国分恭介騎手 減量&イン突きの好判断で8年ぶり重賞V アンドリエッテと秋のG1へ
2018/7/26(木)
遅咲きの花を咲かせる。クイーンSでアンドリエッテとコンビを組む国分恭介騎手は、前走のマーメイドSで8年ぶりの重賞制覇。食事制限で体重を落とし、大外一気のレースが多かったアンドリエッテを内から勝利に導いた。今年でデビュー10年目。勝ち星を伸ばせず「乗らない方が良いんだろうな」と悩んだ時期もありながら、勝利数や重賞での騎乗機会を取り戻した国分恭騎手に、強敵に挑む心境や今だから明かせるエピソードを聞いた。
-:前回はアンドリエッテ(牝6、栗東・牧田厩舎)とのコンビでマーメイドステークスを制覇、おめでとうございました。アンドリエッテとのコンビでクイーンステークス(G3)へ挑まれますが、前回のレース前にも追い切りに乗られていましたね。
国分恭介騎手:はい、そうですね。普通キャンターと追い切りですね。
-:追い切り以外にも乗っていたんですね。戦前の感触はいかがでしたか?
恭:古馬になってから初めて跨ったのですけど、3歳時はクラシック戦線で戦っていた馬でしたし、いい馬だという印象はありますね。でも、マーメイドSの時は、自分が競馬で乗れるとは思っていなかったので。マーメイドSの1カ月くらい前に、(管理する)牧田(和弥)先生から依頼をいただいて「ハンデは51kgになりそうだけど、乗れるか?」と言われて。
▲アンドリエッテと挑んだマーメイドSは8年ぶりの重賞制覇となった国分恭介騎手
-:ハンデの兼ね合いもあったわけですね。恭介さんはいま何キロまで乗れるのですか?
恭:最低ラインを52キロにしているのですが、できると思いましたし、乗せていただいている厩舎です。チャンスはありそうだったので「乗ります」と返事しました。
-:減らした方法というのは?
恭:規則正しい生活をしていましたね。ただでさえ僕は、サウナはしんどくなるので、徹底的に食事制限をしましたね。だからといって、急には落とせないので、準備しながらでしたけどね。
-:身長もけっこうありますよね。
恭:そうですね。騎手の中では小さい方ではないですね。52キロでも落として臨むくらいなので。
-:ちなみに「調教で乗った段階で良い馬だと感じた」というのは、具体的にどういったところで感じられましたか?
恭:やっぱり馬格があって、背中がしっかりしていますよね。ただ、競馬に行って、どういうイメージなのかは未知な感じだったので、攻め馬の感触とどう変わってくるのかなと思っていました。
-:3歳時から台頭はしていましたけど、やっぱり勝ち切れていなかったというところは事実であって、マーメイドSも今までの競馬を考えたら、この枠(3番)も難しいなと感じる部分はありました。
恭:競馬前からインコースを狙いたいとずっと思っていて、担当助手の福田さんなども「内が当たったら良いなぁ」という話をしていました。やっぱり勝ち切るには外を回してもキツいイメージだったので「一発があるなら内かなぁ」という話をしていました。枠も内側の2頭がどういう動きをするか次第だったのですが、ゲートが速ければ、無理やり行くことはないですけど、そこまで速くないので、ちょっと左右されてしまう部分はあるんですけどね。
-:先生からはどんな指示だったのですか?
恭:「イチかバチか内に行って良い」と聞いていました。「思い切って良いよ」という指示だったので。そう言っていただいて、馬主さんにもそう言っていただいたので、心を決めて乗りました。
-:乗り替わっていましたし、もともと雨予報だったじゃないですか?雨でこのハンデは面白そうだなと思ってみていました。
恭:全然降らなくて。「降ったら面白い」ともずっと言われていたんですよ。
-:降っていないので、ビックリしましたよ(笑)。
恭:そうですね。降らないので、どうなんだろうと思ったのですが、返し馬に行ったら、攻め馬のイメージよりも芝の走りが良かったので。
-:調教で乗ったよりも芝の感触が良かったということですね。
恭:やっぱり攻め馬だと年齢も年齢なので、少し硬さが出て来ていたのですが、芝を走らせたらすごく軽くて、弾んでいたので、この感じなら、という感触だったんですけどね。この後の競馬はどうなるだろうと思って……。
-:ディープインパクト産駒らしさでしたか?
