元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
祭り
2015/9/3(木)
先週は、競馬の祭典ワールドオールスタージョッキーズが盛大に行われましたね。優勝をしたのは香港競馬に参加しているJ.モレイラでした。ブラジルからシンガポール、香港と渡り歩いた天才は、日本でも十分すぎる程のインパクトを残して帰りましたね。勿論、当たった馬も良く、更に言えば小回りの札幌コースだったからこそ、あの騎乗スタイルが活きたのかもしれませんが、それでも脅威の勝率を残しての帰国には全ての人が強烈なインパクトを受けたと思います。特に素晴らしかったのが追い出す際の姿勢と低さですね。極力、馬に近い位置で追い出せる技術と、コースが開いた瞬間に狙える視野の広さには、これが世界のレベルかと思わされましたね。
その他にも、残念ながら引退を発表した女性騎手ターナーや1万2000勝を超える勝利を挙げているベイズ、トレヴの主戦ジャルネなど豪華なメンバーの騎乗を見られたのは非常に楽しかったです。そんな貴重なお祭りのお土産を頂きました。なんと!ワールドオールスタージョッキーズ2015の参加騎手全員のサイン入り帽子と騎手達が着ていたジャケットを頂きました!このメンバーが揃って行うのは2015だけですので、非常に嬉しいプレゼントになりました。
それでは、先週のメインレースを振り返りましょう。札幌ではキーンランドC、そして新潟では新潟2歳Sが行われました。その中でも衝撃は新潟2歳Sのロードクエストだったのではないでしょうか。スタートは予想していた通りに良くなく、最後方からの競馬になりました。騎乗していた田辺君も予想できていたのか、焦ることなく冷静に馬のペースに従いましたね。そして、迎えた4コーナーでは馬場が悪くなった内を皆が避けるように外に広がっていくのを見ると、不良馬場など気にしないとばかりに持ったまま、内から一気に先頭に立つとノーステッキで4馬身をつけて勝利しました。最後の末脚では、不良馬場を通っていたにも関わらず32秒台の脚を出せるのですから大した能力の持ち主ですね。
今回のレースはメンバー的にはそんなに強い相手はいなかったのかなと思わされましたが、それでも、この圧勝劇は来年のクラシックに向けても非常に楽しみになったレースだったと思います。勿論、スタートや後方一気だけの競馬では今後、通用しないと思いますので、課題も見つかり、更に勝ちきるという満足のいった勝利だったと思います。血統から見ても距離延長は大丈夫そうですし、ここから出てくる新怪物達との頂上決戦が今から楽しみになりました。
時は早いもので、今週で夏競馬が最後となります。長く滞在していた北海道や小倉、そして新潟の最終週をどの様に飾るのか、そして、各競馬場でのリーディング争いも気になるなか、今週は土曜日に札幌では札幌2歳S、日曜日には新潟では新潟記念、そして小倉では小倉2歳Sが行われます。札幌で行われる2歳戦では、まずこの馬に注目してください。池江寿厩舎が放つプロフェットです。初戦は簡単に逃げ切って勝利した当馬ですが、走り方も良く、まだまだ良くなるのではと思わされているからです。その他にはアドマイヤエイカンやラヴアンドポップ、名血統アラバスターなどが挙げられるでしょうね。その中で、私は穴としてスパーキングジョイに注目しています。初戦で使った長く使える末脚に並ばれたら、その分伸びる闘争心はまさに父譲りの走りだったからです。
小倉ではシュウジが注目を集めるでしょう。今回はダコールの先約があったため小牧君が騎乗できないことが心配になりますが、代わりには岩田君が選ばれ、Mr.重賞はここでも万全の騎乗をしてくれるのではと思っています。その相手にはレッドカーペットが選ばれるでしょうね。こちらでの、私の狙い目は…オフクヒメです!栗東へと移籍し、少しづつ結果を残している中谷君が、9月1日付けで栗東へと所属を変えた柴田未崎君に移籍の先輩としての意地を見せてくれるのではと思っているからです。
ジャパンオールスタージョッキーズは毎週末やっていますからね!皆様、夏競馬最後の大きな馬券的中を願っています。最後の祭りを後悔して、後の祭りにならないよう、今週は競馬場へ行きましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。