ウインテンダネス 春の快進撃を再現へ 異色のキャリア、血統馬が旋風起こすか
2018/11/20(火)
快進撃の再現へ。今春は、高速馬場とはいえ、東京二四の舞台を超抜の時計を叩き出し、オープン入り。続く目黒記念も制したウインテンダネス。今は九州で種牡馬としての日々を過ごしているカンパニーの産駒という点も異色だが、約1年前の4歳秋は条件馬だったことを思えば、これまた異色の出世だ。得意の東京で目標としていた一戦でどんなパフォーマンスをみせてくれるのか。若きトレーナーが語ってくれた。
-:秋2戦を使われ、ジャパンカップ(G1)に挑むウインテンダネス(牡5、栗東・杉山厩舎)について宜しくお願いします。前走のアルゼンチン共和国杯から振り返っていただけますか。
杉山晴紀調教師:結果的には最後にヨーイドンの瞬発力勝負となってしまいましたね。状態としては、京都大賞典を使って想定していた上積みはあったと思いますが…。
今春はウインテンダネスで目黒記念を制し
JRA重賞を挙げた杉山師(写真下左から3人目)
-:その後の具合はいかがですか?
杉:やはり使いつつ良くなっていますね。1走目より2走目、2走目より今回、という感じで、順調に上積みは感じるところです。それは体のコンディションであったり、馬の気持ちであったり、かなり状態は上がっていると思います。
-:この馬といえば、春の実績からも左回りの長距離戦が得意ですね。ジャパンCに向けてのレースの組み立て方はイメージできますか?
杉:あくまで乗り方ひとつだと思うんですよね、スローならスローの乗り方であったり、流れた時のポジションなりというのは。スローだから決してダメ、ハイペースだからダメとはあまりこだわっていないというか…。ただ、今回は更に一枚も二枚もメンバーは強くなるわけですから。そこにぶつかっていく、胸を借りるという感じですよね。
-:1週前時点の状態としてはどうでしょうか。
杉:やっぱり気の入り方が使いつつグッとハミを取るようになってきていますし、このくらいのデキでこういう大舞台に挑戦できるということ自体、ありがたいというか、本当に楽しみですね。
14日撮影のウインテンダネス
-:今回は内田博幸ジョッキーに戻りますね。
杉:もともとの予定通りなのですが、その点に関しても、あそこまで春先に馬の力を引き出せたのは、内田騎手が3走続けて乗ってくれたことが大いに影響があると思いますし、内田騎手でジャパンCに臨めることはプラスと思っています。
-:ファンはパドックで馬を見ると思いますが、見る時のポイントを教えてもらえますか。
杉:やはり活気でしょうね。変にイレ込むことなく、力強い歩きをしていて、かつ前回に比べて馬体の張りであったり、毛ヅヤであったりというところが上がっているはずですので、そのあたりを見ていただきたいですね。調教でも、休み明けの時はいかにもフワフワとハミを取らないで、推進力に乏しい動きでしたが、今は自分からしっかり走りたいという気持ちが強くなっていますので、そのあたりはいい傾向かなと思います。今回は中2週ですし、全体に速いところ(追い切り)でやることはないですから、その中で動画などを見る機会があれば、道中の動きを見ていただければ、前回との比較が分かりやすいかと思います。
-:手綱を緩めるだけでもスーッと動きそうな気配といいますか。
杉:そうですね。そこでしょうね。
-:体重の変化がいい意味で凄く安定しているというか、ほとんど変わらず、ですね。
杉:そのあたりはスタッフの努力の賜物であると思います。
-:強いメンバーに挑戦する意気込みをお願いします。
杉:春先に準オープン、目黒記念でああいう勝ち方をできた段階で秋の目標はココでということはオーナーサイドと話はしてあった通りに順調にここまで来られました。当然、相手はトップレベルですから、どこまでやれるかというのは未知数ですが、良い状態で臨めますので、少しでも上位の馬に肉薄できるように頑張りますので応援よろしくお願いいたします。
-:父カンパニーというのも府中が呼んでいる感が。
杉:トニービンの血ですし、そういう血統的な背景があるかもしれないですね。
-:募集の時の話を耳にしたのですが、障害を目指したらみたいな話も…。前の厩舎にいた頃のことですが。出資した会員さんからしたら嬉しい誤算ですよね。
杉:そうみたいですね。良い意味で期待を裏切ったというか、そういうタイプですね。
-:競走馬のレベルが上がって、種牡馬も研ぎ澄まされていっている中で、カンパニーがダメというわけじゃないですけど、それでここまで来られたと。歯車が噛み合って、左回りの長距離でここまで来たわけですから。
杉:異色ですよね。大した馬です。
-:異色のキャリアの馬がジャパンCの舞台でどこまでやってくれるか、楽しみにしています。
プロフィール
【杉山 晴紀】Haruki Sugiyama
1981年12月24日生まれ、神奈川出身。学生時代から調教助手を志し、神奈川県の公立高校を卒業してから、小松温泉牧場での勤務を経てトレセンへ。調教助手として、武宏平厩舎、高橋康之厩舎で主に攻め専として活躍。'09年の菊花賞を制したスリーロールスの調教を手がけていたことで知られる。
2016年秋、日吉正和調教師の勇退に伴い、急遽厩舎を開業。瞬く間に成績を上げた。今年はダイオライト記念を制すと、ウインテンダネスで目黒記念を制し、JRA重賞初勝利をマーク。今秋はケイティブレイブでJBCクラシックを制した。現在も管理馬の調教に跨っているように、シャープな出で立ちをキープしている。