元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
感動と生
2016/3/17(木)
さて、未来ではなく現実のスター騎手の話に参りましょう。先週の土曜日には中京で中日新聞杯が、そして日曜日には中山牝馬Sに阪神ではフィリーズRが行われました。その内のふたつをスター騎手である川田君が制しましたね。まずは土曜に行われた中日新聞杯では、騎乗馬をスッといいポジションにつけるとサトノノブレスにとっては絶好のレース展開へとなりましたね。一瞬、ヤマニンボアラクテもあるか?と期待した矢先には、待っていましたと追い出した川田君とサトノノブレスが先頭に踊り出ると、そのまま押し切る形で優勝しました。危なげない乗り方が川田君の特徴だなと思っているのですが、今回は本当にマッチしましたね。逆についていなかったのは田辺君とバウンスシャッセでしょうね。直線で進路がなくなると外にも出せないようになり、やっと出せたというところがゴールでしたからね。前回の中京での重賞制覇といい、やはりこの馬は中京の鬼ではないのかな?と次の走りに期待したい敗戦でした。
日曜日に行われたフィリーズRでもまた、川田君がやってくれましたね。刈り上げられた馬場に、痛みが少ない内の芝を枠順を活かして回り、直線で早めに逃げたキャンディバローズを捕まえると一気に押し切りましたね。まるで、ラブリーデイに乗っていたときのような騎乗方法に、これも上手い!というより、はまった!という印象が強かったです。2日連続での重賞制覇は本当に凄いです。このレースでは川田君騎乗のソルヴェイグに1番人気のアットザシーサイド、そして逃げたキャンディバローズまでが、桜花賞への切符を手にしましたね。期待していたナタリーバローズはパトロールビデオを見る限り、他馬にビックリする素振りがあり、力が全く出せないレースとなっていましたね。このようなことがレースで分かるのは収穫にもなりますし、残念ながら本番には間に合わなさそうですが、忘れた頃にナタリーの反撃があるのではないかと、こっそりと応援しています。
今週は、変則な3日間開催になりますね。土曜日は中京・阪神、日曜日は阪神・中山、そして月曜日は中京・中山という開催だけに皆様、間違わないように競馬場に行ってくださいね。その中で、注目を集めるのはスプリングSになるのではないでしょうか。前回の弥生賞を見ると3強説が挙がっていますが、謙一君とのコンビでロードクエストもその存在感をアピールしそうです。やはり、何と言っても、あの末脚は恐ろしいものがありますし、前走は休み明けでセーブした走りとなれば、ここは負けられない戦いになるのではないでしょうか。2番手には名門厩舎のマウントロブソンが上がるでしょうね。なかなか勝ちきれなかった新馬戦から、勢いを増しての今回となりますし、人気になるのではないでしょうか。その他にもディアデラ一族のドレッドノータスにミッキーロケットと楽しみなメンバーが揃っています。
阪神では3.11に感動を生んだミルコと3.11に生を授かったコンビが出馬します。そうです。金髪の貴公子トーホウジャッカルが久しぶりに復活するんですね。まだまだ体を見ていると乗り込みが足らないように見えますが、このコンビだからこそ作れる感動があるかもしれません。その他にも阪神大賞典にはシュヴァルグランやタンタアレグリア、そしてカレンミロティックなどにも注目が必要です。変則の競馬開催で間違えやすいですが、3日間とも競馬を楽しみましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。