競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【京都記念】4歳牝馬が人気も、伏兵陣は多士済々
2020/2/12(水)
この10年間で、牝馬のウイナーはブエナビスタただ1頭。その10年間で昨年だけ牝馬の参戦がなかったが、それまでは毎年必ず出走があった。2着が3度で、10年で4回の連絡みなら牡馬の出走数と比べたら牝馬勢は悪くないものと言えようか。
今年は4歳牝馬が人気。オークスの2、3着馬が秋の秋華賞でワンツーフィニッシュ。勝ったクロノジェネシスは、古馬相手のエリザベス女王杯に挑戦し5着。2着カレンブーケドールは、JCでスワーヴリチャードの2着と接戦した。ともに大崩れのない安定したものを残してきた3歳時ではあった。
そこへ割って入るのかがクラージュゲリエ。この10年で2勝2着1回3着1回の好相性の池江寿厩舎で、鞍上もリーディングの川田騎手。そこへ小倉の愛知杯2着のアルメリアブルーム。矢作厩舎からは2頭。AJC杯2着のステイフーリッシュに京都大賞典勝ちのドレッドノータスの伏兵陣が集う。ただ今週は空模様が悪く、馬場に注意。
【きさらぎ賞の回顧】
20年2/9(日)2回京都4日目11R 第60回 きさらぎ賞(G3)(芝1800m)
- コルテジア
- (牡3、栗東・鈴木孝厩舎)
- 父:シンボリクリスエス
- 母:シェルエメール
- 母父:ジャングルポケット
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スタートはコルテジアが真っ先の好発。真ん中のギベルティも悪くないスタートで、チラっと内を観た武豊騎手。出方を探った様だが、行く気がないとみてすかさず前へと。
予想どおりのスローな流れとなる。ストーンリッジもスタートが決まり、すぐ2番手でギベルティの後ろへ付いていく。コルテジアが3番手。アルジャンナはユッタリの位置。その少し前の内にグランレイだが、何やら行きたがっている様子。コルテジアの内へと入り、なおも前へと行きそう。池添騎手が手綱を引いているが、首があがり気味。
前半の3Fは36.7。800m通過で先頭のギベルティと最後方のサイモンルモンドの2頭だけが2馬身と離れてはいるが、あとは1馬身の等間隔。ギベルティは内め。2番手ストーンリッジはやや外へ出して追走。
坂を下りラスト800あたりでストーンリッジが前との差を詰める。3馬身あった間隔が1馬身、そして外へと接近していく。内を選択はギベルティ、グランレイも苦しくなったか内へと入ってきている。トゥルーヴィルがその後ろへと続く。ストーンリッジは外めで、さらに外がコルテジア。そしてアルジャンナと続く。後ろのサトノゴールドはすでに手が動いている。
直線へ入ってくる。先頭ギベルティは馬場の真ん中へ進路を選ぶ。外のストーンリッジが並んでくる。コルテジアも絡んでくる。内へ入ったグランレイにはもう伸びがない。アルジャンナは前との間がけっこうあるのに気がつく。ここからでも間に合うのか。
ラスト200、前3頭が凌ぎあう。ストーンリッジの鞍上、シュタルケ騎手がステッキを3連発。そこからもう1発入れて、後は手綱を押しての対応。内へ凭れているか。追うコルテジアの方が伸びがいい。
松山騎手の小刻みなステッキに呼応して、コルテジアがクビ差の勝利。アルジャンナは及ばずの3着。キャリア6戦目のコルテジアが勝ち、キャリア1戦のストーンリッジが2着。馬場もあっただろう。だが負けには必ず理由があるもの。そこらが宿題となる。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。