元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
G?W?
2015/5/7(木)
先週の競馬では、京都競馬場で天皇賞(春)が行われ、見事、G.WにちなんだGold Ship Weekとなりましたね。スタート前にはゲート入りを渋る姿を見せたゴールドシップで、少しその時点でやる気が減ったように見えました。それを騎乗の典ちゃんも感じとったのか、スタート直後に気合をいれ押して行くような形で追走しました。その後も、道中では馬の機嫌が途切れない様に、気を使いながら、且つ下り坂を上手く使いながら気持ちが途切れそうになった瞬間に押して行く形を選択しました。
その結果、気難しいゴールドシップの集中を途切れさすことなく、走らせられたことが今回の勝利の要因となったと思います。そして、レース後に鞍を乗せられると尻っパネをする姿を見ると、まだまだ力が有り余っているように見え、本当に怪物の様に強い馬だなと改めて思わされましたね。今回のレース運びは、負ければ批判を受けるような形でした。しかし、挑戦したからの結果で、馬の特徴を非常に考えこんだ勝利だったと思いますし、それを挑戦した典ちゃんには大きな拍手を送りたいと思います。しかし、残念ながらレース後には勝利したゴールドシップにはゲート再審査の判断が下りました。勿論、レースを公正に行うためには必要に見えましたが、これが修正された場合、再度あの闘争心が消えてしまうのではないかと少し不安にもなる再試験だけに3連覇が懸かった宝塚記念には心配が増えてしまいました。
期待していたウインバリアシオンは左前浅屈腱不全断裂の診断が下り、引退を余儀なくされてしまいました。調教の際から少し心配していた内容が最悪の結果となってしまい非常に悲しくなりましたが、種牡馬入りもならず乗馬になったことには一ファンとしては更に悲しさを増す結果となりました。勿論、結果が全てのスポーツです。ただ、ファンとしては成し得なかったG1制覇の夢をウインバリアシオンの息子達が達成し、オルフェーヴル産駒とクラシックで戦い、撃破する姿を見たかったなと思います。2度の大怪我から復活し、戦う勇姿を見せてくれたウインバリアシオンには本当に心からお疲れ様と伝えたいです。
さて、G1 WeekならぬG1 Monthはまだまだ終わりません!今週は3歳マイル王決定戦NHKマイルCが東京競馬場で行われます。まず、ここでの注目はアルビアーノになるのではないでしょうか。前走の内容も完勝でしたし、何よりも操作性に、あのスタミナ、そして自分でレースを作れる展開力は驚異の一言につきます。その次に注目を集めるのは親子G1制覇を夢見るヤマカツエースでしょう。走る度に体ができ上がり、池添調教師も先週は300勝達成、そして今週は息子の謙一君を背にG1制覇というメモリアルがあるかもしれません!
その中で私の注目は、まずグランシルクになります。前走では出遅れての2着となりましたが、開幕した東京の芝を見ても差し馬がギリギリ届く結果を見ていると、出遅れがなければ今回こそは?と思ってしまいますしね。2番手には、やはり前走完勝のアルビアーノが気になります。前述した通り、自身でレースを作れるだけに非常に怖い一頭だと思います。そして、穴候補としてはレンイングランドに注目しています!G.Wは終わりましたが、皆様のGoldをゲットするWeekは今週ですよ!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。