元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
競馬熱
2016/4/7(木)
それではタバコの話ではなく、競馬の話にまいりましょう。桜満開の阪神競馬場では、来年からG1にグレードアップが検討されている大阪杯が行われました。メンバーには5頭のG1馬を含む豪華な顔ぶれの中、勝利したのは、残念ながらドバイへの選考にもれたアンビシャスと典ちゃんのコンビでしたね。スタート直後、ヌーヴォレコルトが内へ寄れ、ラブリーデイに行き脚が付かない中、スッと豊ちゃんとキタサンブラックが先頭を奪いました。ハナを行く馬が行かないことからもスローペースになる中、なんと直線での瞬発力が魅力のアンビシャスと典ちゃんが2番手のポジションにつけました。向正面で、いつも通りに引っかかる素振りを見せた瞬間、さすが典ちゃんと言わんばかりのなだめ方で馬を落ち着かせると、最後の直線では斤量差もありましたが、見事に勝ちきり、最強世代を証明してくれました。
同年代のリアルスティールやドゥラメンテがドバイで活躍し、更にアンビシャスが年上のG1馬達を蹴散らしたことにより、世代の強さを更に際立ててくれましたね。今後は秋の天皇賞に向け、準備を進めるようですね。私、個人としてはマイルも試してくれたら去年のモーリスのように覚醒もあるのではと楽しみにしていたんですけどね。2着に敗れたとはいえ、キタサンブラックも力を示しましたね。次走の天皇賞(春)も豊ちゃんとのコンビが発表されましたし、平成の盾男の本領発揮というレースが見られるかも知れません。その他には、1番人気に推されたラブリーデイは久しぶりのレースという印象を受けましたね。スタートの不利もあり、休み明けで無理に押していくことを選ばなかったのは、香港遠征へ向けては好判断だったと思います。この馬にとっては次の香港こそが、力が落ちていないかどうかの判断するレースになると思います。
桜満開の阪神競馬場では、今週はとうとう牝馬クラシック第一弾の桜花賞です。まず、なんと言っても注目を集めているのがメジャーエンブレムでしょうね。前走では脅威のラップを刻み、勝ちきる姿は、名牝ダイワスカーレットやシンボリルドルフを彷彿させましたからね。それだけの肺活量がある上に、スタートでは他馬を置き去るセンスと瞬発力までありますからね。まさに怪物と呼べる馬でしょう。勿論、不安材料がないわけでもありません。まず、その1点目が馬群に入れられたときの対応。そして2点目が、参加メンバー全てが、この馬が本命だと知っていること。そのことにより、通常のトライアルより、更に厳しいマークに合うと考えています。そうなった時にどう実力を発揮してくれるのかが鍵になると思います。
対抗に選ばれそうなのが、無敗馬シンハライトです。走りを見ていても、非常に柔らかい走りをする馬ですし、近2走のハナ差での勝利は、騎手の実力もさることながら、馬の闘争心が素晴らしいのだと思っています。そして、3強と詠われている、最後はジュエラーにも注目しなくてはいけません。デビュー戦では出遅れから一気の脚で差しきり、そこから重賞ではハナ差などによる惜しい2着が続きました。しかし、今回は重賞2着のイメージが強かった藤岡健厩舎が高松宮記念で勝ちきったことにより、私は風向きが変わったのではないかと思っています。去年の夏から目指してきた桜の女王の座を取るのは、どの馬なのか。加熱タバコではなく、競馬場で競馬熱を吸ってみるのは、いかがでしょうか!?4月10日は阪神競馬場でお待ちしております!!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。