笠松出身の仕事人 アルビアーノと共に悲願G1制覇なるか
2015/11/16(月)
連勝後、3度の敗戦が糧に
-:マイルCS(G1)に出走するアルビアーノ(牝3、美浦・木村厩舎)についてお聞かせください。NHKマイルCの振り返りからお願いします。
柴山雄一騎手:それまでの競馬よりはテンションが高いなと。でも、そんなにイレ込んでいるわけではなく、程よく気合いが乗っている感じでした。
-:レースでは2番手につけていましたが、どんな感じで運べていましたか?
柴:自然と2番手につけ、ペースも遅かったので、一応溜め気味には走れたのですが……。結果的には勝ち馬の目標にされやすい競馬をしてしまいました。差されはしましたが、よく頑張っています。
-:その後はダートの関東オークスに駒を進められましたが、このレースでの走り自体はいかがでしたか。
柴:初めてのナイター競馬が原因なのか、いつもとテンションが違いました。いつもはドッシリしているのですが、当日はカリカリ、ゲートの中でもソワソワしていて。関東オークスは長い距離だから、どう抑えようかなと考えていたのですけどね。楽に行っちゃうからどのように落ち着けて走らせるか。抑えてしまった分だけ道中で嫌気が差してしまいました。
-:アルビアーノの力が出せなかった、と。
柴:ダートがダメとかではなく。とにかくあの馬らしくなかったです。
-:そして、間が空いた京成杯オータムハンデの時の雰囲気はどうでしたか?
柴:休み明けの分、カリカリしているのもあったのですが、返し馬の雰囲気などは良かったですね。
-:関東オークスの時よりも良かったですか?
柴:全然違いましたね。馬の状態は良かったです。
-:初めての古馬との対戦で、馬の雰囲気が変わったりするものですか?
柴:乗っていてそう感じることはないですね。この馬に関しては萎縮することなく堂々としていました。
「外からも来られて余計に力んでいたのもあると思いますね。新馬戦、2レース目と、ジョッキーの指示に対して後ろ向きな面があったのですが、厩舎や牧場で矯正していただいたので、だいぶ良くなりました」
-:このレースでも2番手でしたよね。
柴:そうですね。今思えば行ってしまっても良かったかもしれないです。いつもより力んで走っていたので、もっとゆったりさせてあげればよかったです。
-:あえて我慢させたのもあるのですか。
柴:そうですね。外からも来られて余計に力んでいたのもあると思いますね。新馬戦、2レース目と、ジョッキーの指示に対して後ろ向きな面があったのですが、厩舎や牧場で矯正していただいたので、だいぶ良くなりました。
-:以前は(ステッキを)強く叩かず、弱めに叩くようにして、とおっしゃっていましたね。
柴:そうですね。見せムチをするなど、気を使っていましたが、この休み明けからだいぶ矯正されました。
大きな収穫があったスワンS
-:前走のスワンSですが、調子はいかがでしたか?
柴:本当に良かったですね。輸送競馬でしたが、それでも入れ込まずにドッシリして。こっちが安心できるぐらい良かったです。
-:レース前に木村調教師と何かお話はされたのでしょうか。
柴:「中途半端に2・3番手につかないでほしい。今回は距離を短くするし、色々なことを見てみたいから、もしポジションを下げるなら前に壁を作って競馬をして」と。脚をためてどんな競馬ができるかを見たかったそうです。調教でも「色々なものを試して、大丈夫だから」という話で(笑)。
-:柴山騎手は調教でまたがったりはしないのですか?
柴:ええ、一切乗ってないです。
-:そして、ゲートを出た感触はどうでしたか?
柴:自分から行く感じではなかったので、中団からになるのかと思いました。道中のリズムは、距離短縮のおかげか全く力むことのなく、気持ちよく走っていました。
「初めて控える競馬をしたという感覚もなかったです。何戦かしている馬の多くは、初めて馬込みの中に行くと戸惑ってしまうのですが、この馬にはそういう様子はありませんでした」
-:周りの馬を気にする素振りは……。
柴:なかったですね。初めて控える競馬をしたという感覚もなかったです。何戦かしている馬の多くは、初めて馬込みの中に行くと戸惑ってしまうのですが、この馬にはそういう様子はありませんでした。
-:どの辺りから仕掛けようとお考えでしたか?
柴:逆にどの辺りまで動かさないでいけるかを考えていました。今までもそうでしたが、早めに先頭に立つとフワッとしてしまう馬なので、それだけを気をつけていました。あとはどこが空くかな、と。追い出してからの反応もすごく良かったので、これならば進路が開けば行けるだろう、と思っていました。今回も先頭に立ってからフワッとしたのですが、今までと違って並ばれても、もう一度伸びるような感じではありました。成長しているなと感じましたね。
-:マイルCSは京都の1600mとなるわけですが、このコースに関する適性といったものはどうですか?
柴:そういう部分でも前回の競馬は収穫がありました。マイナスイメージにはならないです。しかし、相手も強いですからね。
-:とはいえ、ステップレースの中で一番重要なスワンS を勝っています。
柴:そうですね。古馬のG1メンバーでどのような競馬ができるのか。楽しみの方が大きいです。
-:最後に自身の初G1制覇の思いも込みで意気込みをお願いします。
柴:勝ちたいです。アルビアーノにタイトルを取らせてあげたいですし、僕自身、勝ちたいという思いしかありません!
-:応援しています。ありがとうございました。
(取材=競馬ラボ)
プロフィール
【柴山 雄一】Yuichi Shibayama
1998年、オグリキャップの故郷として知られる笠松競馬で騎手デビュー。2004年に笠松リーディングで4位に入る活躍を見せ、地方通算393勝を挙げて2005年にJRAへ移籍。移籍に際しては1次試験から受験して見事に一発合格。地方競馬出身者としては安藤勝己、小牧太、赤木高太郎騎手に続く4人目の移籍騎手となり、初年度から80勝を挙げる活躍。一時は重賞タイトルはおろか、実力を発揮しきれない日々も続いたが、昨夏から復調ムード。昨年は初めてフェアプレー賞を受賞し、今年のフラワーCでは2009年以来の重賞タイトルを手にした。
1978年 大阪府出身。
1998年 笠松競馬で騎手デビュー。
2005年にJRAへ移籍。
JRA初騎乗:
2000年6月4日2回 中京6日目 6R シルバーグレート
JRA初勝利:
2003年7月19日2回 新潟1日目 6R トーホウチェリー