サートゥルナーリア ルメール&乗り手も実感 春よりも確かな成長
2019/9/18(水)
世代最強の称号を取り戻す。4戦無敗で挑んだ日本ダービーでは、単勝1.6倍の圧倒的支持を集めるも、よもやの敗戦を喫したサートゥルナーリア。突如としたテンションのたかぶり、ゲートの失敗など敗因は明らかだが、ショッキングな一戦を振り払う走りをみせることができるのか。仕切り直しの神戸新聞杯へ向けて、陣営を直撃した。
充実の夏を過ごす
-:神戸新聞杯(G2)から始動するサートゥルナーリア(牡3、栗東・角居厩舎)ですが、下馬評としても一番ダービーに近いと思われていた存在ながら、同厩舎のロジャーバローズに負けてしまったという悔しいダービーだったと思います。まず、ダービーのレース内容から振り返っていただけますか。
小滝崇調教助手:レース前の調整過程は、皐月賞後に短期放牧に出して、(厩舎に)帰ってきてから、僕も担当者の滝川さんの方も(担当することになってから)2走目になるので、扱いにも慣れて、馬自体をだいぶ理解できるようになってきたところでした。
調整自体はすごくしやすかったですね。その中で調整しながら、特に何の不安もなく、本当に馬のポテンシャルを感じながら、順調に調整もできたので、不安なく来られたんですけどね。輸送も装鞍所もパドックも落ち着いて行けたのですが、ダービー独特の雰囲気と言いますか、スタンド前のスタートであり、ポケットから集合前までもやっぱり雰囲気がどことなく違いました。
当日は暑くて、馬の発汗も目立っていましたからね。そういう兆候が見られて、カッカッしていって、そういうこともあってか、スタートが…。そこに尽きますね。道中も動かざるを得ない競馬でしたし、あれで少し進出を控えたところで、パタッとは止まらないでしょうけど、良いところで追い付けずで、結果は同じだったという気はしないこともないですね。
▲サートゥルナーリアの調教に
騎乗している小滝助手
-:(4着という)着順に関しては、同厩舎のロジャーバローズの走りを褒めるしかないということですね。
小:そうですね。
-:サートゥルナーリアとしては、スタートのタイミングが全てだったということですね。
小:そう思います。
-:そこから一旦、放牧に出て、心身共に逞しくなって帰ってきたようですけども、帰ってきた時の第一印象を教えていただけますか。
小:春先も逞しく見えましたけど、それ以上にボリュームアップして、これなら(調教でも)攻めていけるな、という感じでしたね。気性面も、以前よりも落ち着いている素振りを垣間見られたので、この子なりに成長して来てくれているなと感じました。
-:数字的な変化ということで、体重的にはどれくらい増えていますか。
小:数字自体はそんなに変わっていなくて、ただ体付きが、筋肉が盛ってきているという感じですね。数字的にはそんなに大きく変わっていないので、前走(490キロ)や皐月賞(496キロ)と同じくらいで出られれば良いかなと思っていますけどね。
-:見た目にはちょっとムッチリした感じに見えるので、数字的に変わっていないというのは。
小:中身が詰まってきたということですかね。肩とお尻が盛ってきましたね。筋肉があって、逞しくて男馬らしいですね。
-:そういう逞しさが歩き出しや挙動で感じることはありますか。
小:春先はトモの弱さがありましたね。それでも他の馬と比べたら違うんですけどね。その中でも「強いて言えば」という感じで、トモの弱さがあったのですが、今は初日からそんなことは感じさせなかったですね。跨ってすぐに「春とは違うな」という感触がありましたし、充実の夏を過ごしてこられたとは思いますね。
-:特に、今年の夏は栗東近郊だけじゃなくて、全国的に猛暑だったと思うので、馬もしんどかったでしょうからね。帰ってきて、まだ暑くて、残暑がぶり返しているような状況なのですが、馬はヘコたれていないですか。
小:そうですね。もともと、汗はよく掻く子ですが、それでいてご飯が食べられないだとか、体が減っていく一方であるとか、そういうことはないので、今の気候でも全然問題なく過ごしていますね。
ルメール騎手も乗り味を絶賛
-:昨日(9月11日)、朝一番のCWコースで、(クリストフ)ルメール騎手が乗って追い切りをされました。動きをご覧になって、感想はいかがでしたか。
小:サートゥルナーリアの前に2頭がいたので、距離が詰まっていく感じで速いんだろうなとは思っていました。無理をしている感じも見受けられなかったですし、やっぱり加速がすごいので、取り付いてから抜き去るまでがアッという間で、さすがの走りをしてくれる風に見えましたね。
-:ゴール前だけを見ていたら、併せ馬というか、単走に見えましたからね。
小:併せというか、そうせざるを得ないですからね。
