元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
脱力感
2016/6/1(水)
さて、先週に行われた日本ダービーの話に参りましょう。ほとんどの競馬関係者が夢と語る日本ダービー。ファンの方からは、たまになぜダービーなんですか?と言われることがあります。そう言われると、説明しがたいのですが、チャンピオンを決めようと設定されたレースで、誰もが納得したルールの上で行う決勝戦だからかなと思っています。そして、騎手にいたっては、その決勝戦に出るために夏は、北は北海道から南は小倉まで相棒を探しに行きますからね。そうやって迎える決勝戦というだけで、一年の総決算といっても過言ではありませんからね。
今年の決勝戦を制したのは金子真人オーナーのマカヒキでした。これで三度目のダービー制覇となり、本当に恐ろしいオーナーだなと改めて考えさせられました。騎乗した川田君は、今回が初のダービー制覇となり、掲示板に「3」が点された時の涙は、見ているこちらも涙が出そうになりました。川田君はこれで5大クラシック完全制覇となりましたしね。新たなレジェンドとしての道を確実に歩いているのでは?と思います。レースは、全馬が本当に良いレースをしました。力の限りを出し切った様なレースで、見ているこちらまで、脱力感に襲われましたからね。新たな王者が誕生し、金子オーナーのダービー馬ということで、何年後かには、マカヒキ産駒がダービーに挑戦しているのでは?と考えると、これもまた競馬が楽しみになったレースでした。
気になったと言えば、私の本命のリオンディーズですね。前走は中山競馬場の特徴を活かして、前目の競馬を選択しました。そして、今度は長い直線を考えて後ろからの競馬となりましたが、それでも口を割ってしまい、最後はガス欠になってしまいましたからね。あそこまで頭を上げ、嫌がる仕草には、どこか口に問題があったのでは?と不安が残る内容でした。2歳王者の復権には気性との戦いは、まだ続きそうです。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。