上位独占あるぞ「池江軍団」(下) サトノダイヤモンド&ノブレス
2018/3/25(日)
-:金鯱賞(G2)で3着だったサトノダイヤモンド(牡5、栗東・池江寿厩舎)ですが、この馬は王者であるべき馬だと思うファンは多いと思いますが、どれくらい変わってくるのか、ということに注目を浴びると思います。
兼:金鯱賞を使う前は、正直、半信半疑なところがあったのですが、いざ競馬に行ってみたら、終いはシッカリ伸びてきてくれたので。ちょっと仕掛けてから内にモタれて、届かないかな?という感じがありましたけど、そこからグッと伸びてくれたので良かったですし、ちょっとホッとしましたね。
-:ファンは強いダイヤモンドを期待していると思いますが。
兼:もちろん僕らもそうですしね。
-:追い切りは週末ですか。
兼:そうですね。中2週になるので、週末にノブレスと一緒のようなメニューで、坂路で55~56くらいのところを乗って、当該週はCWでサラッとやる感じになると思います。
-:馬体に関してはいかがですか。
兼:競馬に使った後は使った分、張りが出ている感じで、筋肉のメリハリが出たきました。数日して気持ちがオフになって、見た目はちょっと緩んだ感じに見えますけど、ここから更にもう一段階締めていけると思うのですがね。
-:中2週というのは、ローテーション的にちょっと短い気もします。
兼:短いと言えば短いですけど、調整出来ないことはないと思っていますからね。金鯱賞も終いだけという印象だったので、疲れている印象もないですし。
-:ダイヤモンドの良さを出すとしたら、スローのレースよりもある程度流れて、渋太さが活きる方が持ち味も活きるのと。
兼:そうですね。切れ味が優先しているタイプではないので。もちろん切れるには切れるのですが、ある程度の淡々とした流れの中で、この馬の脚を使えるような感じになれば。
-:金鯱賞を使った効果で、追い出した時の反応が良くなれば。
兼:そうですね。反応が良くなってくれれば良いですね。あのもたつきがあったのは、久々の分もあるでしょうからね。
-:レース勘を取り戻せば、悲観するような3着ではないということですね。
兼:全然、違いますね。
-:レースから上がってきた時のルメール騎手の感触はいかがでしたか?
兼:僕は、直接その場にはいなかったのですが、良かったのでしょう。今回は戸崎騎手が乗りますけども、乗りやすい馬なので、すぐに掴んでくれるとは思いますけどね。
-:有馬記念のファン投票でも上位に支持されたほどの馬で、王者復権を期待していると思いますけど、前走の追い切りをみたら、もうちょっとらしさが欲しいと思う人もいるかもしれませんね。
兼:欲を言えばそうですね。追い切りでいつでも動けて、こちらも仕上げで納得出来た上で、競馬に臨めたら言うことはないかもしれないですけど、この馬もちょっと歳を重ねて、追い切りでは本当に走らないのかもしれないですし、その辺の見極めがちょっと……。
-:追い切りで素晴らしい脚色とかじゃなくて、レースに繋がるという調整ということですね。
兼:サトノダイヤモンド自身がそう思っているかもしれないですね。
-:綺麗な馬ばっかりがいる池江厩舎の中でも、惚れ惚れするような馬ですね。
兼:もうすごいですね。「これぞサラブレッドです」という雰囲気ですね。良い馬のお手本ではないでしょうか。
-:体的に言ったら、もう少し逞しくなって欲しいというのはあるのですか。男馬として骨格に見合った筋肉が付いているのと。
兼:前走のレース前はまだちょっと緩さが見えたので、その辺がなく、スカッとなってくれれば良いんじゃないかと思っています。おそらく体的にはこんなもので推移していくでしょうからね。何とか更にもう一段階仕上げて、大阪杯に臨めれば、ですね。
-:上積みのみということですね。
兼:そう思っていますけどね。この距離は良いでしょうし、阪神の2000というのは一番良い条件だと思うのですがね。
