元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
記録は作るもの
2016/7/14(木)
さて、豪華なセリの前には、久しぶりにミルコと御飯に行ってきました。話に夢中になりすぎて、写真を撮り忘れたんですけどね(笑)。そこでは色々な話をしましたよ。多くを私から言う必要はないと思ったのですが、レースのことや馬のことについてはついつい熱くなりました。そんなミルコが先週もやってくれました。中京競馬場で行われたプロキオンSでは、1番人気に支持されたノボバカラに騎乗し、見事2週連続の重賞制覇となりましたね。
レースは、スタート後、2完歩目で、他の馬を置き去りにしたノボバカラがハナを奪いに行くと思いましたが、内からワンダーコロアールが主張していく形となりました。そして、迎えた4コーナーでは抜群の手応えで迎えたノボバカラが、少し他馬を待つそぶりを見せた瞬間、外から伸びてきているニシケンモノノフの足音を聞かせるように合わせにいくと、再度、ひと伸びして勝利しました。見ているこちらがヒヤヒヤするほどムチを使わずに、周りの馬を待ってからの追い出しがあったからの勝利だったと思います。なかなか、レースを見ているだけだと分かりませんが、これは本当に卓越した技術だったと思います。
中京で2週連続の重賞制覇をレース前に聞いたリーディング騎手の戸崎君も、その技術を見せつけて七夕賞を勝利しました。松田博先生の引退に花を添えたアルバートドックを終い重視の競馬から、今回はスタート直後、前目のポジションへとつける競馬で、競ってきたダコールを打ち負かして勝利しました。この勝利は戸崎君の勢いに付け加え、磨き上げてきた技術があるからこその競馬だったと思います。勝ったアルバートドックは、この競馬ができたことで、次から幅が広がる結果ともなりましたからね。競馬は人気だけではないですが、ファンの皆様が戸崎君を1番人気に推奨する理由がわかったレースだったと思います。
さて、今週は北の大地で函館記念が行われます。例年のように言っていますが、洋芝に最終コーナーのスパイラルコーナーを制するのはどの馬か?本当に楽しみとなっています。まず、注目したいのは前走で函館の馬場適性は実証済みのレッドレイヴンになるでしょうね。ただ、この馬には少しの不安があるとすれば、それは1ハロン伸びた距離になると思います。しかし、鞍上の池添君は前回からも感触を得ているでしょうし、1ハロン我慢させる技術があると思っています。
それに続きそうなのがネオリアリズムですね。今回は香港期待の若手ティータンが騎乗とのことで、その腕っ節を見せて欲しいと思います。そして、3番手に推奨されるであろうバイガエシにも注目しています。弟子である藤岡佑介君が、まさに重賞制覇をして、師匠にオンガエシをバイガエシできるか!?そこに注目しています。セリのように記録は自らが作るもの!皆様も、是非、万馬券的中で、ご自身の最高記録を作ってくださいね!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。