元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
息子→弟→康太
2015/6/18(木)
以前から言われていた、技術はあるがフィジカルが弱いと言われていた日本には、正に相手が来る前に交わし、ゴールを狙うと言うのが合っていた気がします。監督が替わり、戦術が変わることで一変するのは競馬も同じです。ベストな騎乗をしても組み合わせや戦術次第で、突然強くなる馬もいますからね。だからこそ、この時期の競馬は意外性や乗り替わり、戦術変更に注目する必要があるんですよ!
さて、競馬界では伝統のハンデ牝馬戦マーメイドSと注目の2頭が出馬したエプソムCが行われました。まず、マーメイドSでは伏兵のシャトーブランシュが直線一気の競馬で、人気馬達を叩き切りましたね。例年に比べ、メンバーが小粒になり、どの馬が来てもおかしくないなと思っていました。藤岡康太騎手は去年のディアデラマドレとのコンビでの制覇から連覇となりました。少し痛んだ馬場を考慮し、4コーナー手前から迷わずに外で勝負したことが、結果的に良い脚を出せた要因だったと思います。
いつの間にか、藤岡先生の息子ではなく、佑介の弟でもなく、藤岡康太として騎手の地位を掴んできたことを非常に尊敬します。騎手に監督はいません。だからこそ、自身で自分自身の騎乗戦術を考え、努力し、自分自身のベストな騎乗を考えてきたからこそ、彼の今があるのだと思います。祖母が買ってきたピンクのレギンスと共に注目度も上がってきた藤岡康太騎手には今後も注目していきたいと思います。
東京で行われたエプソムCでは、暴走逃亡者エイシンヒカリが見事初重賞を手にしましたね。最近の豊ちゃんの逃げには安定感がありますし、ここは順当な結果だったと思います。しかし、直線では右手前のまま走り、外に膨らみそうだったことを見ると今後、挑戦していくであろう一級馬達には少し苦しいかもしれませんね。まだまだ、これからの馬だけに、騎乗を含め、調教次第では天皇賞(秋)も見えてくるのではないでしょうか。
そして、2着に敗れたサトノアラジンも良い競馬をしましたね。復調してから直線一気の競馬が目立っていた当馬ですが、スタート良く飛び出し、前々で競馬ができることを証明できたと思います。サッカーではないですが、戦術変更をし、負けはしても収穫の多いレースだったと私は思います。今回は少し距離としては長く感じましたし、今後はマイル戦線が選ばれるでしょう。モーリスに対抗する決め手を持った馬だけに秋のマイル路線には楽しみが増えました。
W杯開幕の次は、夏競馬が開幕します。北の大地、北海道函館ではどんな馬が出てくるのか、楽しみでなりません。そんな中、早速、開幕週の函館では函館スプリントS、東京ではユニコーンSが行われます。ヴィクトリアマイルを制したストレイトガールも夏のスプリント戦で活躍し、G1を制覇しただけに、スプリンターズS、マイルCSに向けて、皆様だけの穴馬を探すチャンスでもありますから、是非注目してくださいね。
函館スプリントSでは洋芝に絶好の相性を見せるローブティサージュが参戦します。その他にも昨年の高松宮記念を制覇したコパノリチャードも出馬してきそうですし、短距離界の暴走王アンバルブライベンも楽しみな一頭ですその中、私の注目はやはりローブティサージュになりますね。外枠からでも競馬ができる上、ゲートも良くなってきているだけもあり、今回は万全の体制で挑めるのではないでしょうか。そして、ティーハーフにも注目しています。勿論、直線が短いことからも逃げ馬にも注目していますけどね。夏競馬で、変わり身を見せ、戦術変更をしてくる馬を予想し、是非、函館の涼しい気候を熱い気持ちで過ごしてくださいね!今週末には私も函館に参戦し、現地レポートを行いますので、競馬場でお会いした際には声掛けをお願い致しますね!!
今週は更に!新種牡馬紹介をさせてください。まず、その初めに選ばれたのはヴィクトワールピサです。皆様もご存知の日本馬で初めてドバイWCを制し、その他にも皐月賞や有馬記念を制した名馬です。そのヴィクトワールピサの産駒が一気に2頭も阪神でデビューしました。残念ながら子供たちの初出走・初勝利とはいきませんでしたが、あの雄大な馬格が引き継がれているなという印象を受けました。更に、あの上手すぎる競馬センスが引き継がれれば、すぐにでもG1馬を輩出してくれるかもしれませんね。まだまだ、これから沢山の子供達がデビューしてくることでしょうし、是非、ミルコ騎乗のヴィクトワールピサ産駒を見てみたいですね。皆様、新馬戦は現在上乗せで返還率アップですので、是非、新馬戦も勝負してくださいね。馬券戦術だけは、人それぞれ(笑)。絶対はないですが、馬券戦術も夏仕様に!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。