元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
典才
2015/5/14(木)
その他には競馬ラボファミリーで、以前、私の家にも遊びに来てくれた中谷雄太騎手が美浦から栗東所属へと変更しました。現在では、矢作厩舎の手伝いをしながら、少しづつ結果を残しているだけに、この決断は前へ進むために彼にとっては大きなものになると思います。皐月賞当日には福島で騎乗した後、矢作先生の応援のために中山競馬場まで移動してくる程、男気に溢れた騎手ですしね。きっと、そう言った男気も栗東での評価を上げてくれると思います。頑張れ中谷君!!
それでは先週の競馬を振り返りましょう。先々週は天皇賞ではなく典王賞だったか!?と強引且つ、見事な騎乗でG1を制覇した典ちゃんが先週もクラリティスカイでやってくれました。今回行われたNHKマイルCでは実に正攻法で馬の能力を引き出しましたね。昔から天才肌で評価されていた典ちゃんですが、ここ2週は恐ろしいほど全てを見越したレース運びをしており、まさに天才ではなく典才なレースを見せてくれています。
レースはスタート後、スッと逃げる馬の後ろに入れると、いつもの典ちゃんなら我慢せずに出すところでもひたすらに手綱を引きながら馬に我慢をさせると、直線に入り、先頭に踊りでたアルビアーノを見事交わし2週連続でのG1制覇となりました。バレットをしている次男と騎手学校に入学している三男も応援に駆けつけていたらしく、当日は母の日でしたが、2週連続のG1勝ち星でハハ→パパの日になったと思います。息子さん達もパパの偉大なる勝利には、感動したでしょうね。
2着に敗れたとは言え、アルビアーノは本当に強い内容でしたね。今まで逃げてレースをしており、自在性を見せるように今回は2番手でレースを進め、直線から抜け出した時には、思わず牝馬で3歳マイルを制した!とすら思ってしまいましたからね。距離的にはマイルが向いていそうですし、来年のヴィクトリアマイルでは本命にしても良いかもしれませんよ。あとは、今後にどれだけの成長力があるか、そこが鍵になるでしょうね。
しかし、来年の話の前に、今年のヴィクトリアマイルが行われますよ。なんと言っても注目を集めるのは、引退したハープスターを負かし、今年の中山記念ではロゴタイプの内を付き、2頭の皐月賞馬を差しきったヌーヴォレコルトが出馬してきます。牡馬を倒した、あの走りを見ると牝馬でも敵なしか?と思いますが、今回、そこに待ったをかけそうなのが、私がずっとマイルで使って欲しいと言っていたディアデラマドレになりそうです。母のディアデラノビアは残念ながらG1勝ちはなかっただけに、ここで母の因縁を晴らし、見事1週間遅れの馬名になっているははの日に華を添えることができるかも注目です。そして、私の本命もやはり、その2頭になりますね。
その他にもショウナンパンドラやストレイトガールなどの有力馬がいますが、私がその2頭以外に注目しているのはタガノエトワールとベルルミエールになります。意外な2頭かなと思われるかもしれませんが、若駒から気になっていた2頭だけに、どこまで馬が成長しているかにも注目したいですからね。注目のG1月は、やっとここで折り返し!まだまだ続くG1に向け、はは→ぱぱ→ぱんぱんと財布が膨れあがることを願っていますね!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。