![松田幸春](/img/column/judge/tit_judge.jpg?=v1)
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
素質 対 万全の準備
2016/2/25(木)
先週は2016年初のG1レース、フェブラリーSが東京競馬場で行われました。1番人気に推されたのは新世代の怪物ノンコノユメ、それに続くように新風モーニン、コパノリッキーと続く形となりました。レースはスタート直後、コパノリッキーがハナを奪いにいくことなく、コーリンベリーが行くことになりましたね。それを見ながら14番枠から馬なりでモーニンが追走し、そしてノンコノユメは、いつものポジションからの追走。ここでひとつ、ミルコの技術を見せつけられましたね。他馬が押し合う中、馬なりで追走させ、落ち着いたところでじっくりとポジションを上げ、引っかかる心配の合った馬をピッタリと折合わすことができましたからね。迎えた4コーナーでは、前に一旦、馬を置き、ひと呼吸入れさせると、直線から抜け出すとそのまま押し切り、見事モーニンがダートG1を最速の記録で勝利しました。2着にはノンコノユメが入り、またもやミルコ・ルメールという結果となりました。そして、3着にはアスカノロマンが入りましたね。
![モーニン](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/topics/201602/160221_moanin.jpg?1457762460)
今回のレースはミルコの技術勝ちだったと思いますね。まさに完璧というレース運びで、文句のつけようがひとつもないレースだったと思います。そして、逆にルメールの追い出しのタイミングに関しては、少し疑問がつきましたね。前残りが想像される競馬になることを見越し、向こう正面が少しづつ動いたところまでは良かったですが、問題は4コーナーを周る時に一度、ひと呼吸いれた後、じっくり構えすぎたように思います。その分、脚を少し余した状態で負けたのではないかと思ってしまいますね。その前の9Rでもスマートシャレードで同じ様なレースをしていただけに、少し残念でした。そこを溜めたからこその脚だったのかも知れませんが、私にはそう映りましたね。ダート界に新しい風が吹いたことで、どう変わっていくのか非常に楽しみになりました。
土曜日に京都で行われた京都牝馬Sでもミルコがやってくれましたね!エリザベス挑戦時からベスト距離は1400~1800mだと思っていたクイーンズリングが重くなった馬場を気にせず、圧巻の勝利を見せつけてくれました。土日共に14番をつけた青い目の侍ミルコのエスコートによる勝利は完璧だったと思います。番号からも、結果は本当に「いーよー」って感じではないでしょうか(笑)。2着に入ったマジックタイムや内にささってしまいましたがスナッチマインドは今後、目が離せない存在に映りました。あの展開で、最後まで鋭い脚を見せつけたマジックは、期待されていた才能がようやく開花したというところですし、スナッチも抜群の手応えでしたからね。
![クイーンズリング](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/topics/201602/160220_queensring.jpg?1457762459)
それでは今週の競馬に参りましょう。何と言っても、あの馬の復活に注目が集まるのではないでしょうか。日曜に行われる中山記念でドゥラメンテが復活します。衝撃の2冠から軽い骨折とはいえ、手術をし、帰ってくる怪物に皆の期待は大きいのではないでしょうか。また騎乗のミルコには3週連続での重賞制覇もかかりますし、注目は更に大きなものとなっていると思います。しかし、気になるのは馬体重の増加ですよね。成長分として捉えるべきなのか、増えすぎたと見るべきか本当に難しいところですね。あとは今回、休み明けということで、勝ちにこだわるよりも、走りを確認するレースになるのではないかなと個人的には思っています。その状態で勝ちきる事となれば、それこそ本当の怪物となるでしょうね。
それに続くのはイスラボニータになるのではないでしょうか。今回の1800mは、馬にとってもベストな距離となるでしょうし、私の中では一番怖い馬になっていますね。その他にはルメールとのコンビ復活で期待できるアンビシャスに2着はもういらないリアルスティール。そして中山大好きロゴタイプと天才肌田辺君がどのような科学反応を見せるのか。怪物級の素質対万全の準備をした挑戦者。この戦いは是非、中山競馬場で確認してください!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。