元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
新風モーリス
2015/6/11(木)
そんな中、ダービー後にはクラスが再編成され4歳馬の大半がこれまでいたクラスから降級し、新たな戦いが始まりました。ここから勝ち上がりを見せ、秋の重賞へとアピールするのはどの馬か皆様も注目してみてください。クラス編成と共に、先に記述した、マツリダゴッホ産駒から注目の馬がデビューしましたね。調教の際からスタートに問題がありつつも、綺麗な走りをしていたロードクエストが東京での新馬戦を制覇しました。スタート前はロサギガンティアの弟スターオブペルシャが単勝1.4倍と断トツの1番人気に推される中、大きく出遅れたロードクエストが、騎乗のミルコも抑えたまま迎えた4コーナー。Goサインと共に繰り出した末脚は脅威の33.2というのは新馬らしからぬタイムだけに注目を集めましたね。まだまだ過大の多い馬とは言え、非常に楽しみな逸材がいきなり現れたことを嬉しく思いました。
ロードと言えば、短距離界の王者として君臨したロードカナロアの後から、短距離、マイル界で不在だったスターホースが、誕生しました。第65回安田記念を、見事に条件戦から勝ち上がり、制したのは堀厩舎所属のモーリスでした。今回は、戸崎君がフィエロ騎乗の先約があったために、関西所属時代に騎乗していた川田君が騎乗してのレースでしたが、その内容はまさに圧巻でしたね。今回の安田記念はレース展開が読みづらいメンバーになり、その中でリアルインパクトが良いペースで引っ張る中、後方から進むものだと思っていたモーリスは先行策にでました。今までの課題であったスタートも上手くでることができたことで川田君も臨機応変な対応をしたということでしょう。そして、直線に入っても、まだ持ったまま追走し、Goサインを出したあとも他馬を引き寄せることなく、見事に初G1を制しました。
ロードカナロア以来のマイル界でのスターホース誕生に心は躍りますが、見ている限り、もう少し距離があったほうが良いかなとも思いますが、マイルでも、その怪物ぶりを見せ付けてくれるのではないかと思います。スタート難のあった馬を見事に修正し、対応し、2週連続のG1勝ちを収めた堀調教師と、忘れてはいけない厩舎スタッフの技術と努力を心から拍手したいと思います。関係者の皆様、おめでとうございました!
2着に敗れたヴァンセンヌも惜しい競馬をしましたね。直線では前が開かずに、わずかに届かずの2着。よく、騎手が選んだコースが悪かったのでは?と言われたりしますが、今回は、あのポジションで我慢させられたらこそ、あの脚が使えたのだということもわかって貰いたいです。馬も遅咲きながら、まだまだ若いですし、これからの馬だと思います。距離を伸ばしても面白そうですし、今後の活躍に注目したいと思います。
沢山あったG1も一段落し、月末の宝塚記念まで、少し休憩と思っている皆様!今週も目を離すと後悔しますよ!東京でエプソムCが行われ、阪神では牝馬限定戦マーメイドSが行われます。特にマーメイドSはハンデ戦だけに馬券も大荒れになることが多いことからも、馬券を買う皆様にとっては、非常に楽しいレースになっていると思います。
まずエプソムCでは非常に気になる3頭が出馬します。それは、暴走逃亡者エイシンヒカリ、遅れてきた天才サトノアラジン、そして安田記念を回避し、こちらで初重賞を手にするかフルーキーです。これこそ、スターホースの資質と言うべき素晴らしい才能を持ったエイシンヒカリが逃げ切るのか、それとも名刀正宗の様な切れ味で他馬をサトノアラジンがブッタ切るのか非常に楽しみです。
マーメイドSはハンデ戦だけに予想が非常に難しくなりますが、私の推奨は、力自体は一つ抜けている気がするトップハンデのバウンスシャッセですね。もともと、中距離血統ですし、ここは決めたいところだと思います。しかし、やはり軽ハンデ馬からも目が離せないだけに、マリアライトやアースライズといった馬も気になります。日本競馬に新たな風を吹かす馬が出てくるか?希望の風を求めて今週も是非、競馬場で!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。