挑戦者として世界を相手に臨む 王者ゴールドアクター
2016/11/24(木)
2走前の天皇賞(春)では、まさかの12着大敗を喫したゴールドアクター。しかし、前走のオールカマーを制し、敗戦のショックを払拭。青写真通りにジャパンカップへ駒を進めてきた。昨年のグランプリホースとして、堂々たる競馬を見せてくれるのか。また、連覇が懸かる有馬記念へ弾みをつけられるのか、主戦・吉田隼人騎手を直撃した。
思惑通りの仕上がりでジャパンカップへ
-:ジャパンC(G1)に出走するゴールドアクター(牡5、美浦・中川厩舎)についてお伺いします。まずは前走のオールカマーを振り返っていただけますか?
吉田隼人騎手:春の天皇賞のときと比べても落ち着きがありましたし、状態は良かったと思います。大敗した後のレースでしたけど、力があるところを見せてくれました。秋のG1に向けて大事なレースだと思っていましたし、内容のあるレースが出来て良かったです。
-:ジャパンカップへ向けての中間ですが、吉田騎手は最終追い切りにも乗っています。動きの評価をお願いします。
吉:先週の1週前追い切りを結構強めにやりましたし、今日は先週よりも動きが軽くなったと思います。この馬の能力が高くて、併せ馬で後ろから行っても勝負どころですぐに追いついて早めに抜け出してしまうので、その分ゴール板を過ぎてもしっかり追って負荷をかけています。毎回レース後はリフレッシュさせて、間隔をしっかり取って良い仕上がりで送り出しているので、状態は良い意味で変わりはありません。
▲24日、最終追い切りに吉田隼人騎手が騎乗
-:ここまで10戦コンビを組んできましたが、どの辺りにこの馬の良さを感じていますか?
吉:賢くてどんな競馬でも出来るところですね。乗りやすくてトータルの能力が高いので、どんな展開になっても対応してくれます。普段の調教では尻ッパネをしたり、ウルさい面を見せますが、競馬に行くとしっかり走ってくれますね。仕掛けてからの反応はそれほど速くなくて、ジワジワとスピードに乗っていく感じですけど、だいぶ瞬発力も出てきました。
流れに応じた競馬を
-:今回のジャパンカップ、レースに向けての見通しを聞かせてください。
吉:まだ戦ったことのない強い相手も多いですし、挑戦者のつもりでぶつかっていきたいです。メンバーを見たところ、どうしても行きたいというタイプはいなさそうですし、みんなが『誰かに行ってほしい』と思うような競馬になるかもしれませんね。ゴールドアクターはどんな競馬でも出来るので、行く馬がいればそれを見ながら進んでいけばいいですし、行く馬がいないようなら自分でペースを考えて乗ろうと思っています。
-:今週末は天気が崩れるという予報も出ていますが、重馬場適性についてはどうお考えですか?
吉:道悪は去年のアルゼンチン共和国杯のときにしか乗っていませんが、ちゃんと走れて結果も出していますからね。ゴールドアクターにとって道悪はそれほどプラス材料というわけではありませんが、むしろ後方から決め手を生かすタイプの馬にとってマイナス要素が多いのではないかと思います。今週の日曜日は馬場コンディションがそれほど良くないでしょうし、土曜日の競馬を見ながら考えていきたいですね。枠順が決まってから、どう乗るかイメージを膨らませていきたいです。
-:最後にジャパンカップへ向けて意気込みをお願いします。
吉:これだけ能力のある馬とずっとコンビを組ませてもらって、ひとつずつステージを上げながら夢舞台で戦うことが出来て有難いと思っています。ここまでやるべきことはやってきたので、あとは馬を信頼して自分がしっかり乗るだけです。一生懸命頑張ります。
-:ありがとうございました。
プロフィール
【吉田 隼人】 Hayato Yoshida
兄はメジロドーベルとのコンビで知られる吉田豊騎手。2004年に美浦の堀井雅広厩舎所属でデビュー(同期に川田将雅、藤岡佑介、津村明秀騎手ら)。1年目こそ3勝に終わるも、2年目23勝、3年目には60勝と躍進を遂げ、以降50勝を割り込んだのはわずか1度とコンスタントに勝鞍を積み上げている。昨年の有馬記念をゴールドアクターで勝ってデビュー12年目で初のG1制覇を飾った。