【菊花賞】ニシノデイジー スタミナには自信 メンバー唯一の重賞2勝馬が最後の1冠へ
2019/10/15(火)
秋華賞に続いて、牡馬3冠もクラシックホースが不在。そうなれば東スポ杯2歳で今回上位人気必至のヴェロックスを破るなど、メンバー唯一の重賞2勝は胸を晴れる実績といえるニシノデイジー。秋初戦のセントライト記念は5着も菊花賞本番に向けて上々の内容。最後に1冠にかける意気込みを陣営に語ってもらった。
-:ニシノデイジー(牡3、美浦・高木登厩舎)ですが、日本ダービーは5着でしたけど、レース自体を振り返っていただくと、どうでしたか?
高木登調教師:ちょっと皐月賞(17着)で掛かる面を見せたので、どうかなと思って、馬具を色々工夫したら、ダービーでは折り合いもついて、シッカリ走ってきた感じはしますけどね。
-:馬具に関しては、具体的にどういった辺りを変更したのですか?
高:(当たりが柔らかい)トライアビットにして、あとはメンコを着けましたね。
-:その効果が見られたという感じですね?
高:そうですね。
-:レース後は休養を挟みましたけど、秋に向けてのスケジュールはどのようにお考えになられていたのですか?
高:当初は神戸新聞杯からスタートしようと思っていたんですけど、結局はセントライト記念にしたのですが、ダービー後、1回北海道の西山牧場に放牧に出して、結構神戸新聞杯のメンバーが強そうだということで、中山は合わないかなと思っていたんですけど、考えて見れば道悪だったり、ちょっと引っ掛かってみたり、普通の競馬をしたことがなくて、(敗因が)ハッキリしているから、中山でも良いんじゃないかということで、セントライト記念を選んだんですけどね。
-:そのセントライト記念に向けて、調整していく中ではいかがでしたか?
高:北海道から近くの西山牧場(阿見分場)に戻して、そこに1週間ぐらいいて、すぐに厩舎に入れて、レースの何週(約7週)も前から結構早めに入っていましたね。牧場の方からも「(トレセンの環境の方がまだ涼しいし)こちらは蒸して暑いから、すぐに入れてくれ」ということで、早めに入れましたね。最初は普通キャンター4つからやって、ちょっと早めに動きだして、馬も落ち着いて、大きく馬体的には変わっていないけど、何となく精神的には成長したかなという所は見せていましたね。
-:セントライト記念に向けて調整していく中で、特にこういうことを気を付けようという所はありましたか?
高:やっぱり折り合いが一番ちょっとアレだったので、やり過ぎないことだけは気を付けないといけないなと。正直、この馬はいつもそんなにビシッと仕上げたことはないんですけど、どうもテンションが上がっちゃうので、やり過ぎないように、オーバーワークだけはしないようにやってきましたね。
▲ダービーでは低評価を覆す5着
-:どれだけ動かすかというよりも、気持ちの面をコントロールするという調整過程だったということですね。そのような形で調整されて、セントライト記念(5着)当日の馬の状態というのはどうでしたか?
高:すごく雰囲気も良くて、良かったと思いますよ。
-:レースは後方からということでしたが、振り返られていかがでしたか?
高:最初はポジションというよりも折り合いに気を付けて、という感じで送り出して、元からスタートは速くないから、ああいう感じになっちゃったかなという感じですよね。
-:テーマとしては折り合いに気を付けて、レースをしようという感じだったのですね?
高:スタートした時は(ハミを)噛まないで、いつもフワッと出るんですけど、皐月賞の時も正面はフワッと出ていって、これなら折り合いは大丈夫だなと思って、外に出した瞬間に噛んで行っちゃったので「あそこで内に入れておけば良かった」と(勝浦)ジョッキーは言っていたんですけどね。やっぱりそういうのもあるから用心して行ったんでしょうし、皐月賞と同じレースはしたくないなというのがあったんでしょうね。
-:結果は5着でしたけど、このレースはどういう評価をされますか?
高:結果は残念でしたけど、菊花賞を見据えたレースと思えば、トライアルとしては良いかなと思っています。
1週前は久々に併せ馬も
-:レース後の馬の状態はいかがでしたか?