-:キタサンブラックというライバルが引退しましたからね。
兼:3歳時の有馬記念では勝ちましたからね。
-:今度はダイヤモンドの天下でしょうからね。
兼:そうしたいですね。他の馬も出てきているので、大きなことは言えないですけど、この馬らしさを見せて欲しいなと思いますね。
-:金鯱賞(G2)で2着に入ったサトノノブレス(牡8、栗東・池江寿厩舎)ですが。
兼:(明け8歳で)歳は重ねましたが、まだまだ健在振りを見せてくれたので。
-:前走の2週前追い切りは、サトノダイヤモンドとジャンダルム(牡3、栗東・池江寿厩舎)との3頭併せで、ジャンダルムは抜けていたのですが、サトノダイヤモンドには勝っていましたね。
兼:追い切りではそうですね。調子が良かったのでしょうね。まだちょっとモサッとする馬体に見えたのですが、競馬が終わって、筋肉の張りが更に出てきた感じに見えるので、調子を上げているんじゃないと思っています。現段階ではちょっと速いところはやっていないですけど、週末に坂路で55~56くらいのところをやって、来週サラッとやる程度で、整えられると思います。
-:この馬はヒカルオオゾラ(父マンハッタンカフェ)の半弟になりますが、全然タイプは違いますか。
兼:そうですね。兄はビュッと来る感じで、末脚タイプでしたね。この馬は、どちらかと言うと長く良い脚を使うタイプですよね。
-:今回も同じような正攻法でしょうか?
兼:前に行って、あの馬の良さを引き出せるような展開の方が良いでしょうからね。
-:綺麗な馬で、馬だけを見たら、全然8歳という歳は分からないと思いますね。
兼:普段も威張っているという訳じゃないですけど、なかなか元気が良いところがあります。
-:ディープインパクトの大型で500キロクラスと言ったら、どんな乗り心地でしょうか。
兼:背中が良いのは共通してあるのですが、それでいて軽さというか、500キロとは思えないくらいの軽さがありますけどね。
-:8歳馬が、現役でG1に出走することもなか大変ですけどね。
兼:そうですよね。堂々と金鯱賞2着で出る訳ですからね。
-:金鯱賞を振り返ってみると、みんな驚いている人もいましたけど、去年も3着でしたからね。
兼:まあ、そうですね。中京の2000mは得意コースではあるので。
-:左回りが良い訳ではなくて、2000mが得意なのですか。
兼:そういうことだと思いますけどね。
-:しかし、4頭出しはすごいですね。
兼:そうですね。古馬中距離G1に4頭で、宝塚記念も例年けっこう大変になりますけど、今年も何だかんだで、皐月賞も今のところ、2頭を予定していますしね。
-:ジャンダルムとキタノコマンドール(牡3、栗東・池江寿厩舎)ですね。
-:考えたら、古馬G1というのはすごいことですね。3歳のクラシックを経て、故障せずに古馬になって、だから、みんな素晴らしい馬たちということですからね。出られるだけでも無事やし、強いわということで。
兼:スワーヴリチャードがどんなものかということですね。シュヴァルグランもどんなものか。
-:最後に、ファンに向けてメッセージをお願いします。
兼:4頭の多頭出しということになりましたけど、みなさんの好きな馬を応援していただければ。
-:ありがとうございます。
プロフィール
【兼武 弘】 Hiroshi Kanetake
滋賀県出身。1983年3月6日生まれ。初めて観戦した競馬はダンスインザダークが勝った菊花賞。中学生の時に競馬好きの知り合いが多かったため、影響を受けてこの世界に入る。高校の卒業を待たずして、北海道の千歳国際牧場で修行。その後は滋賀の湘南牧場、トレセン近郊のグリーンウッドに勤め競馬学校に入学。卒業後、池江厩舎に所属。持ち乗りを経て攻め専の調教助手に。モットーは「馬1頭ずつ個々の個性を大切にする」こと。目標は「厩舎全体のことを把握できるように頑張る」こと。業界一といっても過言ではないビッグステーブルのムードメーカー的な存在。