トリコロールブルーが、初重賞タイトルを視界に捉えた。4歳になった今年は1600万下、オープン特別と連勝。前走の鳴尾記念(G3)は超高速馬場で3着と好走した。今回は、昨夏に飛躍を予感させる勝ち星を挙げた北海道で、ルメール騎手とのコンビで臨む。2017年3月から所属する友道厩舎で初めて新馬から担当したワグネリアンが日本ダービーを制覇した藤本純調教助手が、初めて乗った時の感触や意外な素顔を語ってくれた。

デキ万全!1週前に函館の1番時計

-:函館記念(G3)に出走するトリコロールブルー(牡4、栗東・友道厩舎)ですが、この馬はいつから担当されているのですか?

藤本純調教助手:今回の函館だけ担当するという感じです。

-:一緒に来たという感じですか?

藤:そうですね。6月下旬に検疫を受けて、そこから函館記念まで担当させてもらっています。

-:こちらに入ってからの調整はいかがですか?

藤:鳴尾記念が終わってからすぐに放牧に出して、こちらに入厩した時に跨がった時の第一印象がほとんど緩めてなかったので、牧場でもしっかり乗ってきてくれたんだなと思いました。ある程度高い位置にはいますので、あとは普通に調教していけば十分仕上がるなと思いましたね。

-:仕上がりはほぼ思惑どおりですかね。

藤:1週前に乗り慣れた藤岡康太ジョッキーに乗ってもらったんですが、ジョッキーの感触で「十分出来ている」と。函館1番時計だったんですよ。これだけ動けるし、もう十分でしょうということで、当週はサラッと追い切りました。

藤本純調教助手

-:今週はもう調整程度というか。

藤:反応を確かめる程度ですね。終いを伸ばした時にどういう反応が来るのかなというのを確認したくらいです。

-:この春はワンターンの競馬が続いていたかなと思うのですが、今回の条件というのはいかがでしょう?

藤:去年、洋芝でも勝っているあたり、洋芝の適性はあると思っています。今年に入ってからの充実ぶりが凄いので、安定してきて、今が一番いい時期になってきたかと思いますね。函館記念で重賞初勝利してもいいと思っています。

-:個人的にはむしろ洋芝の方がいいのかなと思っていたのですが。

藤:僕は乗っている感じ、鳴尾記念のような軽い馬場の方がいいと思ったのですけど、洋芝で結果が出ているので、洋芝の方がいいのかもしれないですね。

-:去年は馬場が悪い中での競馬もありましたが、今年に入って成績を上げられてきた要因というのはどういったところに感じられますか?

藤:馬自身が成長していると思いますね。イレ込みやすい馬なのですが、今は汗をかきますけど、けっこう我慢しているんですよね。そういう気性面の成長が大きいと思います。

-:普段でもカッと燃えている感じがあるのですか?

藤:調教の時に「イライラしているんだろうな」と思っていても、それを行動に出さないあたりが我慢しているんだろうなと。ただ、中では燃えているので、凄く汗はかくんですけどね(笑)。

函館限定で担当「意外と言うことを聞く」

-:トレセンで見てきた感じと、今担当されている感じで変化は感じられる?

藤:端から見ていて「大変そうだな」と思っている部分もありましたし、今乗ってみると「意外と言うことを聞くな」と思いますしね。それは僕がどうのこうのしたわけではなくて、馬自身が成長したからだと思います。

-:キャリアを重ねることによって肉体面もそうですし、気性面も成長を遂げていると。

藤:それは感じますね。

-:この馬だから特に注意しているところはありますか?

藤:扱いやすい馬ですよ。昔は苦労したところもあったらしいですが、僕のところに来た時はちょうど精神的にも落ち着いているし、馬体も成長しているし、やっていて凄く扱いやすい馬ですね。

-:タイプ的にこの馬の走りは好きな方ですか?

藤:僕は掴みにくいなと思っています(笑)。初めてで、今回からやるというのもあるんですけどね(笑)。

-:近年はいろんな馬を担当されているかと思うのですが。

藤:そうなんですけど、凄く乗りやすいんですよ。扱いやすいし、凄くいいヤツなんですけど、タイプ的には僕が得意なタイプではないと思います。

-:逆に得意なタイプというのは?

藤:僕は牝馬の方が好きなんですよね。好きと得意は別かもしれないですけど、どちらかというと「ホー、ホー」といいながら、なだめながら乗っている方が好きなので、求めていかないといけない馬かと思いますね。

-:精神面を考えると滞在というのは?

