元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
福山馬券⇒ラグビー馬券⇒三郎馬券?
2015/10/22(木)
これは、サッカーだけに限らず、スポーツ選手全てに言えることですが、自分自身の力を客観的に見て、力が足りていないと判断するのには大変な勇気がいります。自分はダメだと思って競い合う選手はいませんし、プロになった時から能力の優越こそが選手にとっての誇りだからです。だからこそ、チームのことを考え、一途に一つのチームでやってきた名選手の決断は、私の中で、凄く勇気と寂しさをくれました。今後の道を含め、どのような道が待っているのか。引退しても鈴木選手には注目していきたいと思います。
それでは競馬の話に参りましょう。先週の日曜日には、3歳牝馬最後の一冠秋華賞が行われました。1番人気にはオークス馬ミッキークイーンが推され、それに続くようにトライアルで凄まじい走りを見せたタッチングスピーチ、桜花賞馬レッツゴードンキが選ばれました。レースは、ゲートがスタンド前ということもあり心配されましたが、全頭がほぼ揃うような形で出ていきました。
注目のミッキークイーンは大外ということもあり、いつもより前目のポジションを取ると、内に開いたポケットと呼ばれるスペースへと鞍上の浜中君が入れました。その時、私はこの馬でその競馬ができるのかと少し不安に感じていました。なぜなら、今まではスタートが上手くない馬だけに末脚を生かす終い重点の競馬が多かったからです。しかし、箱を開けてみれば、手ごたえの薄そうな4コーナーを見てもその不安は消えることはありませんでしたが、そこから伸びて、2冠を達成したミッキークイーンの脚色には少し怪物という印象を受けました。勿論、浜中君の勇気ある決断と、それを実行できる技術あってこその勝利でしたけどね。
2着には抜群の競馬をしたクイーンズリングが入りましたね。当日のミルコは5勝と絶好調だっただけに期待していましたが、もう本当に絶賛の声しかありませんね。4角に入った際でも他馬よりもワンテンポ遅らし、一気に外に出しての加速はあの一呼吸があったからこそ、メンバー最速の上がりを出して女王にハナ差まで迫れたのだと思います。内回りということもあり、内が開けば、もしかしたらと思わせる騎乗には脱帽でしたね。馬の力で言えば、かなりの差があったように感じましたが、それをハナ差まで持ち込んだ騎乗は、勝負にこだわり、ギリギリの所を攻め、尚且つ、敵を押さえつける技術は本当に圧巻でした。イタリア競馬の不調と世界で苦労をしてきた騎手だからこそ、一戦に懸ける思いが技術や負けん気に繋がっているのだろうなと、このレースを見て、改めて感じさせられたレースとなりました。
そして皆様、前記したラグビー馬券達成でしたね!まさかのサクラジャパンの桃色帽子に五郎丸選手から5番ではなく5枠でしたが、見事なラグビー馬券に、少し興奮したレースでもありました(笑)。
今週は三冠レース最後の菊花賞が行われます。2冠馬ドゥラメンテの骨折により、主役不在と呼ばれるレースになりましたが、集まったメンバーは一癖も二癖もありますし、3000mという未知の距離への挑戦となるだけに、荒れる馬券にも期待したいところではあります。まず、1番人気には前走で圧巻の逃げを見せたリアファル、もしくはリアルスティールが選ばれるのではないでしょうか。三冠最後にクイーンとクイーンが馬券になったことからもリアとリアでリア馬券というのも考えられますね。
ダービー2着も、前走は見事なまでに押さえ込まれたサトノラーゼンが、虎視眈々とトップの座を狙ってきます。その他にも、長距離線には一番向いているであろうスティーグリッツや次こそ祭りを歌いたい北島三郎さんのキタサンブラック、そして、未知数のワンダーアツレッタと期待と希望を持った3000mになるでしょう。菊花賞が五郎丸から三郎(3-6)馬券になるかもしれませんので、是非注目を!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。