元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
早起き
2016/7/7(木)
さて、そんな中京の開幕週では、伝統の1200m戦CBC賞が行われましたね。G1高松宮記念と全く同じ舞台ですので、ここでの動向は非常に大事となります。今回はドバイ帰りとはいえ、夏の短距離女王ベルカントに新スプリント王を目指すエイシンブルズアイが出馬しましたが、勝ったのは、前走ダートを走り、中京では2戦2勝の土芝両用のレッドファルクスでした。レースはスタート直後、前走1400mに加え、ダートだったことからも少し後手を踏んだ当馬。しかし、すぐに肩ムチを入れ、馬に気合を入れると、ズブい(※反応が遅い)性格を知っていたミルコが手を動かし始めました。そして、迎えた直線では、万全の体制で逃げていたベルカントを2番手で見ていたラヴァーズポイントが捉え、勝利するか!?と思った矢先に、レッドファルクスが32秒台の脚で捉え見事勝利しました。
これで中京では3戦3勝となり、相性の良さを披露してくれましたね。そして、鞍上の長く追える技術とスタミナが生んだ勝利だったとも思います。②着には私の推奨馬ラヴァーズポイントが入りましたね。やはり、前走で新たな競馬を試し、ダメージを少なくしていたこと、そして50キロという軽ハンデが活きましたね。乗っていた松若君も勝った!と思った手応えだったと思います。その万全の競馬を56キロで、尚且つレコードで勝ったレッドファルクスには今後期待をせざるを得ない結果となりました。
福島で行われたラジオNIKKEI賞ではリーディング騎手の技術が光りましたね。今週土曜日に年間100勝を達成すれば歴代5番目の早さで達成となる戸崎君ですが、今回の勝利も技が光りましたね。素質があると思われていたゼーヴィントですが、今回引いた内枠は諸刃の剣でもありました。しかし4コーナーで少し空いたスペースを瞬間的に狙い、直線で出してきた技術はまさに天下一品でした。まさに今週の2重賞は、両方共が、この騎手でないと勝てなかったレースと言っても良いレースでした。この様なトップレベルの騎乗を見せてもらえた先週は、本当に元騎手としても興奮する内容でした。
痺れる騎乗を期待したい今週は福島で七夕賞、中京ではプロキオンSが行われます。まず、七夕賞での私の注目はヤマニンボワラクテになりますね。前走の天皇賞(春)では相手が悪すぎましたが、実力の落ちる今回は、非常にチャンスでは?と思っています。鞍上は相棒とも呼べる藤懸騎手に戻りましたからね。騎手が勝ちを急がず、落ち着いて対応できれば、今回は勝利も見えてくるのでは?と思っています。その他には最大斤量となったダコールからも目が離せませんね。勝負師の小牧君が唯一の乗鞍として勝負しに行くわけですし、結果を出したいところだと思います。
中京で行われるプロキオンSではキングズガードに注目が集まります。近走は3連勝中と波に乗り、直線一気の競馬は見ているこちらまで楽しくなります。まるで松田博先生の馬のような走り方に、今回騎乗する川田君も手が合うだろうと思っています。ここでも圧勝するようであれば、距離を伸ばしてノンコノユメとキングズの終い対決も期待してしまいます。暑い夏に、熱い競馬!今週も競馬は生観戦で、宜しくお願い致します!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。