高:正直、1回使ってちょっとテンションが上がることを心配していましたけど、そういうこともなく、早めから時計を出し始めて、順調に来ていますね。
-:レース後は在厩調整ということですね?
高:今週は水曜日(10/9)に久々に併せ馬をしましたね。
-:いつも単走でやられていますけど、併せ馬にしようという狙いというのは?
高:今なら大丈夫かなと思ってやってみて、(追い切り後のテンションも)大丈夫だったので、良かったかなと思います。
-:動き自体の評価はいかがですか?
高:良かったと思いますよ。
▲1週前追い切りでも軽快な動きを見せた
-:この先、レースに向けての調整になりますけど、来週のレース当該週は、現状ではどのような予定ですか?
高:水曜日にルメール(騎手)に乗ってもらう予定をしています。
-:今回は乗り替わりになりますけど、それについて先生はどのようにお考えですか?
高:ルメールさんですから、何の心配もしていないですけどね。
-:馬自体は、乗り替わりによってコントロールで難しい所があったりはしますか?
高:基本、そんなに難しくはないと思うんですけどね。
-:大丈夫そうですか?
高:はい。ハミがトライアビットになったので、まず全然引っ掛からないですからね。
-:ダービーの時に替えた状態ということですね?
高:1回弥生賞の時にトライアビットに替えて、下が悪かったのか、ハミが良くなかったのか、(敗因は)どっちだということになって、色々ジョッキーと相談をして「元のハミに戻した方が(ハミ)掛かりが良いかもしれませんね」ということで戻して、引っ掛かってしましましたね。それでダービーはどうするということで、結局距離も延びるしという感じだったんですけどね。
-:一応、折り合い面に関しては問題なくいけるし、その馬具で行けば?
高:大丈夫だと思うんですけどね。
-:その意味も含めて、乗り替わりに関しては問題ないということですね?
高:はい。
-:京都の3000というコース形態に関しては、どのようにご覧になられますか?
高:正直、やってみないと分からないですけど、特に不安はないかなと思っているんですけどね。どの競馬場でも走ってくれているし、いきなり東京に行って、あの時も正直どうかなと思っていたんですけど、難なくこなしてくれたしね。ハービンジャー産駒だし、(北海道の)洋芝の方が合っているだろうと思って、東京の時はさすがにちょっとどうかなと、正直思っていましたけどね。
-:競馬場が変わるということは、特に問題ないということですね?
高:ないと思います。
-:馬の個体としてのスタミナ面はいかがですか?
高:スタミナはあると思いますよ。
-:道中でリズム良く運べればということですね?
高:そうですね。「結構、ハミを取っているように見えて、大丈夫だ」と、ジョッキー的には言うんですよね。そんなにガッと引っ掛かるようではないみたいなのでね。
-:スタミナもあるので、リズム良く運べればということですね?
高:そうですね。最初フワッと出ていくので、そこでポジションが悪くなるのが嫌だなという所はありますけどね。
▲ヴェロックスらを封じて勝った東スポ杯2歳S
-:フワッと出たままの感じで行くと、自然と後ろの位置になるであろうということですね?
高:そこで出して行ったら、どうなるのかなという不安もあるし…。まあ、大丈夫だと思うんだけどなぁ。
-:そこら辺を含めて、ジョッキーと相談という形になってくるということですね?
高:そうですね。
-:最後に意気込みをお願いできますか?
高:3000mはこの馬にとって逆にプラスかなと思っているので、最後の1冠なので、頑張って欲しいと思いますけどね。
-:ありがとうございました。
プロフィール
【高木 登】 Noboru Takagi
1965年5月25日生まれ。神奈川県出身。2006年に調教師免許を取得し、翌年に厩舎を開業。初出走、初勝利と幸先の良いスタートを切ると、2013年にはJRA通算100勝を達成。翌年にはスプリンターズS(G1)を含むJRA重賞3勝をマークした。 2016年も二枚看板のサウンドトゥルーがチャンピオンズCを制し、ホワイトフーガはJBCレディスクラシックで連覇を達成。今年はサウンドトゥルーの弟・アナザートゥルースで4月のアンタレスSを勝利している。