【JBCスプリント】コパノキッキング 菜七子とともに さぁ悲願のビッグタイトルへ!
2019/10/30(水)
前哨戦の東京盃は圧巻の逃げ切りV!フェブラリーSからコンビを組んでいる藤田菜七子騎手に初めての重賞タイトルをプレゼントしたコパノキッキング。次の舞台は初体験となるコーナー4つの浦和1400m。とはいえ、逃げて良し、差して良しの自在性があれば臆することはない。人馬ともに初のJpn1タイトルがかかる一戦。その手応えを陣営に語ってもらった。
-:来週に迫ったJBCスプリントですがコパノキッキング(セ4、栗東・村山厩舎)にとっては初めてのコーナー4つという条件になります。トリッキーな浦和競馬場の1400mの、先生の見解を教えて下さい。
村山明調教師:コパノキッキングにとってコーナー4つは初めてなので、ここをクリア出来るかどうかは課題になります。藤田菜七子ジョッキーには、ダノンレジェンドがJBCスプリント(2016年川崎競馬場)を逃げて勝ったレースを参考にして、頭の中に入れておいて欲しいと伝えてあります。
-:馬にとっても、乗るジョッキーにとっても、ちょっと特殊な条件にはなりますね。
村:そうですね。コース形態も特殊ですからね。
-:今はまだ分かっていませんが、枠順が重要なポイントになりそうですね。
村:そうですね。メンバーと枠順が決まってから、小林オーナーと菜七子ジョッキーと3人で色々話を詰めていこうと思っています。
-:前回の東京盃を勝った後のコパノキッキングの状態はいかがでしょうか。
村:それほど大きなダメージもありませんでした。1週間掛けて回復させて、それから乗り出すという形です。非常に順調に来ていますよ。
▲鮮やかな逃げ切り勝ちとなった東京盃
-:1週間前の追い切りが今朝(10/24)、CWで行われました。
村:思ったよりも時計が速くなってしまいましたが、この後はオーバーワークにならないようにだけ気を付けたいです。来週、直前の追い切りで調整出来たら良いなと思っています。
-:レースに向けてコパノキッキングも気持ちが乗ってきている感じですね。
村:やればやるだけ動く馬なので、やり過ぎないようにするのが難しい所かもしれないですね。
-:コパノキッキングはいろんな戦法が出来る馬だと思います。今回はどんな戦法で挑むか決めていますか。
村:先日の東京盃を勝った後に、小林オーナーと藤田菜七子ジョッキーと3人で、ある程度話は詰めてあります。何となくのイメージは出来上がっているので、これからさらに詰めていく所ですね。どのポジションで競馬するかというのはまだ分からないですね。
▲1週前追い切りも好気配を見せている
-:浦和の1400mといえば、コーナーリングの良さを求められる舞台でしょうね。
村:そうですね。小回りは小回りですからね。
-:末脚も持っている馬ですから、枠とスタートを考えながらという所でしょうか?
村:そうですね。
-:コパノキッキングの体重の変化はいかがですか。
村:前回の東京盃と変わらない体重で出られそうです。極端に減ったり、増えたりすることもないと思います。
-:コパノキッキングは先生がアメリカのガルフストリームで開催されたトレーニングセールで購入された馬ですが、その頃の思い出を聞かせていただけますか。
村:購入する候補馬を2頭まで絞って、その2頭の内、1頭を買えればOKという小林オーナーの希望だったんです。それがコパノキッキングが予想外に競ることなく買えてしまったので、ビックリしました。
-:その時のトレーニングセールの動きは、どんな感じだったのですか。
村:ゴールしてからもシッカリ追っていたので、この馬なら大丈夫かなと。それで、動きも時計も良かったんです。
-:落札額もそれほど高くなかったとか。
村:そうですね。ちょっと脚が曲がっていたので値が上がらなかったんだと思います。
-:その馬がここまで来たというのは、相当当たりを引いたということですね。
村:そうですね。その辺は小林オーナーの運の強さだと思いますよね。
▲10番人気で圧勝したデビュー戦
▲風水で知られる小林祥晃オーナー(右端)
-:先生が2頭の候補から1頭を選んだということですか。
村:もしも先に上場したコパノキッキングが予算を超えて買えなかったら、次の馬へという感じでした。それが先にコパノキッキングが買えましたからね。本当に上手くいきました。
-:そして、デビュー戦は人気(10番人気)がなく低評価でした。終わってみれば着差が8馬身ぐらいある楽勝でした。
村:そうですね。ウチはあまり調教時計を出さないので、ファンの方もよく分からない馬が出てきたなという印象だったと思います。ただトレーニングセールでも10秒フラットで走っていましたからね。たまにアメリカの馬で距離が持たない馬もいるので、そうならないか心配して観ていたんですけど、初出走になった未勝利戦は強かったですね。
-:その時乗っていた川須ジョッキーも驚いていたんじゃないですか。
村:そうだと思いますね。
-:それがここまで来て、今は13戦8勝です。半分以上勝っている状態ですからね。ここから先のプランがあったら教えていただけますか。
村:「来年はドバイ(ゴールデンシャヒーン)に行きたい」ということで、オーナーと協議している所ですね。JBCスプリントを使った後は根岸Sを挟むか、直行で行くかという所ですね。
-:秋は一旦ここで終えて、次のプランとして根岸Sから始動するということですね。
村:JBCスプリントの結果次第で、カペラSを使うかどうか判断したいと思います。G1を勝ってしまうと、斤量が重くなってしまうので、今回のレース次第ですね。
-:これまでのJBCスプリントは1200mで行われていて、今回は1400mです。ファンにとっても難解な舞台になります。コパノキッキングを応援しているファンも多いと思うので、先生から一言メッセージをいただけますか。
村:藤田菜七子ジョッキーも波に乗っています。今回もキッキングの良い面を引き出してもらえれば、1400mという距離をカバー出来るんじゃないかと思っているので、応援して下さい。
-:本当に紛れの多い、浦和1400mになりますからね。
村:そうですね。難しいと言えば、難しいレースだと思うんですけどね。
-:あと1週間、良い状態で行けるように祈っています。
村:そうですね。オーバーワークにならないようにだけ気を付けます。
プロフィール
【村山 明】Akira Murayama
競馬好きの父の影響で騎手を志す。1990年より斉藤義美厩舎よりデビュー。その後、松元省一厩舎、大沢真厩舎、松田国英厩舎に所属。騎手時代は通算中央競馬3186戦218勝(うち重賞2勝)をマークした。
07年に騎手を引退、角居勝彦厩舎で調教助手となり、08年に厩舎を開業すると、開業2年目にはテスタマッタでジャパンダートダービーを制覇。2014年にはフェブラリーSを最低人気のコパノリッキーで勝ち、その後、G1最多勝記録となる11勝を挙げるなど、厩舎開業からこれまでにG1を15勝。名門厩舎で培った名馬との経験を糧に厩舎経営を勤しんでいる。