そしてそこからもジワジワとしか伸びていかず。すぐ内にいたオーマイダーリンがグイグイと伸びて4着まで追い上げたのに、ルーツドールの末脚は最後まで噴射せずだった。
黄金コンビの藤沢和・ルメールのサンクテュエールは、スタートこそ前に8頭がいる後ろめではあったが、すぐに追い上げていく。内ラチ沿いをスイスイと順位を上げ、3角の坂に入るあたりでは、先行する2頭の後ろの3番手の絶好位をキープ。枠順もそうだが、鞍上の流れを読んだ積極なレース運びが目立っていた。
先手は福永騎手のヴァルナ。プリンスリターンが好発を切ったが、すぐに内から先手を主張。そのまま1000mを1.00.2のマイペースの流れを演出。2番手を進んだプリンスリターン。直線では一気に先頭を奪って逃げこみをはかり、インからしつこく迫ってくるサンクテュエールに最後はクビ差屈したがよく頑張った。そして3着には最後コルテジアが伸びてきて3連単、3連複での好配当に貢献した。
終わってみれば、内ラチ沿いを通った3頭のワンツースリー。経済コースで脚を貯めた馬が好結果を出したのだが、それにしてもルーツドールの負けぷりが悪すぎた一戦であった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。