▲12日の1週前追い切りに騎乗するルメール騎手
-:サートゥルナーリアと併せ馬をしようと思ったら、余程の調教番長を連れてこないと。上がってきた時の会話で、ジョッキーの印象というか、感想はどうでしたか。
小:とりあえず上がってきた時の第一声が「気持ち良い~」と言って、ニコニコしていましたね。道中はどうだったと聞いても「気負っていることもないし、気分良く走れているし、すごく良い状態だと思う」というすごく前向きなコメントをいただきましたね。
-:秋緒戦の神戸新聞杯は頭数も少なくて、ここは落とせない一戦になりますね。
小:ここが目標という訳ではないですけど、ここでシッカリ強いところを見せて、強い馬だということを皆さんに改めて印象付けたいと思いますね。
-:秋の本番はどこかとはもう発表されましたか。
小:ここを使ってみて、距離適性やらを見て、その後の相談になるとは思いますけどね。
-:小滝さんとしては、サートゥルナーリアのダービーを見て、2400の距離が長いとは思わなかったですか。
小:スタートさえもう少し五分で出ていれば、また違った形があったと思いますね。その2400が適距離かと言われれば分かりませんが、対応はしてくれるのではないかと思っています。
-:菊花賞に行くとなると、サートゥルナーリアはいかがですか。
小:どうなるのかな?という思いですね。
-:能力的に、今の3歳世代だったらトップなのは間違いないですからね。
小:能力はピカイチだと思っています。
-:その辺りは小滝さんもファン同様、ローテーションに関しては悩ましいところですね。
小:そうですね。答えを知りたいですね。
-:今週末の日曜日と来週の追い切りのスケジュールというのは、おぼろげながらどんなイメージを持たれていますか。
小:調教師とも打ち合わせは済んでおり、来週の月曜日(16日)にCWが右回りなので、向正面からサラッとやります。変則開催の影響で木曜日追いとなり、(レースまで)間隔が短いので、最後は坂路でサラッとやります。それで、金曜日は休んで、土曜日に普通のところを乗って、日曜日が競馬ですね。
-:馬はもうすぐ競馬ということは分かっているのですかね。
小:どうですかねぇ。体が来た時よりももう一つラインが変わって、シャープになっているのですけど、モリっとしてきているので、そこら辺はドンドン競馬モードの体になってきているのかなと思いますね。
-:パドックでファンの方がご覧になったら、春との変化に気付いてくれるでしょうね。
小:そうですね。もう一つ逞しくなったところを見てもらえそうですね。
-:残りの1冠に行くのか、古馬と一緒に戦うのか、これだけ能力があるからこそ選択肢が広がる訳ですけど、どの辺がベストなのですか。
小:単純の能力が発揮できて、強いだろうなと思うのは2000、2200とかですね。そういうところで競馬をしていれば、常に強い姿を見せ続けていけると思います。
-:短くして、マイルはどうだと言われたら、そこはどうですか。
小:それでも十分に走れるのではないでしょうか。ただ、そんなに急がせて走らせたこともないので、分からないですけどね。
-:それくらい楽しみが広がって、応援している人がここでサートゥルナーリアの適距離はどこかということを考えて、楽しんでもらえるということですね。
小:神戸新聞杯の2400は問題と思いますし、スタート地点も4コーナーのポケットなので、静かなところですからね、ハハハ。
-:発汗具合を考えたら、ダービーの頃のようにあまりカンカン照りじゃない方が良いですか。
小:それはその方が良いかなと思います。
-:最後に、たくさんのファンが応援していると思うので、メッセージをお願いできますか。
小:すごく充実した夏を過ごして、逞しくなって帰ってきました。馬もそうですけど、ファンの人も悔しい思いをしたと思いますから、改めて神戸新聞杯でもう1回応援してもらえれば、また強いサートゥルナーリアがお見せできるのではないかと思っていますので、応援よろしくお願いします。
-:直線で抜け出してくる時の脚を楽しみにしています。
小:よろしくお願いします。
-:ありがとうございます。
プロフィール
【小滝 崇】Takashi Kotaki
小学生の時にエアダブリンやナリタブライアンのレースを観て、競馬の仕事に就くことを目指す。とりわけエアダブリンは高校の夏休みに牧場まで見に行ったほど。卒業後はノーザンホースパーク、現ノーザンファーム空港牧場、山元トレセンでそれぞれ働き、23歳でトレセンに配属になり野元昭厩舎に配属される。思い出に残っている馬はエーシンコンファーとエーシンジャッカル。野元厩舎の解散後は角居勝彦厩舎に異動して現在に至る。持ち乗り助手として、デニムアンドルビーなどを担当した。