元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
偉大な名伯楽
2016/1/22(金)
競馬界でも、その偉大さを見せ付けられる結果となりました。先週の日曜日に京都競馬場で行われた日経新春杯では、今年の2月で勇退する松田博先生の管理馬レーヴミストラルが、直線一気の競馬で、見事優勝を飾りました。松田先生と言えば、数々の名馬を育てた名伯楽です。レースは、スタートからダコールがハナを奪う形となり、逃げ馬不在のレースだけにゆったりとしたペースとなりました。本来ならば、このペースになれば前残りが考えられる展開の中、4コーナーのギリギリまで我慢させたレーヴミストラルが桁違いの脚で全てを交わしきって勝利しましたね。今回は終い重視の調教をされていましたし、まさにスローでも差し切る自信が先生と鞍上にはあったと言うことだと思います。
2着には重賞初挑戦のシュヴァルグランが入りましたね。今回は54キロと恵まれた斤量に勝利もあるかなと思いましたが、馬の力が違いすぎましたね。レース後のルメールのコメントでは「4コーナーでぶつかったのが痛かった」とありましたが、個人的には全く関係なかったと思いますね。ただ、全力を出し切れなかったと言えばそうなりますが、今回のレースでは勝利した馬が強すぎましたからね。京都の2400m外回りを制覇したとなれば、今後のローテーションにも幅が出ますし、上手くいけば、去年のラブリーデイのような覚醒もあるかもしれない当馬には、今後も注目していかなくてはいけません。
そんな覚醒馬を今週も見つけることができるのか!?今週は中京でフェブラリーSに繋がるダート重賞・東海Sが行われます。1ヶ月後に行われるフェブラリーSに向けて、ここが最後の調整となります。まず、注目を集めるのはロワジャルダンではないでしょうか。前走のチャンピオンSでも4着に入り、着実に力をつけてきている馬だけに期待も大きくなると思います。そして、まだまだ若者には譲れないとローマンレジェンドにも期待したいところです。勿論、全盛期の能力があるかとなれば、少し疑問は残りますが、このメンバーには負けられないと陣営は思っているかもしれませんね。その他にはインカンテーションが、どこまで馬体を戻してきているかにも注目したいと思っています。そして、私の一番の注目はモンドクラッセになりますね。騎乗する田辺君は天才的なところがありますし、前走崩れたとはいえ、今回は復活に期待したいです。
そして、中山のAJCCではサトノラーゼンに注目が集まります。ダービー2着馬が、今年は主役級に踊り出るのではないかと個人的には期待している一頭です。怪我の四位君に変わり、豊ちゃんが手綱を取るディサイファにも注目していきたいと思います。その他にも、絶好のチャンスを貰った藤懸君が意地を見せて欲しいヤマニンボワラクテや復活に期待したいショウナンマイティなど、こちらは混戦が予想されるだけに、非常にレースが楽しみになっています。West Sea を渡り、2月の本番に踊り出るのはどの馬か!?今週も競馬からは目が離せません!!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。