藤:この馬には凄くプラスだと思います。輸送することで発汗しているし、担当する前から見ていて、凄く汗をかいてイレ込んでいるなと思っていたので、この馬の雰囲気で競馬にいけるのはプラスだと思います。

-:馬体重はどれくらいになりそうですか?

藤:恐らく前走と変わらないかと思います。

-:当日もしかしたら雨があるかもしれないということですが…。

藤:僕は個人的に晴れてくれた方がいいなと思っていますが、雨でも大したマイナスにはならないと思っています。

藤本純調教助手

17年に札幌芝2000mの日高特別を勝利している

扱いやすい馬「ステイゴールド産駒らしくない」

-:イメージでは洋芝がいいのかなと思っていたのですが、馬場はもうちょっと軽い方が良いですか?

藤:僕は軽い方がいいのかなと思うのですが、実際に結果が出ていればそれが全てだと思いますね。札幌で差し切っているのであれば、洋芝で雨が降ろうが対応してくれるのではと思っています。

-:前走のレースを見られて感じられたところは?

藤:正直、4コーナーで勝ったと思ったのですが、そんなに簡単ではないなと。軽い芝でそのまま押し切られた感じでしたが、この馬の力は見せてくれたと思います。そんな一線級がいるわけではないので、今のこの馬なら十分、太刀打ちできるなと思います。

-:僕は本命でした。

藤:そうですか(笑)。ありがとうございます。

-:着実に成長もしていますし、現状の力でどれだけやれるかというところですか?

藤:元々期待の高かった馬だったのでね。今一番いい時に来ているので、しっかり結果を出してくれると思っています。

-:厩舎にも馴染みのある血統ですよね。

藤:兄弟も入っていますしね。この馬はステイゴールド産駒らしくないんです。もっとヤンチャするイメージがあるんですが。

-:カッとなっているといっても許容範囲ですか?

藤:全然、許容範囲ですね。3歳時はパドックでもイレ込んで、スプリングSや青葉賞なんかは結構うるさかったですね。

-:あの段階で使うことによってマイナスになっていたところも?

藤:だいぶ消耗したところはあったかもしれません。今も決しておとなしい馬ではないですが、昔に比べたら調教もそうですし、競馬でも精神的に成長が見られます。

-:普段はどんな子ですか?

藤:おとなしいですよ。悪いことをするわけでもなく。ただ、ちょっと今は十分仕上がっているので、結構ピリピリしてますね。皮膚も薄くなって体を触られるのは嫌がりますね。

-:仕上がりによって触られる反応は違ってくるものですか?

藤:皮膚の薄さや精神的なものもあるのでしょうが、こちらに入厩してきた頃に比べたらピリピリしていますよ。仕上がっている馬には見られる特徴ではあるので、こういう馬なのかなというくらいにしか思っていませんが。

-:今まで担当してきた馬に比べたら扱いやすいですか?

藤:扱いやすいですね。

-:今まで担当したのがもっと扱いづらいから簡単だと、そういうわけでは?

藤:簡単とは言わないです(笑)。ですけど、扱う上では悪いことをするわけではないし、掛かったりするわけではないし、扱いやすい馬ではあります。

藤本純調教助手

距離ベスト、雨が降っても「こなしてくれる」

-:レースを考えた上で理想な展開は?

藤:馬場も結構悪いので、うまくいいところを通ってくれて。あまり後ろ過ぎると届かなくなると思うので。でもその辺はルメールも1度乗っているので大丈夫と思います。

-:ペース的にはどうでしょう。

藤:流れてくれた方がいいんでしょうけど、今の函館の馬場を考えたら前めに付けて、あまりペースは関係ないと思います。あとはジョッキーがうまく乗ってくれると。

-:ようやく荒れてきたという感じですね。

藤:だいたい函館記念くらいの時に荒れてくるので。

-:去年も当日に雨が降って。

藤:函館記念は雨のイメージがありますね。

-:ある程度なら克服は?

藤:こなしてくれると思います。菊花賞みたいな馬場になると話は変わってきますけども、あんな馬場も年にそうないですから。

-:年に1回もあるかどうか。

藤:あれは馬場だけじゃなく、距離もありましたので。2000mくらいがベストと思います。

-:レースへ向けて意気込みを。

藤:函館記念は洋芝やコース、距離全てにおいて合っていると思いますので、重賞初タイトルを獲らせてあげたいなと思います。