恭:言うほど、僕はディープ産駒には乗っていないので、何とも言えないですけど……(苦笑)。
-:道悪で走ったりしているので、一概にそういうタイプではないんじゃないですか。確かに脚質はそうだと思いますけど、重い馬場にも対応できそうですからね。
恭:けっこう、ガッチリして、パワーがありそうですからね。
-:ただし、作戦は頭の中にあったとは言え、けっこう内も狭かったじゃないですか?
恭:そうですね。一瞬、逃げ馬が外に開いて、戻ったスペースに2頭が入ったんですよね。馬の反応が良くて、突っ込めたんですけどね。普通の馬だったら、すぐに動かないし、突っ込めないですからね。スッと入れる馬というのは、やっぱり脚がありますからね。
-:久々の重賞制覇となりましたが、思いというか、喜びはいかがでしたか?
恭:久々でしたし、マーメイドSのレース自体にけっこう思い入れがあったので。最初に乗った時が、テイエムオーロラで3着。アグネスワルツでも2着がありましたし、2頭とも僕の中ではすごく大事な馬だったので。それで、またマーメイドSに乗せていただくことになったので。
-:そういった中、自分の中でも流れじゃないですけど、今回はそういう流れがあったんじゃないですか。終わってみればいえることでしょうけど。
恭:そうですね。本当に終わってみれば、ですね。
-:久々の重賞勝利という点に関しては、意識する部分はなかったですか?
恭:重賞もそうですけど、勝ち鞍もそれほど多い方ではないので、一つ勝つことがすごく大変なんですよね。でも、それはクラスが上がっているだけで同じ競馬ですしね。ただ、注目度は違うので、周りの反応がすごく違いますね。
-:周りからの「おめでとう」という声も、いつも以上に多かったということですね。
恭:そうですね。多かったですね。
-:家族も?
恭:もちろんですね。(奥さんは)泣いて喜んでくれましたよ。
-:次回は、馬場もだいぶ変わってくるかと思います。感触はいかがですか?
恭:どちらにしても、スタートがそんなに速くないので。やっぱり小回りで後ろからになると、どういう競馬になるのかというのは課題ですけどね。
-:その分、前回みたいに、内を突けて行ければいいですね。前回が序盤からけっこう押していましたよね。今までは、そういう脚の使わせ方はしていなかったと思いますし、今回は内を狙いに行った分、やっぱりそういうフォロー、カバーも実ったのかなと。
恭:そうですね。テンに行かないので。あとは斤量も周りと同じになって、小回りをどういう風に克服するか、ですよね。開幕週なので、内がガッポリ空くとは思えないですし、いろいろ相手との兼ね合いが大事になりますよね。前回は流れもバッチリ嵌まったので。ですけど、乗せていただく限りは勝ちを目指して。そろそろ繁殖に上がると思うので、良い成績を残したいですね。
-:繁殖の前に重賞を獲れたというのは、馬にとっても良かったですね。
恭:そうですね。牧田先生には、2年くらい前からずっとお世話になっていますので、そこの厩舎で勝てたというのはすごく嬉しいですけどね。
-:マーメイドS以前は、調教で乗られていたのですか?
恭:調教にはちょくちょく乗せていただいていたんですよ。と言っても、今までに4回くらいしか乗ったことがないのかな。普通のところや15-15、それくらいですね。
-:前回を勝利されて心境の変化はあったのではないでしょうか。
恭:攻め馬の時にゼッケンが名前入りになったので、それはすごく特別な感じがしますよね。最終目標はG1仕様の紫色のゼッケンですよね。そういうゼッケンを着けるような馬になって欲しいですけどね。
-:現段階で距離はどれくらいが良さそうですか?
恭:僕の中では、距離は延びても良いなと思いますね。秋のエリザベス女王杯の距離(芝2200m)も大丈夫だと思いますし、折り合いに何の問題もないので、もっと延びても大丈夫だと思います。
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