元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
K.S.K
2016/1/14(木)
競馬でもK.S.Kが起こりました。まず、3日間競馬の中日には、京都競馬場で出世レース シンザン記念が行われ、シンザン男の浜中君とロジクライが前走の鬱憤を晴らすような走りで見事勝利しました。あれ?どこがK.S.Kなんだ?と思われたと思いますが、このレース「勝った(K)のは 須貝厩舎の(S)ロジ クライ(K)」って含まれているんですよ(笑)。レースは、1番人気にリオンディーズと新馬戦で対決したピースマインドが選ばれ、2番人気には新馬戦で脅威の走りを見せたジュエラー、それに続くようにラルクが選ばれました。
予想としてはピースマインドがハナを奪っていく形を想像していましたが、どの馬も敬遠するような展開となり、我慢できなくなったシゲルノコギリザメが飛び出していきましたね。その事により、ペースは少し遅い展開となりました。ここが、今回のロジクライの勝ったひとつの要因だったと思いますね。その展開になるまでにインでのポジションをしっかりと押さえた浜中君は、このレースの勝ち方を本当に良く知っているのだなとも感じましたね。そのまま、直線でも楽な形で抜け出しての勝利は万全だったと思います。しかし、ここは勝利できましたが収穫は少ないレースだったのも確かだと思います。
逆に負けはしましたが、収穫があったのはジュエラーの方だったのではないでしょうか。課題となっていたスタートは前走ほどの出遅れもなく、デビューから2戦目でスローに加え、馬込みでの競馬。これは我慢できない馬が多いので、一度経験することで、競馬の幅としては非常に広がったと思います。最後には内にもたれながらも、あの末脚は脅威でしたね。他馬が止まっているとはいえ、あの展開からあれだけの走りを繰り出せるというのは、クラシック戦線にとっても大事な一戦になったと思います。春には更に成長が見込めそうですし、2歳牝馬王者メジャーエンブレムにとって最大のライバル出現だと思います。
3日目には中山でフェアリーSが行われました。こちらもサインがあるのではとハラハラしながらレースを見ていましたが、勝利したのはビービーバーレルでした。そして2・3着にはダイワ馬が入り、DAIGO馬券となりましたね。ビービーバーレルを管理する中舘調教師は、開業から初の重賞制覇となりましたね。また、彼が得意とする逃げの戦法での勝利に、らしさが出たレースとなったと思います。騎乗の石橋脩君もビートブラックに続いての重賞制覇で、Mr.逃げと呼ぶに相応しいレースだったと思います。
今週もDAIGOサインは続くのか?中京開催も増え3場競馬からも目が離せませんよ!そんな中京ではハンデ戦の愛知杯、京都でもハンデ戦の日経新春杯、中山では京成杯が行われます。注目しているのは日経新春杯になりますね。古馬になり力をつけてきた馬達のしのぎ合いは、春を占う上で大切なレースとなっていますからね。その中での注目はシュヴァルグランになるでしょうね。大魔神・佐々木さんの馬で、これまで大事に大事に使われ、ここまで3連勝と結果を残していますし、前走の走りでも圧巻の一言でしたからね。また父ハーツクライに騎乗ルメールとなれば、期待しかないのではないでしょうか。馬の性格としても言うことを聞く馬ですし、折り合いも気になりませんからね。その上、ハンデが54キロとなれば言うことなしだと思います。
しかし、そこまで分かっていて、他の騎手達がすんなり勝たせる訳には行かないと思っていると思いますし、走ってみないと分からない展開でもありますね。2番手にはレーヴミストラルが挙げられると思います。しかし、先週の京都の馬場を見ていても、差しが決まりにくい展開だけに、川田君がどう対応してくるかにも注目しています。その他にも実績十分のダービーフィズや遅れてきた才能プロモントーリオからも目が離せません。淀の4コーナーと注目されますが、淀の3コーナーを制する馬がこのレースを制します!皆様も是非、3コーナーを注目してください!注目馬で「今週は(K) さくっと(S) 勝って(K)」くださいね!皆様の勝利をウィッシュ!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。