元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
競馬猛暑日
2016/4/28(木)
香港でも1番人気に推奨されたラブリーデイはスタート後、行き脚をつける意味でモレイラ騎手が押していく展開を選択しました。前走は休み明けで同じ内枠でも、次走を考え押していかなかったミルコの騎乗と比例すると間逆のようなレースをしましたが、結果は④着に敗れてしまいましたね。重くなった馬場も影響したのでしょうが、器用な立ち回りができることが強みの馬だけに、期待していましたが、非常に残念な結果となりました。そして、ヌーヴォレコルトが雨に一番泣かされたのではないでしょうか。元々、牝馬でもパワー方ではない当馬だけに重く、長い芝は合わなかったのでしょうね。豊ちゃんもレースを見る限り、勝ちにいくというよりは、安全に回ってきたという印象を受けました。
最後方まで下がり、負けを喫したのはサトノクラウンでしたね。ムーアの急なドタキャンにより、パートン騎手が騎乗しましたが、道中から遊ぶところを見せ、初めての競馬場に全く集中できていなかったように見えました。レース後の「重馬場は合っていない」とのコメントには前走の重馬場での勝利を見ているだけに?となりましたが、今後の立て直しには馬の走る気持ちを取り戻すところから必要になってくると思います。
香港で熱い戦いが行われている頃、日本では安田記念の優先権を掛けてマイラーズCが行われました。1番人気には未冠ながらも実績は十分なフィエロと鮫島良太君が選ばれ、それに続くように連勝中のネオスターダム、マイル初挑戦のクルーガーが選ばれましたが、レースはそのクルーガーが制しましたね。前走は詰まってしまい全くレースをしていなかったことからも、その才能に注目していました。スタートに問題がある馬だけに心配していましたが、やはりスタートは出遅れる形となりましたね。しかし、そこからの松山君の判断が素晴らしかった。焦らずにじっと内で我慢すると、待っていたチャンスを逃さないと押し出し、開幕週で有利な内馬場を通り、見事勝利しました。
このように腹を決めた騎乗で勝利するというのは本当に度胸がいりますからね。負ければ、なぜ押さなかった?と言われかねないですからね。それでも、このように馬を信じて騎乗することが勝利に繋がると私は思っています。ファンの皆様も、ここを理解してもらって競馬を見てもらいたいです。そうすることで、単純にポジションを挙げなかったところだけを抜粋して見て、ダメだ!あれでは!と言っているファンとの差をつけてもらいたいと思います(笑)。
さぁ、今週は春のG1戦線が再開します。桜の阪神を後にし、綺麗に輝くターフの上で、JRAのG1レースで最長の天皇賞(春) が京都競馬場で行われます。例年、血統の流行からか、この長距離路線は手薄なイメージがついていましたが、今年はメンバーが揃いましたね。まず、注目を集めるのは昨年グランプリホースのゴールドアクターと吉田隼人君のコンビになるでしょうね。去年の夏頃に当コラムで吉田隼人君の技術は素晴らしいものがある。彼は近いうちにG1勝ちをするでしょうと書き、早速、有馬記念を制しましたが、今回もまた、やってくれるのではないだろうかと思っています。
私の中でそのゴールドアクターにも負けていない本命はシュヴァルグランになります。野球の佐々木主浩さんの持ち馬で、前走の阪神大賞典を見ていても、楽に勝ってしまうこともあるのではないかと思っています。その他にも有名オーナー同士の戦い、北島三郎さんの持ち馬キタサンブラックからも目が離せません。そして、勢いに乗っている藤岡厩舎のサウンズオブアースに注目です。今回は騎乗停止中のミルコに変わり、息子の佑介君が選ばれましたし、涙の親子G1制覇も期待したいです。世間は、夏日に差し掛かりますが、競馬への熱さは常に毎週、猛暑日でお願いします!是非、生で熱い戦いを!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。